名大とグランドグリーン、先端育種テクノロジーの開発に取り組む産学協同研究講座「未来作物ラボ」を開講

名古屋大学大学院生命農学研究科とグランドグリーン株式会社は、産学協同研究講座「未来作物ラボ(通称)」を2024年10月1日(火)に開講した。



種苗から新たな価値創造を実現


グランドグリーン株式会社は、名古屋大学発のアグリバイオベンチャーとして2017年に創業し、種苗開発を手がける企業。トマトやイネを始めとした10種類以上の作物において、ゲノム編集技術の適用に成功している。

名古屋大学は、農学および作物・植物分野で世界をリードする多くの研究を生み出しており、グランドグリーンと共同で、暑さに負けない高糖度トマトの開発や、ゲノム編集などの先端技術の作物への適用技術の開発を進めてきたという。

連携して開発を進める暑さに負けないトマト

近年、地球環境の変化は世界的な課題であり、気候変動への適応とカーボンニュートラルの実現が急務となっている。

今回開講した講座では、地球規模の気候変動に迅速に対応するため、ゲノム編集を基盤とする先端育種テクノロジーの開発に取り組む。これにより、急速な環境の変化に適応できる作物品種の創出と実証を進めていくとしている。

産学協同研究講座を設置することで、名古屋大学の学術的知見とグランドグリーンの先端技術の融合を推進し、農食産業および人類社会の持続可能な発展の実現を目指す。

なお、この取り組みで得られた技術および知見については、グランドグリーンと共同研究を実施するパートナー企業とも共有・活用していくという。

講座の内容は以下の通りだ。

講座名:グランドグリーン産学協同研究講座「通称:未来作物ラボ」
主なテーマ:
1)ゲノム編集をはじめとする先端育種技術の開発
2)1を応用した有用作物、新品種の育成
開講期間:2024年10月1日~2027年5月31日
開講場所:国立大学法人 東海国立大学機構 Tokai Innovation Complex 名古屋サイト
担当教員:
特任講師 近藤隆之 (研究開発部・マネージャー)
特任講師 田中奈月 (研究開発部・研究員)

左より名古屋大学の中園研究科長、近藤特任講師、田中特任講師(グランドグリーン) 、福島教授

名古屋大学大学院生命農学研究科 研究科長 中園幹生氏のコメント
グランドグリーン社は名古屋大学発ベンチャーとして、本学の代表するスタートアップに成長されています。そのグランドグリーン社が生命農学研究科に産学協同研究講座を設置すること、また本研究科として今回が初めての講座開設となり、併せて大変喜ばしく思っております。 今後もグランドグリーン社とは本格的な共同研究を進め、社会実装に向けて一緒に研究開発を進めることができればと考えております。

グランドグリーン株式会社 代表取締役 丹羽優喜氏のコメント
まさしく創業の地である名古屋大学にて産学協同研究講座を開講することができ、非常にうれしく思います。当初は名古屋大学内の1つの研究室の中で、5名ほどの小さなプロジェクトとして始まった私たちは、今では50名を超えるチームに成長してきました。本講座の開設により、さらに多くの先生方との連携を進めていきたいと思っております。アグリバイオの分野は、学術研究と産業利用のギャップも大きく、社会実装までにどうしても長い時間がかかってしまいます。私たちグランドグリーンは、本講座をハブにオープンイノベーションをこれまで以上に推進することで、農業・食・植物バイオの領域で学術分野と産業界との橋渡し役となり、人類社会に新たな価値を提供してまいります。


グランドグリーン株式会社
https://www.gragreen.com/

名古屋大学大学院生命農学研究科
https://www.agr.nagoya-u.ac.jp/

国立大学法人 東海国立大学機構 Tokai Innovation Complex 名古屋サイト
https://toic-n.aip.thers.ac.jp/


SHARE

最新の記事をFacebook・メールで
簡単に読むことが出来ます。

WRITER LIST

  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
パックごはん定期便