エアロディベロップジャパン、大型ドローン向けのハイブリッドエンジンを開発

エアロディベロップジャパン株式会社(以下、ADJ)は、重量・長距離ドローン向けの動力源となるハイブリッドエンジンの開発を進めていることを明らかにした。そのために、IDATEN Venturesから新たに資金を調達し、合計5000万円の資金調達を実施している。


ドローンはこれまで、主に総重量25kg以下の軽量・近距離(=目視内・短時間)カテゴリーが空撮ニーズを中心に発展してきたが、今後、重量・長距離(=目視外・長時間)カテゴリーの発展が期待されている。しかし現時点において、当該カテゴリーのドローンを飛ばすために最適な動力源として、決定的なものが存在していない。

そんななかで、ADJは、電気制御も少なくないドローンに最適なハイブリッドエンジンを開発し、重量・長距離ドローン向けの動力源として提供することで、世界の発展に貢献していこうというビジョンを掲げて立ち上がった。

ADJは2019年中に、タービンエンジンとハルバッハ発電機・モーター(ハルバッハ磁石配列という特殊な磁石の並べ方をすることで、強力な磁界を得るもの)を組み合わせた、世界オンリーワンのハイブリッドエンジンを開発・販売する計画を立てている。同時に、同じく世界オンリーワンの機体構造材やパラシュートシステムの開発も行い、フラッグシップドローンとして、それらを最適なバランスで組み合わせたドローンの開発も進めている。さらに、2020年と2021年にもそれぞれ新たな動力源を開発し、その頃には発展が本格化しているであろう重量・長距離ドローン業界に大きく貢献していくという。

日本には優れたエンジン技術や材料技術、加工技術が存在しており、それらがすべて、世界トップクラスの工業製品レベルを実現している。ADJは、自社ですべてを抱え込まず、それらの優れた技術をインテグレーションすることで、日本発の大型・長距離ドローン向けハイブリッドエンジンを開発している。

ADJの開発ロードマップ

ADJ創業者の田邉氏は、「日本には本当に優れた技術がたくさん存在します。しかし残念ながらそれらは点在している傾向にあり、部分部分でみたら世界トップなのに、それらを統合した領域では世界的な存在感を失いつつあります。そんな現状を打破したいと、私はこれまで、日本銀行や学術界において、そうした日本の優れた技術を生かしつつ、日本が不得意とする“技術に横串し”を入れる『システムズ・イノベーション』の発想で、新産業づくりにチャレンジしてきました。

そんな中、一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)千田泰弘副理事長と出会い、調査研究を重ねていくうちに、次なる経済成長のニューフロンティア、大きなイノベーションが期待できる分野は、地表と有人航空機との間の“ドローン空間”にあると気づきました。まだ世界的にも決定的なプレイヤーがいないこの分野においては、今なら、日本の自動車産業等が培ってきた各種エンジンと小型発電機を組み合わせたハイブリッドエンジン開発で一気に世界のトップに立てると確信しています。

そして昨年7月にADJを設立。半年間で技術的な『座組み』をほぼ確立できた段階でIDATEN Venturesの足立氏と出会いました。足立氏は、技術はもとより金融を含めた『システムズ・イノベーション』を深く理解している稀有な存在です。文字通りスタートアップに寄り添った支援を展開されており、戦略面・財務面から我々の挑戦を支えていただける力強いパートナーであることを実感し、このたびADJに参画いただきました。

足立氏とともに、米国の“シリコンバレー”、オランドの“フードバレー”に続く、第3番目の世界的な『システムズ・イノベーション』の“ドローンバレー”を日本に創ってまいりたいと考えております」とコメントしている。

<参考URL>
エアロディベロップジャパン株式会社
IDATEN Ventures
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
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    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、九州某県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方で、韓国語を独学で習得する(韓国語能力試験6級取得)。2023年に独立し、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサル等を行う一方、自身も韓国農業資材を輸入するビジネスを準備中。HP:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
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    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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