新人ながら、新規事業の立ち上げから責任ある仕事に挑戦〜株式会社オプティム 農業事業部 小林さん

農業の担い手の高齢化、離農の増加が叫ばれていますが、農業に携わりたいと考える若手もたくさんいます。そんな若い方々の農業への思いを聞く「農業界の若手に聞く!」というこの企画。

第1回は、農業IT企業としてロボット、IoT、AIなどを用いたデータ駆動型農業に取り組む株式会社オプティムの小林さん。農業系大学を卒業後、同社の農業部門に配属され、2年目ながら新しいプロジェクト「ピンポイントタイム散布サービス」(PTS)の企画・営業などを任されています。

課題が山積みの日本の農業に対して、どんな思いを抱いてどんな仕事をしているのか、本音でうかがいました。


今回の新入社員:小林さん(株式会社オプティム 農業事業部)
2021年度入社。東京農業大学 応用生物科学部 バイオサイエンス学科卒。趣味はサーフィン、ゴルフ。


バイオへの関心から農業産業の奥深さに目覚める


──そもそも小林さんが農業IT企業を希望されたきっかけは何ですか?

小林:農業を志したのは、大学を志望するタイミングで農業に関心を持ったことでした。高校は普通科で、それまでの生活に農業とのかかわりが特段あったわけではありませんが、高校教科の「生物」が面白くて、なかでも応用分野としての農業に興味を持ちました。

当時は、「植物工場」や「精密農業」、「バイオテクノロジー」といった農業生産における高度化技術のブームが再燃していて、最先端の分野であることに惹かれたんです。そうした経緯から、大学は農業生産系や生命科学系を志望しました。

──希望していた生命科学系の学部に入学できたんですね。

小林:そうなんですが、カリキュラムどおりに大学生活を送ると、実は実際の農業の現場に関われないことに入学してから気がつきました。そこで、課外活動でも農業に関われるものがないかと探して、農業に従事しているOBのもとへのファームステイ(農業実習)や長期休暇を利用して国外への農業現場調査活動を行う部活動に入部しました。

学生時代に現場でお手伝いをしている小林さん


──部活動では具体的にはどのような活動をされたんですか?

小林:たとえば、国内有数の葉物一大産地に通いつめて収穫・出荷を経験したり、タイ産のマンゴーが農園から日本に輸出されるまでを現地農場で視察したり、オランダでの大規模ハウス栽培や最先端の研究を目の当たりにしたりしました。

でも、それだけでは物足りず、大学4年時には海外農業研修制度を利用して、アメリカ・カリフォルニアにある種苗会社の研究圃場の研修生として1年半、働きました。ブロッコリーの品種改良のための育種などに取り組ませてもらいました。

海外研修時代の小林さん


──そうした経験が、農業IT企業への志望につながったわけですか?

小林:そうですね、そうした現場での体験を通じて、農業という産業の奥深さに夢中になりました。

海外農業研修制度を終えて帰国が近づき、「農業に関わる選択肢としてどんなものがあるのか?」と就職を考えるようになったときに、知り合いにオプティムを紹介されたんです。

最初は「IT企業? AI企業?」といった漠然としたイメージしかなかったんですが、調べてみると農業事業ではデータ駆動型の農業を実現しようと展開していることがわかりました。それは大学志望時に非農家出身の私が農業という産業に貢献していくために憧れたものでした。「これだ!」とばかりに、アメリカからエントリーしました。

志望時は世界的なパンデミックが始まる直前でしたが、当時からウェブ面接に積極的に対応いただけたのも印象的でした。



仕事は想像以上に現場派! 1年目から責任ある仕事も


──オプティムに入社する前と入社してからで、仕事の印象は何か変わりましたか?

小林:農業事業だけでもさまざまな取り組みがあるとは聞いていたものの、入社前はIT企業だからオフィスでのデスクワークが中心だと思っていました。それが、入社してみると想像以上に“現場派”でしたね。

主食である米を筆頭に、日本の農業は基本的には1年1作です。1回だけの限られた農繁期に向けて、オプティムのメンバーは現場にある課題をいかに解決していくかを考え、システム開発と技術企画・サービスを展開していきます。そのためには積極的に現場にも立ち、スピード感をもって課題の発見&解決に取り組んでいく必要があるんです。

実際に入社後のIT研修を終え、農業事業部に配属が決まってすぐにドローンの操縦ライセンスを取りに行ったことも、まさに現場派! という驚きでした。

ドローンフライトの様子

──農業事業部ではどんな仕事を担当されていますか?

小林:1年目から私は「ピンポイントタイム散布サービス」といった農業DXサービス事業の企画・営業を主な仕事として行っています。農業事業部に配属されたタイミングが事業開始初年度だったこともあって、チームのディスカッションなどを通じて、まさに事業を企画する、立ち上げるところから経験させてもらっています。

単純な農薬散布サービスとしての事業展開ではなく、生育予測技術を利用して、散布適期を診断して農薬の散布量を最適化することはもちろん、実際にお客様としてお話しさせていただく生産者やJA様が抱える作業負担をAI・IoTの力で効率化・負担軽減できるように、提案もさせてもらっています。

──お話を聞いていると、入社1年目から大きなプロジェクトを担当されているんですね。

小林:そうですね、入社してすぐに新潟県関川村とオプティムの農業DX推進プロジェクトの主担当を任せてもらいました。新しいプロジェクトということで、ノウハウも正解もわからないなか作り上げていく、立ち上げていくことを経験させてもらえたことは非常に貴重な体験だったと思います。

関川村での代かきの様子。現場に駐在して役場や農家をサポートしている


──プロジェクトを実現させていくなかでの苦労や工夫は?

小林:それまで紙の地図を見て、長年の勘から判断して進めていた農薬散布といったアナログの作業をデジタルに変換させていくうえでは、地図のデジタル化が重要なポイントです。それがいちばん大変だったかもしれません。

また、生産者の方と実際に現地でコミュニケーションさせていただくうえで、米の作り方などを勉強する必要もありました。そうすることによって、我々が単にハードウェアやソフトウェアを売るだけの仕事ではなく、生産者の方と一緒に、課題を解決するサービスを提供する仕事であることをお伝えできたのではないかと思っています。今後も半技術者・半営業企画という立場から、現状を分析し、課題解決をサポートしていきたいです。


仕事のやりがいはハンパない!


──就職されてから1年以上が経ちましたが、いまの仕事での目標は何でしょうか?

小林:2023年からは、営業だけでなく事業企画やチームの契約フロー策定といった全体業務にも関わらせてもらっています。地域毎に課題も違いますから、これまで農業事業部が開発・実証してきたものを、それぞれの現場にフィットさせるかたちで運用して、課題を解決していきたいと思っています。と同時に、関川村でも新しい試みにチャレンジしようと思っています。

──最後に、小林さんにとって農業IT企業で働くうえでの仕事のやりがいとは何でしょうか?

小林:いまはまだアナログをデジタルに変える農業DXのサービスが中心ですが、これから画像解析やAIの技術がより発展するにしたがい、生産者の方により喜んでいただける取り組みが増えると思うんです。

その中で、ハードウェアもソフトウェアも全部ひっくるめて、オプティムだからこそできることが広がっていくと思うので、“やりがいはハンパない!”と思っています。


※ ※ ※

1年目から大きなプロジェクトを任されながらも、休日はゴルフやサーフィンを始めたりと、仕事・プライベート両面での充実感を伝えてくれた小林さん。「自分はこの仕事が性に合っている」という彼は、同時に「オプティムはそれぞれが得意なことで向き合える仕事環境だと思う」とも話してくれました。

「ネットを空気に変える」というスローガンのもと、農業だけでなく、建設、医療などあらゆる産業のDX化を進めているオプティム。その力の源は、小林さんのように意欲を持って新しい事業に取り組む若手社員にこそあるのかもしれません。


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【連載】農業IT企業の新入社員に聞く、スマート農業のリアルとやりがい
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、九州某県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方で、韓国語を独学で習得する(韓国語能力試験6級取得)。2023年に独立し、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサル等を行う一方、自身も韓国農業資材を輸入するビジネスを準備中。HP:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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