農林水産省、「2023年農業技術10大ニュース」を発表 環境に配慮した農業の実現をサポート
農林水産省が設置する特別会議、「農林水産技術会議」は、2023年の農業技術10大ニュースを発表した。
「農業技術10大ニュース」は、2023年の1年間に新聞記事となった民間企業、大学、公立試験研究機関および国立研究開発法人の農林水産研究成果のうち、内容に優れるとともに社会的関心が高いと考えられる成果10課題を、農業技術クラブ(農業関係専門紙・誌など30社加盟)の加盟会員による投票を得て選定したもの。
【TOPIC1】果樹の開花に必要な低温積算時間を一目で把握
農研機構が、「果樹の開花に必要な低温積算時間」を把握できるシステムを開発。早期に収穫することで有利に販売できる促成栽培において、スマートフォン等で加温開始時期を適切に判断できることから、開花率の向上や開花時期の斉一化のほか、無駄な加温がなくなることによる省エネ効果により生産性の向上が期待される。
【TOPIC2】 降雨後の水稲乾田直播を実現する直播機を開発
農研機構とI-OTA合同会社が、降雨後の圃場でも水稲の乾田直播作業ができる「畝立て乾田直播機」を共同で開発。土が付着しにくい直播作業部を備え、表面が硬い畝を立ててその上面に種子を播く仕組み。短時間の播種作業が可能で、湿害対策にもつながり、安定的な二毛作の普及拡大への寄与が期待される。
【TOPIC3】 サツマイモ基腐病に強い青果用かんしょ「べにひなた」
農研機構が、サツマイモ基腐病に強い抵抗性を持つ青果用かんしょの新品種「べにひなた」を育成。サツマイモ基腐病のまん延している畑での試験栽培では従来品種の「べにはるか」は1割以下しか収穫できなかったのに対し、「べにひなた」は8割以上収穫できた。宮崎県と鹿児島県で普及が見込まれ、サツマイモ基腐病の被害軽減と青果用かんしょの安定生産への貢献が期待される。
【TOPIC4】 レーザー光による害虫駆除技術を開発
大阪大学と農研機構が、薬抗性を有する蛾の一種「ハスモンヨトウ」について、青色半導体レーザーを照射して撃墜することに成功。ハスモンヨトウの各部位にレーザーのパルス光を照射し、胸部や顔部が急所であることを発見するとともに、飛翔予測、追尾、狙撃するための技術を開発した。化学農薬を使用することなく駆除できる技術として期待される。
【TOPIC5】 コメを活用した肥料被覆材を開発
三洋化成工業株式会社とバイオマスレジンホールディングスが、米を活用した生分解性樹脂を使った農業用肥料被覆材を開発。農地での検証を経て2027年に実用化する予定。肥料成分をプラスチックでコーティングした被覆肥料は、肥料成分が溶け出した後のプラスチック殻の土壌残存や海洋汚染が課題となる中で、本資材で持続可能な農業の実現に貢献する。
【TOPIC6】 害虫の発生状況を遠隔からモニタリング
農研機構は、IoTとフェロモントラップを組み合わせ、省力的に日単位の害虫発生データを自動収集するモニタリング装置を開発。従来より迅速に害虫発生情報を農業者等に提供し、適時適切な農薬散布ができることで農業生産の安定・向上に貢献すると期待される。
【TOPIC7】 酵素パワーで生分解性プラスチック製品の分解を加速
農研機構は、イネに常在する酵母由来の酵素で生分解性マルチの分解を速められることを確認。酵素を大量に生産する方法も開発済みで、野菜などの畑でマルチフィルムに散布する酵素(処理剤)として実用化につなげる方針です。
【TOPIC8】 灰色かび病菌の感染の仕組み解明
名古屋大学は、農作物に大きな被害をもたらす灰色かび病菌が多種多様な農作物に感染できる仕組みを解明。農作物が作る抗菌物質を識別したうえで、それを不活化する酵素を合成する遺伝子を活性化することが判明した。環境に負荷をかけず、病原菌から感染力だけを奪う「RNA農薬」の開発に役立つと期待される。
【TOPIC9】 ホクホク食感のかんしょ新品種「ひめあずま」
農研機構が、かんしょ新品種「ひめあずま」を育成。”ほくほく系”の主力品種「ベニアズマ」に似た風味・触感で、青果、菓子加工用の両方に向いている。「ベニアズマ」より芋の形がよいものを作りやすいため、「ベニアズマ」の後継品種として、関東を中心に全国に普及(2024年をめどに種苗会社を通じて生産者に供給)する予定とのこと。
【TOPIC10】 茎枯病抵抗性のアスパラガス新品種「あすたまJ」を育成
農研機構と香川県、東北大学、九州大学が、難防除病害である茎枯病に抵抗性を持つ国内初のアスパラガス品種「あすたまJ」を育成。露地栽培で従来品種が枯れてしまうほど茎枯病がまん延している畑でも、殺菌剤無散布で順調に生育し安定した収量を得られる。今後、栽培技術の開発や親株の増殖などを通して2028年をめどに種苗の提供を始める予定とのこと。
2023年農業技術10大ニュースの選定について|農林水産技術会議
https://www.affrc.maff.go.jp/docs/press/231225.html
「農業技術10大ニュース」は、2023年の1年間に新聞記事となった民間企業、大学、公立試験研究機関および国立研究開発法人の農林水産研究成果のうち、内容に優れるとともに社会的関心が高いと考えられる成果10課題を、農業技術クラブ(農業関係専門紙・誌など30社加盟)の加盟会員による投票を得て選定したもの。
【TOPIC1】果樹の開花に必要な低温積算時間を一目で把握
-スマホで果樹の促成栽培管理を支援-
農研機構が、「果樹の開花に必要な低温積算時間」を把握できるシステムを開発。早期に収穫することで有利に販売できる促成栽培において、スマートフォン等で加温開始時期を適切に判断できることから、開花率の向上や開花時期の斉一化のほか、無駄な加温がなくなることによる省エネ効果により生産性の向上が期待される。
【TOPIC2】 降雨後の水稲乾田直播を実現する直播機を開発
-畝立て同時乾田直播機を開発-
農研機構とI-OTA合同会社が、降雨後の圃場でも水稲の乾田直播作業ができる「畝立て乾田直播機」を共同で開発。土が付着しにくい直播作業部を備え、表面が硬い畝を立ててその上面に種子を播く仕組み。短時間の播種作業が可能で、湿害対策にもつながり、安定的な二毛作の普及拡大への寄与が期待される。
【TOPIC3】 サツマイモ基腐病に強い青果用かんしょ「べにひなた」
―南九州における青果用かんしょの安定生産に貢献―
農研機構が、サツマイモ基腐病に強い抵抗性を持つ青果用かんしょの新品種「べにひなた」を育成。サツマイモ基腐病のまん延している畑での試験栽培では従来品種の「べにはるか」は1割以下しか収穫できなかったのに対し、「べにひなた」は8割以上収穫できた。宮崎県と鹿児島県で普及が見込まれ、サツマイモ基腐病の被害軽減と青果用かんしょの安定生産への貢献が期待される。
【TOPIC4】 レーザー光による害虫駆除技術を開発
―殺虫剤を使わずにレーザー光によって害虫を撃ち落とす新技術―
大阪大学と農研機構が、薬抗性を有する蛾の一種「ハスモンヨトウ」について、青色半導体レーザーを照射して撃墜することに成功。ハスモンヨトウの各部位にレーザーのパルス光を照射し、胸部や顔部が急所であることを発見するとともに、飛翔予測、追尾、狙撃するための技術を開発した。化学農薬を使用することなく駆除できる技術として期待される。
【TOPIC5】 コメを活用した肥料被覆材を開発
-プラスチック殻の土壌残存・海洋汚染「ゼロ」を目指します-
三洋化成工業株式会社とバイオマスレジンホールディングスが、米を活用した生分解性樹脂を使った農業用肥料被覆材を開発。農地での検証を経て2027年に実用化する予定。肥料成分をプラスチックでコーティングした被覆肥料は、肥料成分が溶け出した後のプラスチック殻の土壌残存や海洋汚染が課題となる中で、本資材で持続可能な農業の実現に貢献する。
【TOPIC6】 害虫の発生状況を遠隔からモニタリング
-IoTを利用し、害虫の発生調査を自動化する装置を開発-
農研機構は、IoTとフェロモントラップを組み合わせ、省力的に日単位の害虫発生データを自動収集するモニタリング装置を開発。従来より迅速に害虫発生情報を農業者等に提供し、適時適切な農薬散布ができることで農業生産の安定・向上に貢献すると期待される。
【TOPIC7】 酵素パワーで生分解性プラスチック製品の分解を加速
-ごみの削減に役立つとともにマルチフィルム処理労力を低減-
農研機構は、イネに常在する酵母由来の酵素で生分解性マルチの分解を速められることを確認。酵素を大量に生産する方法も開発済みで、野菜などの畑でマルチフィルムに散布する酵素(処理剤)として実用化につなげる方針です。
【TOPIC8】 灰色かび病菌の感染の仕組み解明
-「RNA農薬」の開発を目指す-
名古屋大学は、農作物に大きな被害をもたらす灰色かび病菌が多種多様な農作物に感染できる仕組みを解明。農作物が作る抗菌物質を識別したうえで、それを不活化する酵素を合成する遺伝子を活性化することが判明した。環境に負荷をかけず、病原菌から感染力だけを奪う「RNA農薬」の開発に役立つと期待される。
【TOPIC9】 ホクホク食感のかんしょ新品種「ひめあずま」
―青果用と菓子加工用の両方に適する「ベニアズマ」の後継―
農研機構が、かんしょ新品種「ひめあずま」を育成。”ほくほく系”の主力品種「ベニアズマ」に似た風味・触感で、青果、菓子加工用の両方に向いている。「ベニアズマ」より芋の形がよいものを作りやすいため、「ベニアズマ」の後継品種として、関東を中心に全国に普及(2024年をめどに種苗会社を通じて生産者に供給)する予定とのこと。
【TOPIC10】 茎枯病抵抗性のアスパラガス新品種「あすたまJ」を育成
-茎枯病発生ほ場でも高収量が見込める革新的な抵抗性品種-
農研機構と香川県、東北大学、九州大学が、難防除病害である茎枯病に抵抗性を持つ国内初のアスパラガス品種「あすたまJ」を育成。露地栽培で従来品種が枯れてしまうほど茎枯病がまん延している畑でも、殺菌剤無散布で順調に生育し安定した収量を得られる。今後、栽培技術の開発や親株の増殖などを通して2028年をめどに種苗の提供を始める予定とのこと。
2023年農業技術10大ニュースの選定について|農林水産技術会議
https://www.affrc.maff.go.jp/docs/press/231225.html
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