新型コロナウイルスの影響を受けている農業者が利用可能な助成金まとめ

新型コロナウイルスによる需要の激減や人材不足など、大打撃を受けている生産者も多いのではないだろうか。

今回は、先の見えない不安を抱えている生産者の方向けに政府や自治体で行われている助成金について紹介していこう。

なお、新型コロナウイルスに対応する支援策は、日々更新され続けている。それぞれの施策の最新情報は、必ず各リンク先のサイトにて確認してほしい。



給付タイプの助成金

まずは、農業者が利用することのできる給付タイプの助成金だ。基本的には事業主を対象とした助成で、条件が認められればその金額を受け取れるというもの。

1カ月の収入が半減した事業者への「持続化給付金」、特別休暇や就業規則・人材確保などの取り組みに対する「働き方改革推進支援助成金」、野菜・花き・果樹・茶などの高収益作物を栽培する農家に向けた「高収益作物次期作支援交付金」、農業人材の確保や研修などに対する「農業労働力確保緊急支援事業」、在庫が滞留している農家に向けた「国産農林水産物等販売促進緊急対策」、農産物を輸入から国産に切り替えるために利用できる「国産農畜産物供給力強靱化対策」、年間100日までの休業期間分を補償する「雇用調整助成金」、そして、新型コロナウイルスが発生した場合の対策として「新型コロナウイルス感染症の発生畜産農場等における経営継続対策事業」などがある。

持続化給付金

新型コロナウィルスにより特に大きな影響を受けた中小企業や小規模事業者全般に対して支払われる給付金。月の売り上げが前年月比で半額以下の事業者が対象となるが、収入が確定しにくい農業への対応として、年収から平均月収を計算するなど、柔軟な対応が可能だ。なお、補助金などは収入に含まれない。


給付額
法人200万円、個人事業者100万円。ただし昨年1年間の売り上げからの減少分を上限とする。

計算方法:前年の総売り上げ-(前年同月比▲50%月の売り上げ×12ヶ月)

支給要件
・新型コロナウィルスの影響により売り上げが前年同月比で50%以上減少している。
・資本金10億円以上の大企業は除き、中堅企業、中小企業、小規模事業者、フリーランスなど個人事業主が対象。
・医療法人、農業法人、NPO法人、社会福祉法人など会社以外の法人も対象。

申請方法
・個人事業主:本人確認書類、2019年確定申告の控え、減収月の事業収入額を記した帳簿など(様式は問わない)
・法人:法人番号、2019年確定申告の控え、減収月の事業収入額を記した帳簿など(様式は問わない)
Web上での申請を基本とし、必要があれば完全予約制の申請支援窓口を開設予定。

問い合わせ先
中小企業 金融・給付金相談窓口
0570-783183
https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/kyufukin.pdf

働き方改革推進支援助成金

新型コロナウィルス対策の1つとして、特別休暇の取得促進に向けた環境整備に取り組む中小企業の事業者を支援する助成金。

支援内容
取り組みに要した経費の一部を支給。
・対象経費の合計額×補助率3/4(※)
・1企業当たりの上限額50万円
※常時勤務する労働従事者が30名以下かつ支給対象の取組で6から10を実施する場合で、その所要額が30万円を超える場合の補助率は4/5

支給要件
2020年2月17日~5月31日までに以下のいずれかひとつ以上の取り組みを実施すること。
・労務管理担当者に対する研修
・労働者に対する研修、周知・啓発
・外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など) によるコンサルティング
・就業規則等の作成・変更
・人材確保に向けた取組
・労務管理用ソフトウェアの導入・更新
・労務管理用機器の導入・更新
・デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新
・テレワーク用通信機器の導入・更新
・労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新
(小売業のPOS装置、自動車修理業の自動車リフト、運送業の洗車機など)

申請方法
交付申請書を事業実施計画書などの必要書類と共に最寄りの労働局雇用環境・均等部に提出。締め切りは5月29必着。
申請書ダウンロード:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/syokubaisiki.html

問い合わせ先
最寄りの労働局雇用環境・均等部
https://www.mhlw.go.jp/content/000620263.pdf

高収益作物次期作支援交付金

外食需要減少により市場価格が低下するなどの影響を受けた野菜・花き・果樹・茶などの高収益作物について、新型コロナウィルス収束後に向けた次期作に前向きに取り組む生産者を支援。

支援内容・要件
1.高収益作物の次期作に前向きに取り組む生産者向け
(定額支援:10aあたり5万円)
2.需要促進に取り組む生産者向け
(定額支援:10aあたり2万円×取り組み数)

問い合わせ先
農林水産省 生産局園芸作物課
03-6738-7423
https://www.maff.go.jp/j/budget/attach/pdf/r2hosei-25.pdf


農業労働力確保緊急支援事業

農業従事者などの即戦力人材や学生などの多様な人材の就農に必要な活動費や研修に必要な設備の導入を支援。

支援内容・要件
1.即戦力人材による援農支援
他地域の農業従事者など農業経験者が人手不足となった農業経営体において援農する際の活動費を支援。
2.多様な人材による援農・就農支援
・他産業の従事者や学生などの援農・就農する際の活動費を支援。
・上記の人材が援農・就農の前後に農業経営体において研修を受ける活動費を支援。
・農業機械などの操作方法を行う研修期間(農業大学校、農業高校など)に対しスマート農業などを実施するための研修用の機械・設備の導入を支援。

問い合わせ先
農林水産省 経営局就農・女性課
03-3502-6469
https://www.maff.go.jp/j/budget/attach/pdf/r2hosei-5.pdf

国産農林水産物等販売促進緊急対策

新型コロナウィルスの影響による在庫の滞留が生じている品目(果物、牛肉、花き)農林漁業団体、品目別団体等が行う販売促進の取組を支援。また花きについては空港、駅、学校、企業等における花きの活用拡大を通じた需要喚起の取り組みを支援。

支援内容・要件
1.国産農林水産物等販売促進緊急対策事業
・支援対象となる品目
新型コロナウィルスによりインバウンドの減少や輸出の滞留などにより、売り上げの減少が生じている品目。(果物、牛肉、花き)
・支援対象となる取り組み
対象品目に関する農林漁業団体、品目別団体、業界団体等が行う販売促進、品目横断的な取組の企画・立案・実施 。

2.公共施設等における花きの活用拡大支援事業
・主要な空港などで花きの活用拡大を通じた国内外の需要喚起。
・学校などにおける花きの活用拡大に向けた日常生活における需要喚起。
・メディア・SNSなどを活用した国内外への情報発信。

問い合わせ先
1の事業:農林水産省 大臣官房政策課
03-6744-2089
2の事業:農林水産省 生産局園芸作物課
03-6738-6162
https://www.maff.go.jp/j/budget/attach/pdf/r2hosei-23.pdf

国産農畜産物供給力強靱化対策

新型コロナウィルスの影響により顕在化した新たな需要に対応し、輸入農畜産物から国産に切り替え、継続的・安定的な供給を図るための体制整備を支援。

支援内容・要件
・農産物処理加工
・集出荷貯蔵
・生産技術高度化施設・設備の緊急的な導入・増強、既存設備の改修・不要設備の撤去など
(交付率:1/2以内)
 
問い合わせ先
生産局総務課生産推進室
03-3502-5945
https://www.maff.go.jp/j/budget/attach/pdf/r2hosei-8.pdf

雇用調整助成金


経済上の理由により事業縮小を余儀なくされた事業主が雇用の維持を図るための休業手当に要した費用を助成。新型コロナウィルス感染症特例措置が追加された。

支援内容・要件
<休業を実施した場合の休業手当または教育訓練を実施した場合の賃金相当額を助成>
・新型コロナウィルスによる影響を受ける事業主の助成率:中小企業4/5、大企業2/3
・以下の要件を満たし、解雇などをしなかった事業主に対し助成率を上乗せ:中小企業9/10、大企業3/4
(1)1月24日から賃金締め切り期間(判定基礎期間)の末日までの間に労働者を解雇していないこと。
(2)賃金締め切り期間(判定基礎期間)の末日における労働者数が比較期間(1月24日から判定基礎期間の末日まで)の月平均事業所労働者数と比較して4/5であること。

<教育訓練を実施した時の加算>
必要な被保険者に教育訓練(オンラインの教育訓練も含む)を実施:中小企業2400円、大企業1800円加算

<支給限度日数>
通常時:年間100日
緊急対応期間(4月1日~6月30日):上記限度日数とは別枠で利用可能

<雇用保険被保険者ではない方>
雇用保険被保険者でない方を休業させるときも同様の助成が受けられる

申請方法
計画届の提出に必要な書類:休業等実施計画届、雇用調整事業所の事業活動の状況に関する届出書、休業協定書、事業所の規模を確認する書類
支給申請に必要な書類:支給要件確認申立書・役員等一覧、支給申請書、助成額算定書、休業・教育訓練実績証明書、労働・休日の実績に関する書類、休業手当・賃金の実績に関する書類
申請書ダウンロード:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyouchouseijoseikin_20200410_forms.html

問い合わせ先
各都道府県のハローワーク
https://www.mhlw.go.jp/content/000620879.pdf

新型コロナウイルス感染症の発生畜産農場等における経営継続対策事業

新型コロナウィルスの感染者が出た畜産農家の代替要員にかかる経費などを支援。

支援内容
・新型コロナウィルス感染者が発生した農場の事業継続のための代替要員の派遣。
・新型コロナウィルス感染者が発生した農場の家畜を、公共牧場などに緊急避難させるための支援。
・新型コロナウィルス感染者が発生した農場の清浄化、感染拡大防止のための消毒などに関わる経費を支援。
・乳業工場の処理能力低下により出荷できなくなった生乳に対しての支援。

問い合わせ先
生産局牛乳乳製品課
03-3502-5988
生産局畜産企画課
03-3502-0874
https://www.maff.go.jp/j/budget/attach/pdf/r2hosei-10.pdf

融資タイプの助成金

続いて、農業者が利用できる融資タイプの助成金だ。融資とあるように返済が必要なものだが、基本的には無担保のものが多く、現状の新型コロナの影響を受けた中でも受けやすい条件となっている。

借り入れ元は日本政策金融公庫や農協、信用金庫などで、返済期間も長期のものが多い。金額は大きいものの、新型コロナだからという理由だけでなく、長期的な営農計画をしっかり立てた上での運用が求められる。

農林漁業セーフティネット資金

農林漁業者を対象に緊急事態に対応するために必要な資金を、実質無担保で融資を受けることができる。

対象者
農業経営基盤強化促進法に規定する農業経営計画を作成し、市町村長の認定を受けた者
・主業農林漁業者農林漁業所得が総所得の過半を占めるもの、または粗収益が200万円以上、法人1000万以上であるもの
・農業経営基盤強化促進法に規定する青年等就農計画を作成し、市町村長の認定を受けた者
・集落営農組織

借入条件
1.資金の使途
・さまざまな災害により被害を受けた農林漁業経営の再建に必要な資金であること。
・法令に基づく行政処分(CFSウィルス、鳥インフルエンザなどによる殺処分、移動制限など)により農林漁業経営の維持安定に必要な資金であること。
・社会的経済的環境の変化など(新型コロナウィルス、農作物の不作など)により売り上げの減少が前期に比べて10%以上減少し、経営状況が悪化している場合。

2.借入限度額
・簿記記帳を行っている場合:年間経営費の12/12または粗収益の12/12に相当する額のいずれか低い方
・上記以外の場合1200万円

3.借入金利
貸付当初5年間実質無利子

4.償還期限
10年以内(うち措置期間は3年)

申請方法
最寄りの農協や銀行などに必要書類を提出。

問い合わせ先
株式会社日本政策金融公庫
0120-154-505
https://www.maff.go.jp/j/saigai/n_coronavirus/attach/pdf/index-25.pdf

農業経営基盤強化資金(スーパーL資金)

認定農業者に対して規模拡大や経営改善に図るのに必要な資金を、実質無担保で融資を受けることができる。

対象者
・認定農業者

借入条件
1.資金の使途
・農業経営改善に必要な資金全般

2.借入限度額
・個人:3億円(複数部門経営などは6億円)
・法人:10億円(民間金融機関などの協調融資の状況に応じ30億円)

問い合わせ先
株式会社日本政策金融公庫
0120-154-505
https://www.maff.go.jp/j/saigai/n_coronavirus/attach/pdf/index-25.pdf
 

経営体育成強化資金

農業を営む者に対し経営展開に必要な投資にかかる資金と、営農負債の償還負担を軽減するための資金を実質無担保で融資を受けることができる。

対象者
・農業を営む者

借入条件
1.資金使途
・前向き投資資金であること。
・償還負担軽減のための資金であること。
・民事再生法などにより事業の再生に必要な資金であること。

2.借入限度額、償還期限・借入金利
出典:【新型コロナウイルス緊急対応策(第2弾)】 農林漁業者への資金繰り支援策について|農林水産省

問い合わせ先

株式会社日本政策金融公庫
0120-154-505
https://www.maff.go.jp/j/saigai/n_coronavirus/attach/pdf/index-25.pdf

農業近代化資金

農業を営む者に対し経営改善に必要な資金を円滑に調達するために、都道府県が農協や民間金融機関に利子補給措置を講ずることにより、実質無担保で融資を受けることができる。

対象者
・農業を営むもの
・農協、農協連合会
・地方公共団体が主たる構成員・出資者になっている団体、基本財産の過半を拠出している法人

借入条件
1.資金使途
・畜舎、果樹棚、農機具など農産物の生産、流通又は加工に必要な施設の改良、造成、復旧または取得に必要な資金
・果樹その他の永年性植物の植栽または育成、乳牛その他の家畜の購入または育成に必要な資金
・農地または牧野の改良、造成または復旧に必要な資金
・長期運転資金
・農村環境整備資金

2.借入限度額
農業を営む個人:1800万円
農業を営む法人・団体:2億円
農協など:15億円

3.借入金利
貸付当初5年間実質無利子

4.償還期限
資金使途に応じ7~20年(措置期間2~7年)

5.融資率
原則80%以内

申請方法
最寄りの農協や銀行などに必要書類を提出。

問い合わせ先
農協、信用農協連合会、農林中金、銀行、信用金庫、信用組合
https://www.maff.go.jp/j/saigai/n_coronavirus/attach/pdf/index-25.pdf

各都道府県などで実施している助成金

ここでは各都道府県などで行われている助成金について一部をご紹介する。こちらのJAバンク滋賀の取り組みは、本来は災害罹災時のためのものだが、特例措置として実施するものだ。

同様の取り組みは、読者の近くの自治体でも実施されている可能性がある。地域性や独自性の高いものも多数あるので、各都道府県、政令指定都市、市区町村などのサイトも参照してほしい。

アグリマイティー資金(JAバンク滋賀)

新型コロナウィルスにより影響の出ている農業を営むものに対して、資金の融資を受けることができる。今回紹介するのはJAバンク滋賀の実施条件だが、他県でも新型コロナウィルスによる特例措置を実施している所もあるので、住んでいる地域のJAに問い合わせを。

対象者
・農協組合員の方
・滋賀県農業信用基金協会の保証が受けられる方
・JA滋賀が定める要件を満たしている方

借入条件
1.資金使途
・災害緊急資金

2.借入限度額
100万円以上1000万円以内

3.借入金利
年0%

4.償還期限
5年(措置2年以内)

5.担保・保障
全額助成

申請方法
市町もしくはJA発行の罹災証明書を提出。

問い合わせ先
JAバンク滋賀またはお近くのJA窓口
https://www.jabank-shiga.jas.or.jp/info/sikintaiou-covid19.html


国や自治体が実施している助成制度をうまく活用しよう

現段階で農業関係者が利用できそうな制度を紹介してきた。中小企業向け支援である持続化給付金などまだ情報が完全でないものや、新しく制定される制度など情報が公開され次第随時追記していくのでこまめにチェックしておくといいだろう。

現状では、国として農業のシステムに配慮したような内容のものは提供されていないが、農業に関しても民間企業と同様の扱いで対応してもらえるものはある。厳しい状況が続くからこそ、国の食を支える農業分野にしっかり配慮した対策を望みたい。


農林水産省 新型コロナウィルス感染症の影響を受ける農林漁業者・食品事業者の皆様へ
https://www.shutterstock.com/ja/image-photo/beautiful-agriculture-sunset-landscape-ears-golden-766004419
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WRITER LIST

  1. 福田浩一
    ふくだこういち。東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。現在は主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。http://www.ijas.co.jp/
  2. 中村圭佑
    なかむらけいすけ。明治大学農学部卒業後、日本農薬株式会社に約7年勤務。その後、大手経営コンサルティング会社を経て、FOOD BOX(現在登記準備中)を2019年7月に起業。Facebook:https://www.facebook.com/foodboxjp/、Instagram:https://www.instagram.com/foodbox_jp/
  3. 百花繚乱
    趣味は料理、漫画、読書のミドルの男です。商社勤務で全国や海外を転々しているうちに、故郷に哀愁を覚え、約10年前に地元の農業関連会社にとらばーゆ。
  4. さわちん
    2児の父。あるきっかけにより農業のイメージを変えたいと考え、16年間のサラリーマン生活にピリオドを打つことを決意。2020年春、家族で田舎に移住し、新規就農を目指す。自身が「移住×就農のモデルケース」となるために、いろんな方面へ向けて奮闘中。
  5. 藤本一志
    ふじもとかずし。大学・大学院の6年間を通して地域づくりと農業の活動に関わる。1年間のサラリーマン生活の後、学生時代から活動していた地域に移住し、2拠点居住を開始する。移住支援を通じた地域づくり活動に取り組む傍ら、兼業農家として稲作に取り組む。