農業未経験でも農家になれる? 新規就農の方法とは【目指せレモン農家! 槇紗加の農業奮闘記 第2回】

こんにちは! レモン農家を目指し、神奈川県小田原市の矢郷農園で農業研修中の槇 紗加(まき さやか)です。

前回のコラムでは、私が農業の道に進んだ理由をお話ししました。

農業未経験の女子大生がなぜ農業の道に?【目指せレモン農家! 槇紗加の農業奮闘記 第1回】

第2回では、農業未経験者が農家になるために必要なものについてご紹介します。

農家になるといっても、農業法人に就職したり、実家の畑を継いだりと方法はさまざま。今回は、農業未経験・非農家が新規就農(独立)するという前提でご説明します。

といっても、私自身まだまだ研修生の身なので実際に新規就農を経験した訳ではありません。このコラムだけでなく、プロの農家の方に話を聞いたり、各市区町村の農政課に相談してみたりと、さまざまな方面から情報を集めてみてください。


農業をはじめるには農地が必要。しかし、簡単には手に入らない……


農作物を育てるために、なくてはならないのが「農地」。実は、簡単には手に入らないんです。

日本の農地は、農地法という法律によって守られています。

農地法とは、農地の売買や、農地を農地以外の土地に転用することを規制する法律。この法律がないと、他の土地に比べて安価な農地を耕作以外の目的で悪用する人が出てきてしまうのです。

農地法の第3条では、農地を買ったり借りたりする場合には農業委員会の許可が必要と記載されています。そのため、各市区町村に設置されている農業委員会のルールに則って新規就農のための準備を進めていく必要があります。

例えば、私が就農する予定の小田原市では、新規就農をして農地を借りるために以下の2つの条件が定められています。

▼小田原市における新規就農の方法
(1)農業または農業法人等で最低2年間、農作業(研修)に従事した実績が証明できること
※最低2作することを想定し、研修期間は2年間を設定します。
※研修内容は、栽培技術のほか、自分で経営をするために必要な事項を含みます(販路の獲得など)。
※神奈川県立かながわ農業アカデミーの学生である場合は、研修期間は1年間で就農が可能です。
(2)今後5年後の営農計画が立てられること。
引用:小田原市 | 新規就農者に対する支援事業について
つまり、小田原市で新規就農するためには2年間の農業研修が必要となります。市区町村によってこの条件はさまざま。隣の市では研修が1年間だけでいいなんてこともあったりするので、まずは就農したい地域の役所に確認してみてください。各都道府県に設置されている新規就農相談センターを利用するのもおすすめです。

また、農地法のほかにも農地を借りるための壁があります。それは、地主さんがなかなか農地を貸したがらないケースが多いということ。どこから来たかわからない人に自分の土地を貸すということは、不安に感じるのもしょうがないのかな、と思います。

就農前にその地域に通い、信頼関係を築いておくことでスムーズに農地の売買・貸借を行うことができるのではないかと考えています。

研修を通して、技術を学ぶ


農作物を売って生活をするには、安定的な生産を行うことが重要です。そのために、プロの農家さんから技術を学ぶことはとっても大切です。

高齢の農家さんの場合、技術やノウハウはデータとして残っているわけではなく、すべて自分の頭の中で管理していることがほとんど。直接会いに行き、お話を聞きながら学ぶのが確実です。

私が研修している矢郷農園の2人
地域の農業大学校に通うというのも1つの手ですが、休日に就農したい場所に通うなど、その土地のことを知り、地域の方との信頼関係を築く工夫が必要。美味しい作物を育てるためには、気候や土壌の状態、地形など地域特有の環境を理解しておくことが重要です。

農業大学校は道府県単位で設置されているため、実際に就農したい場所から離れていたり、実際に育てたい作物が育てにくかったりすることもあります。

学校に通えば、農業全般を体系的に学べるというメリットもありますが、将来のことを見据えて就農したい地域の情報を確保しておくことも重要です。

私自身、神奈川県にある「かながわ農業アカデミー」を受験し通学する予定でしたが、入学直前まで悩み、結果的に入学を辞退して就農したい地域にある矢郷農園での研修を選びました。農作業の実践的な部分から販売まで技術を学ぶことはもちろん、地域のさまざまな方とコミュニケーションを交わすことができています。

資金を確保する


新たに農業を始めるには、農地を借りたり農機具をそろえたり、苗を買ったりとさまざまな費用がかかります。

もともと貯金が十分にあり資金が確保できている方は問題ないですが、これから農家になりたいという人の中には、貯金がない状態からスタートするという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そんな方におすすめしたいのが補助金制度の利用です。

国で定められているものから、各市町村や各地域のJAが提供しているものなどさまざまな補助金が存在します。

補助金は毎年内容が更新され、受け取るための条件が変わってくるため、定期的に情報収集を行うことが必要です。国で定められているものも窓口は各市町村の役所であることが多いため、役所の農政課に足を運んだり、地域のJAの担当者に話を聞いてみたりしてください。

私も、将来就農する際に補助金を活用しようと考えているため、小田原市役所の農政課に通いながら準備を進めています。農政課の方々がとても優しくサポートしてくれるので助かっています。

地域とのかかわりを大切に


最後に、地域とのかかわりについてお話しします。農地や研修の部分でもお話しした通り、就農したい地域の方々とコミュニケーションを取り、信頼関係を築くことはとても重要です。

とはいえ、信頼関係を築くにはどうしたらよいか迷う方も多いのではないでしょうか。そこでおすすめしたいのが、地域のイベントに積極的に参加することです。

例えば、私が就農したいと考えている小田原市片浦地区では農道を整備する地域の農家による団体「(土地)改良区」というものがあります。師匠に誘っていただき、この改良区の活動に参加したところ、さまざまな世代の方々とたっぷり会話をすることができました。

改良区の様子
他にも、どんど焼きやお祭りなど各地域で行われているイベントに参加しお話をすることで少しずつ信頼関係を築くことができるのではないかと考えています。

これから農業大学校に通う予定で頻繁に地域に通えないという方も、イベントだけなら参加しやすいのではないでしょうか。

今回は、農業未経験者が農家になるために必要なものについてご紹介しました。ゼロから新規就農をするには多くのハードルがあり、私自身不安なことも多いですが、ひとつひとつ問題に向き合っていけば必ず道は開けると信じて頑張ります!

私の周りにも、親元就農をした方やゼロから新規就農をした方などさまざまな就農の形をとった農家さんがたくさんいるので、実際にインタビューをしたコラムも書いてみたいと思っています。

こんなコラムが読んでみたい! 〇〇について聞きたい! などご意見がありましたら、ぜひぜひいただけるとうれしいです! 引き続きよろしくお願いします♪


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WRITER LIST

  1. 槇 紗加
    1998年生まれ。日本女子大卒。レモン農家になるため、大学卒業直前に小田原に移住し修行を始める。在学中は、食べチョクなど数社でマーケティングや営業を経験。その経験を活かして、農園のHPを作ったりオンライン販売を強化したりしています。将来は、レモンサワー農園を開きたい。
  2. 田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  3. さわちん
    2児の父。あるきっかけにより農業のイメージを変えたいと考え、16年間のサラリーマン生活にピリオドを打つことを決意。2020年春、家族で田舎に移住し、新規就農を目指す。自身が「移住×就農のモデルケース」となるために、いろんな方面へ向けて奮闘中。
  4. 福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  5. 窪田新之助
    農業ジャーナリスト。福岡県生まれ。日本経済新聞社が主催する農業とテクノロジーをテーマにしたグローバルイベント「AG/SUM(アグサム)」プロジェクトアドバイザー、ロボットビジネスを支援するNPO法人Robizyアドバイザー。著書に『日本発「ロボットAI農業」の凄い未来』『GDP 4%の日本農業は自動車産業を超える』(いずれも講談社)など。