介護予防や認知症予防に「お米」がおすすめな理由【栄養士コラム】

栄養士の堀口泰子です。

近年は平均寿命に対して、健康寿命という言葉に関心が高まっています。健康寿命とは、日常生活が健康上の問題で制限されずに暮らせる期間と定義されています。

健康寿命をのばすということは、介護の期間を短くすることになります。いつまでも若々しく元気に人生を楽しみたいものですね。

そんな健康を考える方の主食には、「ごはん(お米)」がおすすめです。今回は、お米を食べることで期待できる介護のリスク軽減についてご紹介します。


生活習慣病やフレイル予防になる


日本は戦後から食生活が豊かになり、長寿の国となりました。その一方で脳卒中や糖尿病など、生活習慣病が増加し、今や国民病ともいわれるほどです。介護のリスク軽減を考えるとき、まず生活習慣病の予防に取り組む必要がありそうです。

では、お米を食べることは生活習慣病の予防にどう役立つのでしょうか。

日本人の食の変化をエネルギー産生栄養素の摂取割合からみてみましょう。戦後から日本人は脂質の摂取割合が増加しています。


日本人のお米の消費量が減っていることは、周知のことでしょう。しかし、お米を軸とする和食は日本人が不足しがちな野菜や豆類、魚類なども摂りやすく、食パンやスパゲッティと比べてもお米は脂質が少ない主食です。


日本人の理想的なエネルギー産生栄養素の割合はおよそ炭水化物60%、たんぱく質15%、脂質は25%とされています。

お米を適度に食べるとおかずの食べすぎを防ぐことができるので、脂質の摂りすぎを抑えることにも繋がり、理想的な栄養バランスに近づくことが期待できそうです。

また、ごはんにたっぷりの野菜やきのこ、海藻類を入れた具だくさんのみそ汁と組み合わせて食べることで、ビタミン、ミネラル、食物繊維の摂取量を増やすことができます。

一方で、年齢を重ねると食が細くなりがちです。

若い頃は好んで食べていた揚げものが、昔ほど食べられなくなった、という経験はないでしょうか。これは、消化器官の動きや消化酵素の分泌量が低下しやすくなるからです。

高齢者の低栄養が進むと、心身が疲れやすく弱った状態、いわゆる「フレイル」が起こりやすくなります。フレイルは介護の要因のひとつとも言われています。

お米は脂質が少ないため消化器官への負担が少なく、効率の良いエネルギー源となります。

このようなことからお米を上手に取り入れることは介護予防に期待ができます。

“そしゃく”を促し、認知症予防に


お米の機能性にも着目してみましょう。お米は粒食なので、パンや麺類と比較するとそしゃくが多く必要になります。そしゃくは食べものを細かくするだけでなく、顎や舌の筋肉を使います。この複雑な運動は脳を活発に動かします。

また、そしゃくにより、脳の血液循環が増えるので脳神経が刺激されます。さらに、よく噛むことで胃腸が連動して活動するため、消化酵素の分泌も促します。

お米は生活習慣病予防やフレイル予防に加えて、その機能性からも認知症のリスク軽減にも期待ができそうです。

心の健康を保つ


幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンは、緊張やストレスを感じると分泌されて、自立神経を整える働きをしています。

セロトニンを作る材料となるトリプトファンは体内で合成できないため、食事から摂取する必要があります。トリプトファンは穀類や大豆製品に多く含まれているため、お米をはじめこれらの食材を積極的に食べることで、セロトニンの産生にも役立つのです。

また、ごはんの量を必要以上に減らしていると、カラダは糖質不足から甘いものを欲します。

粒食であるお米は、よく噛むことで血糖値の上昇が緩やかであるのに対して、砂糖などの甘いものは、食べると血糖値は急上昇した後、急下降してしまいます。

低血糖状態に陥ると、落ち込んだりイライラしたり、精神的に不安定になりやすいのです。しっかりお米を食べることが甘いものを余計に欲することを防ぎ、精神的安定や心の健康にも影響していると言えます。



介護予防にお米がおすすめな理由まとめ

  1. 脂質が少なく、生活習慣病やフレイル予防になる
  2. そしゃくを促し、認知症予防になる
  3. 心の安定につながる

いかがでしたか。いつまでも若々しく元気で、人生を楽しむために、介護予防と健康維持の視点からお米やごはん食を軸とした和食を上手に活用してみてはいかかでしょうか。

厚生労働省「平成30年国民健康・栄養調査報告」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/h30-houkoku_00001.html
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_01110.html

堀口泰子
栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。
HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/

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  1. 槇 紗加
    1998年生まれ。日本女子大卒。レモン農家になるため、大学卒業直前に小田原に移住し修行を始める。在学中は、食べチョクなど数社でマーケティングや営業を経験。その経験を活かして、農園のHPを作ったりオンライン販売を強化したりしています。将来は、レモンサワー農園を開きたい。
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    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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    農業ジャーナリスト。福岡県生まれ。日本経済新聞社が主催する農業とテクノロジーをテーマにしたグローバルイベント「AG/SUM(アグサム)」プロジェクトアドバイザー、ロボットビジネスを支援するNPO法人Robizyアドバイザー。著書に『日本発「ロボットAI農業」の凄い未来』『GDP 4%の日本農業は自動車産業を超える』(いずれも講談社)など。