夜ごはんの白米抜きはほんとうにダイエット効果がある?

栄養士の堀口泰子です。

ダイエットや寝る前の食事のカロリーセーブのために、よく聞く「夕飯時の白米抜き」を試した経験がある方も多いのではないでしょうか。体にはどのようなことが起こっているのか詳しくご紹介しましょう。


あなたのごはん必要量はどれくらい?


1日に必要なエネルギー量は性別、年齢、体格や活動量などによって個人差はありますが、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年度版)」によると、平均的な体格と活動量の男女の推定エネルギー必要量は、成人男性でおよそ2700kcal前後、成人女性でおよそ2000kcal前後としています。

そのうち、炭水化物は全体の50〜65%の割合で摂取することが望ましいとして、「エネルギー産生栄養素バランス」に示しています。わかりやすく炭水化物を60%として、ごはん量に換算すると、成人男性で1食あたりおよそ300g成人女性でおよそ200gとなります。

茶碗1杯は150gですから、ダイエットを考えていても、ごはんは意外としっかり食べてよいことがわかります。


また、摂取エネルギー量を極端に減らして代謝が落ちると、痩せにくい体質になりがちです

ダイエットのためには、食べたカロリーをしっかり燃やすことができる代謝量の高い体づくりが必要です。ごはんは燃焼しやすいエネルギー源なので、ダイエットにおすすめ。適量をよく噛んでゆっくり食べましょう。

ごはん抜きカロリーセーブの落とし穴



ごはんを食べなければ摂取カロリーを減らすことはできます。しかし、食事の量やそしゃくの回数が減ることで、満腹感が得にくいため、おかずやお酒の量が増えたり、甘いものがかえって食べたくなってしまった経験はありませんか。ごはんを抜いても、単純にカロリーダウンとはいかないのかもしれません。

また、お米にはさまざまな栄養が含まれていて、脂質が少ない特徴があります。


夜ごはんに白米を抜くことでたんぱく質や食物繊維などの摂取量まで減らしてしまうので、その分、栄養素の補足が必要なうえ、脂質摂取量を増やさない配慮も必要になります。

さらに、ごはんを抜くと日本人の理想的なエネルギー産生栄養素のバランスが崩れ、炭水化物の摂取割合が減り、その結果、脂質の摂取割合が増えてしまいます。

夜に晩酌をするため、ごはんを抜く方もいらっしゃるかと思います。エネルギー産生栄養素バランスでは、炭水化物にアルコールが含まれているものの、その摂取を勧めるものではありません。

特にごはんを抜くと、余計な糖や脂肪を体外に排出する役割のある食物繊維量まで減ってしまうので、補う努力が必要になります。

お米を抜くことはダイエットの食事として一見簡単そうですが、実はごはんを含む食事全体でボリュームを調整する方が栄養のバランスは崩れにくいので、ダイエットの食事に向いているのです。

夜ごはんに白米を抜くことで何が起こる?



夜ごはんに白米を食べない理由のひとつとして、就寝前に炭水化物を食べると太ることに繋がるのでは? といった心配があるのではないでしょうか。

夜ごはんに白米を抜くと、体ではどんなことが起こるのでしょうか。

白米のでんぷんは、分解されるとブドウ糖になります。ブドウ糖は、脳の唯一のエネルギー源として利用されますが、脳は睡眠中も活動しているためエネルギーが必要です。

ところが、1回の食事で体内に蓄えられるブドウ糖の量は、約12時間分と言われています。昼ごはん以降、朝まで炭水化物を食べていないと、睡眠中に低血糖が起こっている恐れがあるのです。

さらに飲酒をすると、アルコールを分解するために肝臓も糖質をエネルギー源として利用するため、低血糖が起こりやすいので、晩酌をする方は特に注意が必要です。

血糖値が低い状態では脳の活動が低下することが知られていますが、睡眠中の低血糖は翌朝の高血糖を招くだけでなく、繰り返すうちに心臓や認知機能に影響したり、重症化すると命に危険を及ぼすこともあります。

白米だけを抜くのではなく、食事全体の調整をしたほうが良さそうですね。

まとめ


  1. お米だけを抜かない
  2. 適量をよく噛んでゆっくり食べる
  3. 分づき米や玄米も活用してみる
  4. 食事全体で調整する
  5. 不足した栄養を補う

ライフスタイルに合わせてご自身のごはんの食べかた、適量を見つけてみてくださいね。

▼こちらもチェック
ダイエット中にお米は何合食べていいの?【栄養士コラム】
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日本人の食事摂取基準(2020 年版)(PDF)
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
文部科学省 日本食品標準成分表2020年版(八訂)
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_01110.html

堀口泰子
栄養士。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。健康食育事業やアスリートサポートに従事。健康的で美味しく食べる食事術を伝える。講演、栄養指導、コラム執筆、レシピ、商品開発、料理講師など幅広く活動。離乳食から介護予防まで様々な食育活動のなかで、健康に役立つお米の食べ方を紹介。スポーツの現場ではジュニア育成と競技競技力向上ための心と体の成長に注力している。
HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/


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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
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    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、九州某県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方で、韓国語を独学で習得する(韓国語能力試験6級取得)。2023年に独立し、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサル等を行う一方、自身も韓国農業資材を輸入するビジネスを準備中。HP:https://sinkankokunogyo.blog/
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    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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