夏バテ予防には麺類より「お米」? 効果的な食べ方を紹介

栄養士の堀口泰子です。

厳しい暑さが続くと心配になる夏バテ。その予防にお米が役立つのはご存じでしょうか。

今回は夏バテ予防に役立つお米の食べ方についてご紹介します。
 

夏バテの原因



夏バテのおもな原因は、食欲低下による栄養不足、発汗による体内の水分やミネラル不足、自律神経の乱れ、寝不足などがあげられます。

また、夏の食欲不振には水分補給が関係しています。発汗に応じた水分補給は大切ですが、一度に大量の冷たい飲みものを取ると胃液が薄まることで消化器官に負担がかかり、食欲不振に繋がります。

特に、胃の容量が小さく、消化器官が未成熟なお子さんは、冷たいジュースやスポーツドリンクなどのイオン飲料の糖分でカロリーを取りすぎると、食事が進まず栄養不足に繋がりやすいと言えます。

なぜお米が夏バテ対策に役立つ?


暑い時期はそうめんやそばなど冷たい麺類を食べる機会が多いですが、主食だけに偏ると夏バテを助長してしまいます。

そのため下記栄養素を意識して、主食と合わせて主菜、副菜をしっかり食べることが大切です。

  • 意識したい栄養素…たんぱく質、ビタミンB1、ビタミンCなど
  • おすすめ食材…豚肉、うなぎ、豆腐、枝豆、お米、トマト、オクラ、かぼちゃなど

中でも、主食にはお米がおすすめ。ごはんは水分が含まれているので、食事からの水分補給として役立ちます。また、麺類と比べるとそしゃくが増えるので、消化酵素の分泌を促し、消化器官の負担を減らすことができます。

また、冷たい麺類などで食事を済ませていると、たんぱく質やビタミン、ミネラルなどの栄養素が不足することで、疲労感を助長します。玄米は豚肉やうなぎに多いビタミンB1が多く含まれていて、エネルギー代謝を促すことで疲労感を軽減します。

なお、胃腸が疲れている時は玄米にこだわらず、白米をよく噛んで食べるようにしましょう。

夏バテ予防のごはんの食べ方



栄養不足に加えて夏の暑さや紫外線、外気温と室内の温度差、寝不足が重なると、自律神経の乱れの原因となり、さらに夏バテが起こりやすくなるのです。

そこでごはんと組み合わせて食べたいのがみそ汁です。

みそ汁と組み合わせて食べることで、ごはんに含まれるたんぱく質の利用効率が上がります。さらに、野菜や豆腐などで具だくさんみそ汁にすることで手軽に栄養を補うことができます。

冷たいものを取りすぎる夏だからこそ、温かい汁ものを合わせて食べることで胃腸を温め、血流を促し、胃腸を労わることが大切です。

さらに、ごはんは睡眠や自律神経を整える助けをすることもわかっています。

睡眠ホルモンと呼ばれる「メラトニン」は、体内時計に働きかけることで、自然な眠りを誘う働きがあります。メラトニンは「セロトニン」という神経伝達物質を原料としており、セロトニンは必須アミノ酸である「トリプトファン」によって合成されます。

トリプトファンは卵、味噌などの大豆製品、乳製品のほか、お米などの穀類にも含まれるので、ごはんとみそ汁の組み合わせは睡眠ホルモンの材料にもなるのです。バランスの良い食事と質の良い睡眠を心がけることで自律神経が整います。

このようにごはんを中心に、具だくさんのみそ汁、おかずをバランスよく食べることで、夏の胃腸を労わりながら栄養を補うことができますし、朝からしっかりお米を食べると、睡眠や自律神経を整える助けとなり、夏バテ予防に繋がります。

夏こそ、朝からごはんとみそ汁を中心にバランス良く食べて元気に乗り越えたいですね!

堀口泰子
栄養士。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。健康食育事業やアスリートサポートに従事。健康的で美味しく食べる食事術を伝える。講演、栄養指導、コラム執筆、レシピ、商品開発、料理講師など幅広く活動。離乳食から介護予防まで様々な食育活動のなかで、健康に役立つお米の食べ方を紹介。スポーツの現場ではジュニア育成と競技競技力向上ための心と体の成長に注力している。
HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/


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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
  3. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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