夏のおでかけ「おにぎり」を持っていくときの注意点は? 傷みにくい作り方や具材を解説

管理栄養士の大槻万須美です。

夏休み、レジャーやおでかけの機会も多く、手作りのおにぎりを持っていくことも多くなりますよね。そこで心配なのが食中毒。おにぎりによる食中毒は、食べてから30分~数時間で症状があらわれることもあるといいますが、おでかけ先で体調不良になることは絶対に避けたいですよね。

夏のおにぎり作りに欠かせない食中毒予防の5つのポイントや、おすすめの具材・夏に向かないおにぎりについて解説します。

夏のおにぎり作りで気をつけたいポイントは?



夏は気温が高い分、いつも以上に食中毒に気をつけたい季節。

おにぎりを原因とした食中毒で多いのが、0.5~6時間(平均3時間)後に悪心・嘔吐、下痢などの症状があらわれる「黄色ブドウ球菌」です。

黄色ブドウ球菌は、生活環境に広く存在しており、手指等の傷口にも多量にみられます。手に傷等がなく、手袋をしていても、作業中に顔や髪などに触れることで汚染してしまうこともあります。

黄色ブドウ球菌が作る毒素は熱に強く、一度毒素ができてしまうと、加熱しても取り除くことはできません。

そして、腐敗やカビと違い、見た目やにおいでは菌に汚染されているのか、増殖して毒素が産生されているのかがわからないのが怖いところです。

そのため、「つけないようにする・増やさないようにする」ことが防御方法になります。

夏のおにぎり作りでは特に5つのポイントに注意しましょう。

1. 材料の衛生に気をつける


おにぎりのごはんや具材の衛生管理も重要です。

・ごはんは長時間タイマー予約をしない
・できるだけ当日炊いたごはんを使う
・具材も当日調理し、しっかりと加熱する
・いたみにくい具材や菌の増殖を防ぐ食材を選ぶ

※具材については、「おすすめのおにぎり具材」の項目を参考にしてみてくださいね。

2. おにぎりは当日に作る


おにぎりは時間が経つほど菌が繁殖してしまいます。たとえ冷蔵庫に入れていたとしても前日ににぎっておくのは厳禁。食べる当日に作るようにしましょう。

3. おにぎりを素手で触らない


しっかりとした手洗いとアルコール消毒が効果的といわれていますが、手指に見えない傷があることも。使い捨てのビニール手袋やラップを使用してのおにぎり作りがおすすめです。

また、手袋をしている時でも、顔や髪などを触らないように注意しましょう。

4. おにぎりの保管は低温で


黄色ブドウ球菌は、5~47.8℃の温度域で増殖し、特に30~37℃で活発になるといわれています。また、10~46℃の温度域では、菌が一定数まで増殖すると毒素を産生するとされています。

おにぎりを作ったらすぐに冷蔵庫に入れて、持ち運ぶときは保冷時間の長いタイプの保冷剤と保冷バッグの活用が大原則。直射日光の当たらない風通しのよい、涼しいところにおいておきましょう。

5. できるだけすぐに食べる、食べ残しをしない


作ってから食べるまでに時間が経てば経つほど、菌を増殖させてしまうリスクが高まります。菌を増殖させないためにも、作ったらなるべく早めに食べるようにしましょう。

また、口をつけて食べたものを残しておくと、菌が増殖する危険性が増します。一度、口やはしをつけたおにぎりは食べ残さないことが大切です。

夏のレジャーにおすすめのおにぎり具材



夏のレジャーに持っていくおにぎりの具材は、

・抗菌作用のあるもの
・しっかりと火が通っていて水分が少ないもの
・味付けの濃い(塩分が高い)もの

を選ぶようにしましょう。

梅干し・ゆかり・しょうが・塩鮭・ふりかけ・塩こんぶ・佃煮などがおすすめです。

塩は菌の増殖や毒素の生成を防ぎますが、ごはんにしっかりと混ざっていないと効果も半減してしまいます。塩をごはん全体に混ぜ込んでおく、梅干しは中心に1個入れるのではなく全体に混ぜておくなど、表面や一か所ではなく全体にいきわたらせておくと効果的です。

黄色ブドウ球菌は、食塩濃度 16~18%でも増殖し、温度や水分など他の条件がそろっていれば食塩濃度10%でも毒素を産生するといわれているため、油断は禁物です。衛生面や温度面でもしっかりと対策しましょう。

夏場には避けた方がよいおにぎり


・炊き込みご飯

具材の水分が残っていることが多い炊き込みご飯はいたみやすいといわれているため、夏場のおにぎりにはおすすめできません。

・水分の多い具材

水分の多い具材はいたみやすいため、夏場やすぐに食べないときのおにぎりには向きません。しっかりと加熱して水分を飛ばした状態にしておきましょう。

・のり巻き

ごはんの水分を吸ったのりにも菌は増殖しやすくなります。のりは別で準備し、食べるときに巻くようにしましょう。

・包んだラップに水分がついたままのおにぎり

熱々のごはんをにぎってそのままラップをしていると、蒸気が冷えて水分となり、食中毒の原因の一つになります。

ごはんが冷めるまではぴったりとラップをせず、蒸気が逃げるように隙間をあけておいたり、蒸気の水分がついたラップを新しいものにかえて包みなおしたりすることがおすすめです。

夏場のおにぎりには保冷剤が欠かせませんが、ラップではなくアルミホイルでおにぎりを包んでおくと、保冷剤の冷気がおにぎりに伝わりやすくなりますよ。


年間を通じて黄色ブドウ球菌食中毒は発生していますが、特に5~10月に多い傾向があります。夏本番だけでなく春先や秋口のレジャーでも、安心しておにぎりを味わえる対策をしておきたいですね。

農林水産省「子どもの食育
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/kodomo_navi/featured/afp1.html
農林水産省「お弁当づくりによる食中毒を予防するために」
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/lunchbox.html
食品安全委員会「黄色ブドウ球菌の概要」
https://www.fsc.go.jp/sonota/hazard/H21_10.pdf
食品安全委員会「黄色ブドウ球菌食中毒」
https://www.fsc.go.jp/factsheets/index.data/09staphylococcal.pdf

大槻万須美
管理栄養士・フードスタイリスト。楽しく食べて健康に。食の大切さを伝えるため、離乳食講座などの料理教室、バレエダンサーやアスリートのパーソナル栄養サポート、レシピ・コラムの提供など幅広く活動。子どもの頃の毎年の米作り経験から、身近な食体験の重要性についても実感し、おとなと子どもの食育サポートにも力を注いでいる。


■子どもにあんしん・安全なお米を選ぼう!


子どもの成長にとって良いことばかりのごはん食ですが、お米を買うときは農薬や化学肥料の使用量を抑えて育てられた、子どもや家族みんなにあんしんなものを選びたいですね。

全国各地のこだわりの農家さんと、スマート農業でお米づくりをしている「スマート米」は、AI・ドローンなどを利用し、農薬の使用量を最小限に抑えたお米です。

スマート米は、玄米の状態で第三者機関の検査により「残留農薬不検出」と証明されたお米、農林水産省ガイドライン「節減対象農薬50%以下」のお米、そして「特別栽培米」もお選びいただくことができます。

お求めはスマート米オンラインショップ SMART AGRI FOOD  からどうぞ。

SHARE

最新の記事をFacebook・メールで
簡単に読むことが出来ます。

RANKING

WRITER LIST

  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
  3. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
パックごはん定期便