炊飯器の「保温」は何時間まで大丈夫?【栄養士コラム】

栄養士の堀口泰子です。

温かいごはんがいつでも食べられる炊飯器の保温機能は、大変便利ですが、炊いたごはんをうっかり保温し続けてしまった経験はありませんか?

保温は何時間まで可能なのでしょうか。炊飯器の保温機能と、ごはんの保温時間についてご紹介します。


炊飯器の保温機能は「おひつ」の代わり


炊飯器の保温機能は、ごはんの水分蒸発や細菌の増殖を抑える役割りをしています。

消費者庁によると、炊飯器は「ジャー炊飯器」といって、炊飯機能と電子ジャーの保温機能を併せ持つ電気釜と定義されています。「ジャー」とは保温容器という意味があります。

もともと、ジャー炊飯器(電気炊飯器)が誕生する前は、かまどやガス釜で炊いたごはんをおひつに移し替えて保管していました。木製のおひつは水分を調整し、天然の殺菌成分によって衛生を保ちます。

現代の炊飯器の保温機能は「おひつ」の代わりと言えるかもしれません。

炊飯器の保温温度は?


製品によって違いはありますが、炊飯器の保温の温度は約60〜75度です。

炊飯器によっては、高めと低めの温度を選択できるものもありますよね。

高めの温度は細菌の増殖を防ぐことができるので、保温時間が短い場合に適していますが、長時間になると表面が乾燥し、黄ばみやすく、食味は低下します。

一方で、低めの温度では水分蒸発や黄ばみは防ぐことはできますが、細菌の増殖が進みやすくなります。

機種によっては、自動で温度を切り替え、高めの温度で保温しながら、黄ばんでくるタイミングの前に温度を低くし、匂いが出てくる温度帯を検知したらまた高くすることを繰り返してくれるものも。一定時間を超えると自動的に保温を停止する機能を持つ製品もあります。

保温時間のリミットは約12時間~24時間


保温時間の限度は製品ごとに取扱説明書に明記されています。各メーカーではおおよそ高めの温度では約12時間、低めの温度では約24時間としています。(一部の製品では約30〜40時間まで保温が可能な場合もあります。)

限度を超えた長時間の保温は、食味が低下するだけでなく、衛生面でもおすすめできません

炊飯するお米の種類や炊飯コースによっても保温時間の限度が変わるため、ご使用の炊飯器の取扱説明書を確認することをおすすめします

また、製造メーカーの多くは、炊いたごはんがすぐに食べきれない場合、冷凍保存を推奨しています。保温よりも冷凍保存することが食味を低下させないコツといえるようです。

節電のためにも「冷凍保存」が正解!



各メーカーでは衛生面以外にも省エネ・節電のため、長く保温しないことを推奨しているようです。炊飯器で長く保温せず、食べきれなかったごはんは冷蔵庫や冷凍庫で保存して、電子レンジで温め直しましょう。

▼ごはんをおいしく冷凍保存&解凍する方法はこちら
ごはんソムリエが伝授! ごはんをおいしく冷凍・レンジ解凍するコツ

保温時間は必要最低限として、食べる時間に合せて炊き上がるように予約機能を上手に利用して、保温時間を減らせるとよいですね。なお、電源プラグをコンセントに差し込んだままでも電力を消費するので、炊飯器を使用しないときは抜いておくとよいでしょう。

炊飯器の保温に不向きなものも


炊飯器にはさまざまな種類のお米を炊飯、調理する機能がありますが、そもそも「保温」に向かないものもあります。

以下のお米や調理をする場合は気をつけましょう。

おかゆ


保温を続けると、のり状になってしまいます。また、炊き上がりの蒸気によって炊飯器がベタつく原因になるため、炊き上がったら保温を切り、早めに食べることが望ましいのです。

炊き込みごはん・おこわ


保温を続けると、具材の水分がお米に移ることでごはんがベタつき、食味低下の原因となります。また、炊飯器へのにおい移りや、調味料の塩分を含んだ蒸気に長く触れることで、炊飯器の金属やパッキンの劣化につながる恐れがあります。

玄米・発芽玄米


製品によりますが、食味低下の原因となるため、保温を推奨していない場合があります。使用している炊飯器の取扱い説明を確認する必要があります。


炊飯器は製品ごとに取り扱い方法が異なるため、使用する炊飯器の説明書をよく読み、正しく使うことが大切です。

ライフスタイルに合わせて、上手に保温機能を活用しながら、美味しく健康に役立つごはんを食べる習慣に役立てたいですね。


堀口泰子
栄養士。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。健康食育事業やアスリートサポートに従事。健康的で美味しく食べる食事術を伝える。講演、栄養指導、コラム執筆、レシピ、商品開発、料理講師など幅広く活動。離乳食から介護予防まで様々な食育活動のなかで、健康に役立つお米の食べ方を紹介。スポーツの現場ではジュニア育成と競技競技力向上ための心と体の成長に注力している。
HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/


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    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
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    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、九州某県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方で、韓国語を独学で習得する(韓国語能力試験6級取得)。2023年に独立し、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサル等を行う一方、自身も韓国農業資材を輸入するビジネスを準備中。HP:https://sinkankokunogyo.blog/
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    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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