夏の炊飯、水道水がぬるいけど大丈夫? 洗米や浸水、ごはんの保存で気をつけること

管理栄養士の大槻万須美です。

気温も高くなる夏の時期には、炊飯器でいつも通りごはんを炊いてもよいのか気になる方も多いと思います。

今回は、夏の炊飯で気をつけるポイントについてまとめました。夏の洗米や浸水、ごはんの保存など、夏だからこそ注意が必要な点について確認してみましょう。

夏の洗米で気をつけること



季節を問わず、洗米は水で行うのが基本です。

それは、お米をお湯に浸けると、お米の水分の吸収速度が高まり、お米の表面についたぬかやごみまでお米が吸収しやすくなってしまうとともに、ぬかに含まれる脂質の温度も上がるため、ぬかが酸化しやすくなったり、ぬか臭が付着しやすくなったりと、風味も落ちてしまうからなんです。

また、お米に含まれるでんぷんも水に流れ出やすくなり、ごはんの食感が悪くなってしまうこともあります。

ですが、水でお米を洗おうとしても、夏場の水道水は冷たくないときもありますよね。

水で洗っているつもりでも、水がぬるく感じることもあるのではないでしょうか。

東京都水道局が発表しているデータによると、8月の東京都庁付近の水道水の水温は最高値28.3℃最小値23.2℃平均値26.9℃(令和2年度)。

この年の東京の最高気温は37.3℃(8月)だったため、気温マイナス10℃近くまで水道水の水温は上がっていたようです。

気温と水道水の水温の変動を比較した考察によると、水温は変動幅が小さく、気温変化の数時間後に緩やかに変動しており、気温が高かった日の水道水は夜になっても高い傾向にあるということがわかりました。

そのため夏場は、いきなりお米に水道の水を注ぐのではなく、あらかじめ水を触ってみて、ぬるくないか確かめてみてから洗米するようにしましょう。

生ぬるく感じる場合は、最初のすすぎだけでも、あらかじめ冷蔵庫や氷で冷やしておいた水を使うことがおすすめですよ。

夏の浸水で気をつけること



お米の浸水は、実は菌が増殖しやすいリスクが増す時間であると考えられます。

特に、夏の浸水は、菌の増殖に欠かせない「栄養」と「水分」に「温度」の要素が加わりやすいため注意が必要です。

ほとんどの菌は10℃から60℃の温度帯で増殖するとされていますが、体温に近い35℃付近が最も増殖しやすい、リスクの高い温度帯といわれています。

炊飯時の加熱では破壊されない毒素が残っていたり、菌の増殖によりお米が傷んでしまったりしている場合には、炊飯しても食中毒の原因になってしまうことがあります。

そのため、夏の浸水には以下の2つのポイントに気をつけましょう。

1.浸水は冷たい水を使う


浸水用の水もあらかじめ冷やしておくとよいでしょう。

炊飯器の予約設定をするときには、氷を入れると水温が低い状態をより長くキープできます。氷を入れる場合には、氷の重さを量り、その分の水の量を炊飯の規定量から減らしておくことを忘れないようにしましょう。

2.浸水時間は短めに


夏場の浸水は短めが原則。30分程度の浸水で十分吸水はできているので、長くならないように注意しましょう。

予約設定を利用する際には、エアコンなどで室温が低めに保てる場合でも、3~4時間は超えないようにしておく方がよいでしょう。

夜に洗米して朝に炊き上げたい場合など、長時間の浸水が必要なときには、浸水は冷蔵庫でしておき、炊く直前に内釜に移して早炊きモードで炊飯することがおすすめですよ。

夏場のごはんの保存について



一般的な炊飯器の保温機能は、雑菌の繁殖が抑えられる約60℃~約75℃が維持できるように設定されています。

それでは、炊き上がったあとは、炊飯器にごはんを入れておけば安心でしょうか?

基本的には炊飯器で保温している状態であれば、ごはんは傷みにくいと考えられますが、保温したまま炊きたてのおいしさをキープできるのは、一般的な炊飯器で5~6時間ほどといわれており、炊飯器に長時間入れていると、ごはんの乾燥や黄ばみが進み、おいしさも損なわれていきます。

さらに、お米にもともと存在しているバチルス菌は、高温でも死滅せず、長時間の保温で腐敗が始まることもあるといいます。

そのため、メーカーの推奨時間を超えての保温は、衛生面でもおいしさの面でもNG。

保温スイッチを切ってごはんを炊飯器に入れっぱなしにしておくと、特に夏場は傷みやすくなるため、ごはんは炊き立ての状態で取り出して冷凍保存するようにしましょう。

このように、夏場の炊飯は、いつも以上に衛生面に気をつける必要があります。

また、見過ごしがちな炊飯器のお手入れも重要ポイント。

炊飯器の中には、でんぷん質を含んだ水分が充満している状態なので、汚れが蓄積すると雑菌が繁殖する原因になります。部品もはずして洗ったり拭いたりして、清潔に保ちましょう。


東京都水道局「水道水の水温」
https://www.waterworks.metro.tokyo.lg.jp/suigen/topic/03/
タイガー「炊飯器の保温機能の温度は?低温調理はできるの?炊飯器を有効に活用しよう」
https://www.tiger-corporation.com/ja/jpn/feature/rice-cooker/takitate50/12/
米穀安定供給確保支援機構
https://www.komenet.jp/faq/ip14.html

大槻万須美
管理栄養士・フードスタイリスト。楽しく食べて健康に。食の大切さを伝えるため、料理教室、バレエダンサーやアスリートのパーソナル栄養サポート、レシピ・コラムの提供など幅広く活動。子どもの頃の毎年の米作り経験から、身近な食体験の重要性についても実感し、おとなと子どもの食育サポートにも力を注いでいる。


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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
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    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
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    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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