シナジー・マリン・グループ、自律的野菜栽培装置「Agwa」を活用して船上で新鮮な野菜を栽培

シナジー・マリン・グループは、持続可能性と乗組員の健康増進に向け、AIを活用した自律的野菜栽培装置「Agwa」を用いて、船上での野菜栽培を開始した。


海上で採れたての野菜を楽しむことが可能に


シンガポールに本社を置くシナジー・マリン・グループは、世界15カ国に30の拠点を持ち、2万6000人以上の船員を擁し、コンテナ船やオイルタンカーなど700隻以上の船舶を管理している。

今回の取り組みは、乗組員の健康増進と環境配慮型の未来に向けたもので、同社が管理するスエズマックスタンカー “EFFIE MAERSK”は、9月から「Agwa」を使用している。

「Agwa」は、AIやカメラ、センサーを使って紫外線・水・肥料・温度などの環境要因を調整できる栽培装置だ。植物の成長に最適な条件を維持することで、効率的な野菜の栽培が可能となる。完全に自動化されるように設計されているため、乗組員はプロセスを監視し、時折植物の進捗状況を確認するだけで済むという。

栽培装置内の視覚的およびセンサーからの情報によって、植物の成長に最適な条件を作り出すことができるほか、アプリで栽培の進捗状況や理想的な収穫時期などをリアルタイムで知ることができる。

EFFIE MAERSKでは、「Agwa」の3つのユニットから、味付け用のハーブや週に最大ボウル4個分の新鮮なサラダが提供されるという。

Agwa チーフ・コマーシャル・オフィサー エリ・フェイグリン氏のコメント
「Agwaの栽培装置は、船上の持続可能性における大きな飛躍を象徴するものです。完全に自動化されたプロセスにより、乗組員は特別な技術や多大な時間を費やすことなく、新鮮な野菜やハーブを楽しむことができます。シナジー船舶の乗組員はこの結果に感激しており、私たちはこの革新が乗組員の健康に良い影響を与えているのを見てうれしく思っています」
Agwa 最高経営責任者(CEO) オレン・ザール氏のコメント
「この変革的なプロジェクトでシナジーと協力することは、Agwaにとって素晴らしい節目となります。持続可能性に対するシナジーの先進的なアプローチと、乗組員の福祉に重点を置く姿勢は、Agwaのビジョンとシームレスに一致しています。シナジーの意義ある変化のための継続的な提唱は、強力な模範となり、私たちが共に築き上げる信頼と共通の野心を反映しています。私たちは、シナジー社と協力し、当イノベーションを実現するとともに、船内の栄養と持続可能性を向上させることができることを大変光栄に思います。私たちは共に、船員と海事産業にとってより環境に配慮し、より健康的な未来への道を切り開こうとしています」


シナジー・マリン・グループは、乗組員の生活の質を向上させつつ、船上での食事における環境への影響を削減するために、管理する船隊すべてにAgwaの栽培ユニットを搭載することを目指すとしている。


シナジー・マリン・グループ
https://www.synergymarinegroup.com/ja/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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    鈴木かゆ
    1993年生まれ、お粥研究家。「おかゆ好き?嫌い?」の問いを「どのおかゆが好き?」に変えるべく活動中。お粥の研究サイト「おかゆワールド.com」運営。各種SNS、メディアにてお粥レシピ/レポ/歴史/文化などを発信中。JAPAN MENSA会員。
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    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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