農文協、『みんなの有機農業技術大事典』を2025年3月10日に発売

一般社団法人農山漁村文化協会(以下、農文協)は、『みんなの有機農業技術大事典』を2025年3月10日(月)に発刊する。


農家や研究者が蓄積してきた有機農業の技術を紹介


農文協は、 1940年に設立された組織で、農山漁村に向けた雑誌や書籍の出版、講演会などの活動を行っている。

『みんなの有機農業技術大事典』は、「共通技術編」と「作物別編」の2巻構成となっており、第一線の農家や研究者ら約300人が執筆した。

「共通技術編」では、有機農業の歴史や世界での広がり、地球温暖化防止や生物多様性維持に果たす役割のほか、緑肥や天敵利用、不耕起などの栽培技術を、農家事例を交えて紹介。モミガラや米ヌカなどの有機資材、納豆や米ヌカを利用した防除技術についても解説しているという。

「作物別編」では、水田・畑作物・野菜・花・果樹・茶・畜産の技術を品目ごとに網羅。有機農家の経営事例や品目別のつくりこなし、課題克服の工夫も記されている。雑草や病害虫対策も充実しており、農水省が発表しているみどりの食料システム戦略の「技術カタログ」にも多数対応している。

2025年1月からは有料の連続講座が企画されている。「耕さない農業」をテーマに、執筆者がそれぞれの専門分野について詳しく解説し、有機農業をより深く学べる機会を提供するという。

『みんなの有機農業技術大事典』共通技術編 カラー口絵より

作物別編「農家の米ヌカ除草法」のページより

『みんなの有機農業技術大事典』内容

【共通技術編】
第1部 有機農業とは何か
有機農業の歴史と概念/世界の有機農業
第2部 有機農業と炭素貯留、生物多様性
炭素循環・炭素貯留・地球温暖化防止/チッソ固定・自然養分供給システム/アミノ酸吸収と収穫物の品質/有機農業と生物多様性
第3部 有機農業の共通技術
不耕起栽培・半不耕起栽培/緑肥・カバークロップ/混植・混作/天敵活用/輪作/有機物マルチ/太陽熱処理・土壌還元消毒/土ごと発酵/土壌診断・微生物診断と減肥/自家採種と育種、品種選び
第4部 農家の有機資材
モミガラ/モミガラくん炭/米ヌカ/ワラ・カヤ/竹パウダー・竹チップ/落ち葉/廃菌床/堆肥/ボカシ肥/土着菌(土着微生物)/木酢液/えひめAI/光合成細菌/タンニン鉄
第5部 無農薬・減農薬の技術
納豆防除/米ヌカ防除/石灰防除/酢防除・酢除草/高温処理・ヒートショック/病害抵抗性誘導/月のリズムに合わせて栽培/RACコード
第6部 話題の有機栽培
付録 天敵等に対する農薬(殺菌剤・殺虫剤・殺ダニ剤)の影響の目安/有機農業の推進に関する法律/JAS法(日本農林規格等に関する法律)/有機JASで使える農薬一覧

【作物別編】
水稲
農家の技術と経営事例/播種と育苗/有機物施用と減肥/除草剤を使わないイネつくり/除草機の工夫/斑点米カメムシなどの対策
畑作・転作作物
ダイズ・ムギ・子実トウモロコシ・ソバ・雑穀
野菜・花
農家の技術と経営事例/品目別技術 (ナス、トマト、ピーマン、キュウリ、カボチャ、ズッキーニ、スイートコーン、オクラ、エダマメ、インゲン、ソラマメ、エンドウ、ネギ、タマネギ、ニンニク、キャベツ、ブロッコリー、ハクサイ、ナバナ、ホウレンソウ、コマツナ、葉物(春の菜っぱ、夏の菜っぱ)、レタス類、ダイコン、カブ、ニンジン、ジャガイモ、サツマイモ、サトイモ、ショウガ、花卉)
果樹
農家の技術と経営事例/草生栽培/天敵を利用した防除技術

農家の技術と経営事例/農薬以外の防除技術
畜産
平飼い養鶏/放牧養豚/放牧酪農
終章
有機農業は普通の農業だ――農業論としての有機農業

書籍概要

『みんなの有機農業技術大事典』
発売日:2025年3月10日刊行予定
出版社:農山漁村文化協会
定価:4万4000円 (税込)
仕様:B5判上製(函入2分冊) 全2244頁
ISBN:978-4-540-24105-5


一般社団法人農山漁村文化協会
https://www.ruralnet.or.jp/
『みんなの有機農業技術大事典』特設サイト
https://ruralnet.or.jp/jiten/minnanoyuuki/
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WRITER LIST

  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
  3. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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