農水省と農研機構、労働力不足解消のためのスマート農業実証を24地区に委託

農林水産省農研機構は、2020年4月15日~5月19日に公募した「労働力不足の解消に向けたスマート農業実証」について、総応募数は35地区の中から委託先となる24地区を決定した。

委託先となる24地区は、労働力不足の解消に向けた十分な改善見込みや費用対効果等を基準に外部有識者らによる厳正な審査を踏まえ決定したものである。


「労働力不足の解消に向けたスマート農業実証」は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う外国人技能実習生の入国制限等による産地の労働力不足を解消するために実施される緊急的事業だ。

同事業では、2020年度第1次補正予算の内、新型コロナウイルス感染症に伴う経済対策として農林水産省に充てられる予算を原資に、労働力不足の解消に向けた先進技術によるスマート農業の実証が実施される。

委託先は水田や畑作、露地野菜など全24地区


24地区の品目別の内訳は、水田作が1地区、畑作が1地区、露地野菜が9地区、施設園芸が3地区、果樹が5地区、畜産が5地区だ。

水田作では「中山間地域におけるスマート農業技術を活用した効率的かつ省労働力大規模水田農業経営モデルの実証」が採用され、畑作では「農業用ドローンを活用した生育状況の確認や農薬散布の外部委託による、作業効率化と労働力削減の実証」が採用された。

露地野菜では、「AIを用いたキャベツ自動収穫ロボットの実証」ほか、ブロッコリーやダイコンなど露地栽培の省力化に向けた提案が採用。
施設園芸では「ミニトマト栽培におけるスマート農業技術を活用した力・軽労化体系の実証」等が採用されている。

果樹では「果樹用ロボット等による管理・収穫作業の労働力不足解消体系の効果実証」など選果作業の無人化に向けた提案が採用され、畜産では「搾乳ロボット併用ハイブリッド酪農による労働力不足の解消と労働生産性の向上に向けた実証」ほか加速度センサーを用いた行動観察等の技術が採用された。

事業の実施体である農研機構は、「産地の労働力不足の問題をスマート農業技術を用いて解決することで強い生産基盤を構築したい」とコメントしている。


農研機構
http://www.naro.affrc.go.jp/index.html
「労働力不足の解消に向けたスマート農業実証」公募課題審査実施要領
http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/press/files/smart20200602_betten2_jisshiyouryou.pdf
「労働力不足の解消に向けたスマート農業実証」の審査結果について
http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/press/files/smart20200602_betten1_shinsakekka.pdf
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
  3. 北島芙有子
    北島芙有子
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    川島礼二郎
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    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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