農業向けアシストスーツ「DARWING Hakobelude」の実証実験が鳥取県でスタート

腰用コルセットや膝用サポーターなど医療用品の製造・販売を手がけるダイヤ工業株式会社は、鳥取県内の耕種農家を対象に、電力を使用しない労働軽減アシストスーツ「DARWING Hakobelude(ダーウィン ハコベルデ)」の機能を検証する実証実験を2021年5月より開始。

この実証実験は、鳥取県農林水産部が鳥取県農業のスマート化を推進する目的で結成した「鳥取版スマート農業推進事業アシストスーツ実証プロジェクトチーム」の活動の一環でスタートしたものである。

「DARWING Hakobelude」を装着して苗箱の運搬作業を行う米生産者
アシストスーツは、モーターや人工筋肉を用いて重量物の運搬作業を軽減する装着型の省力化製品。建築現場や物流現場を中心に導入が進められている一方で、身体をひねる動作や乗り物に乗る動きは難しく、複合的な動作が求められる農業現場での活用には課題が残されていた。

農作業中の複合的な動きや中腰姿勢の維持に対応


「DARWING Hakobelude(ダーウィン ハコベルデ)」
「DARWING Hakobelude」は、ダイヤ工業オリジナルの空気圧式人工筋肉と特殊高反発ゴムを使用したアシストスーツ。重量約800gで衣服のように着用できることから、農作業中に発生する複合的な動きや中腰姿勢の維持にも対応する。

構造は、膝を曲げしゃがむと特殊高反発ゴムが伸び収縮力が発生する仕組みで、上半身を起こしてくれるようなアシストが受けられるそうだ。

人工筋肉は空気を送り込むと、人間の筋肉と同様、収縮する仕組みで、中腰姿勢の維持に必要な背面の筋肉を補助する働きをしてくれるほか、長時間の作業をサポートする設計が施されている。また、空気を送り込むポンプには、電力を一切使用しない手動ポンプを採用しているため、稼働時間の制限なく、屋外・屋内の両方で使用できる。

負担の大きい苗箱の運搬作業で機能を検証


2021年5月に実施した実証実験では、水稲栽培に使用する苗箱の運搬と中腰姿勢の維持が求められる苗箱を並べる作業での機能評価を実施。

モニターとして参加した水稲農家からは、「装着することで持ち上げ、積み下ろし、苗箱並べの作業がスムーズになり腰にかかる負担がラクになった。収穫後の米袋(30kg)の運搬作業でも活用できそうだ」との声が寄せられたという。

「DARWING Hakobelude」を装着して苗箱の運搬作業を行う米生産者
今後は、大学等の研究機関の協力を得て、鳥取県の特産品である梨、スイカ等を対象にした実証実験を進める方針だ。

製品情報

品名:DARWING Hakobelude
価格:8万5800円(税込)
重量:約800g
サイズ:M・L


ダイヤ工業株式会社
https://www.daiyak.co.jp/work/
「DARWING Hakobelude」製品紹介ページ
https://www.daiyak.co.jp/work/item/darwing-hakobelude.html
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
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    北島芙有子
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    川島礼二郎
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    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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