新産業や農工研究の推進にむけて、ジェイテクトと徳島大学が「包括連携協定」を締結

2019年6月11日、株式会社ジェイテクトと徳島大学は「包括連携協定」を締結したと発表。ジェイテクトが持つ既存事業での共同研究のみならず、新領域分野での研究開発・事業化を加速するための「横断的産学共同研究事業」を打ち立てた。


自動車関連部品や大型機械の製造に長けたジェイテクトと、理系学部が多く新たな産業分野に積極的な徳島大学の包括連携を通じて、研究分野での交流を推進し、SDGsの貢献に向けて、既存事業に留まらない新産業創出と進行を目指す考えだ。

共通課題は新規分野の創出

共同開発に乗り出したきっかけとして、ジェイテクトの前身企業である光洋精工の創業者・池田善一郎が、1963年に徳島県で工場を設立したという経緯がある。池田自身が四国出身であり、グループ会社である光洋シーリングテクノの工場も同県内にあることから、徳島県はかねてより所縁のある地域なのだ。ジェイテクトは2017年にも、既存事業に捉われない新領域分野の開拓を目指すFFR部(Future & Frontier Research 部)を立ち上げ、新領域分野の研究開発および事業化を目指す態勢だ。

一方、徳島大学は2016年に生物資源産業学部、2018年に産業院を新設し、新たな産業の創出に資する人材の育成を目指している。2018年からは包括連携協定の先駆けとして、徳島大学理工学部、生物資源産業学部および産業院とジェイテクト研究開発本部が、AI関連、畜産関連などの共同研究を推進してきた。この取り組みを一層強化し、多くの成果実現と新たな研究テーマの創出を目指して、包括連携協定の締結に踏み切ったとのこと。

具体的な連携内容としては、以下の4点が挙げられる。

(1)新領域分野での「横断的産学共同研究事業JTRP(JTEKT & Tokushima univ. Research Project)」の創設
(2)徳島県内のさまざまな施設などを活用した農工、理工、ライフサイエンスに関する共同研究の推進
(3)社会(地域)へ貢献する新産業の創出と研究成果の還元
(4)イノベーションにチャレンジする人材の育成と交流

包括連携協定による今後の展望

ジェイテクトと徳島大学は、包括連携協定を段階的に推進し、成果につなげることを目指していく。

初期段階としては第1に、「横断的産学共同研究事業」の創設・運用から、SDGsへの対応など、新領域分野のテーマ創出や共同研究を推進する。第2に、学生のプロジェクト参画や起業化を促進するなど、人材教育や交流を後押しする。そして第3には、共同研究の成果から新産業を創出し、社会(地域)への貢献に繋げていく方針だ。

<参考サイト>
株式会社ジェイテクト
国立大学法人 徳島大学
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、九州某県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方で、韓国語を独学で習得する(韓国語能力試験6級取得)。2023年に独立し、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサル等を行う一方、自身も韓国農業資材を輸入するビジネスを準備中。HP:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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