「農業に関する意識調査」で世界情勢からくる食料自給率「不安」は76%に 20代の農業への関心も増加

ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」を企画・運営する株式会社トラストバンクが、全国の20歳~60歳以上を対象とした「農業に関する意識調査」の結果を発表した。

この調査は、地域の新たな可能性を発掘し、持続可能な社会づくりに貢献する「トラストバンク地域創生ラボ」による第3回の調査。昨今の世界・社会情勢を念頭に、農業への関心の有無や、物価高騰が農業への関心に与えた影響、日本の食料自給率に対する課題意識などが明らかになった。

不安定な世界情勢の中、20代の農業への関心が拡大


トラストバンク地域創生ラボは、トラストバンク設立10周年を記念して立ち上がった調査研究組織。多くの自治体とともに歩む中で集積した知見を基に、自治体や地域住民の視点に立ち、その実情を明らかにする調査を実施し、地域の新たな可能性を発掘するとともに、次なる地域活性の手だてを考える際のヒントを提供している。

今回のように、調査を通じて得た結果は社会に広く発信し、情報を通じて地域活性化を促し、持続可能な日本社会の実現に貢献していきたいとしている。

「農業に関心がありますか」と尋ねた問いでは、関心がある(「そう思う」「ややそう思う」の計)と回答したのは43.7%、関心がない(「あまりそう思わない」「そう思わない」の計)と回答したのは51.5%。農業への関心最多は20代(51.2%)で、全世代の中で唯一、農業に関心がある人が半数を上回った。関心がある人のうち、昨今の物価高騰によって関心が高まった(「そう思う」「ややそう思う」の計)と答えた人は74.8%と、自身の生活に直結するという面で関心が増えていることがうかがえる。


また、「日本の食料自給率に不安を感じますか」との問いでは、不安を感じる(「そう思う」「ややそう思う」の計)と答えた人が全体の76.4%。食料自給率に不安を感じる人のうち、「現在の世界・社会情勢によって不安が高まった」(「そう思う」「ややそう思う」の計)と答えた人は92.5%と、こちらもロシア・ウクライナ問題などからくる食料問題のニュースなどがきっかけとなっている様子だ。

さらに、農業で短期のボランティアや就労ができる機会があれば利用したい人(「そう思う」「ややそう思う」の計)は36.8%。年代差が大きく、20~24歳に絞ると65.3%が実施意向ありと答えている。

第1次産業で思い浮かぶ都道府県は、農業・漁業ともに1位は北海道で、林業の1位は長野県となった。

アンケートの回答と分析ポイント


調査名:「農業に関する意識調査」(トラストバンク地域創生ラボ調査)
方法:インターネット調査/期間:2022年9月2日~9月7日
対象:全国に住む20歳~60歳以上の男女1051名

1 農業への関心「あり」は43.7%で、20代が51.2%で最多。理由上位は「食や生き物に興味」










2 農業への関心がある人のうち、昨今の物価高騰によって関心が高まった人は74.8%








3 農業の短期ボランティアや短期就労の体験意向「あり」は、20代前半が最多の65.3%









4 食料自給率に不安を感じる人のうち、世界・社会情勢によって不安が高まったのは9割超









5 第1次産業で想起する都道府県は農業・漁業で北海道、林業で長野県が最多





株式会社トラストバンク
https://www.trustbank.co.jp/

SHARE

最新の記事をFacebook・メールで
簡単に読むことが出来ます。

RANKING

WRITER LIST

  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
パックごはん定期便