農研機構、種子コーティング不要の「水稲湛水直播栽培」の手順書を公開

農研機構は、「水稲無コーティング種子代かき同時浅層土中播種栽培」の標準作業手順書を公開した。

水稲湛水直播栽培の省力化・低コスト化を実現


「水稲無コーティング種子代かき同時浅層土中播種栽培」は、代かき作業と播種作業を同時に実行する極浅植え(0.5cm)の「代かき同時浅層土中播種機」と「根出し種子」を使用した水稲栽培技術。

水稲の湛水直播栽培に必要な種子コーティングを行わなくてもよいのが特長で、倒伏軽減、鳥害対策、雑草防除などに高い効果を発揮する。

代かき同時浅層土中播種機(販売元:株式会社石井製作所)
出典:https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/laboratory/tarc/144468.html#p6

根出し種子(下)根のみを0.5~5ミリ程度伸ばしている。
出典:https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/laboratory/tarc/144468.html#p6

根出し種子の苗立率向上効果
出典:https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/laboratory/tarc/144468.html#p6

代かき同時浅層土中播種でコーティングが不要になる原理
出典:https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/laboratory/tarc/144468.html#p6

湛水直播の方法別にみた一発処理除草剤の散布適期(ノビエの例)
出典:https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/laboratory/tarc/144468.html#p6

今回、公開した標準作業手順書の内容は以下の通り。

1章|技術の特徴
従来の種子コーティング技術との比較を元に水稲無コーティング種子代かき同時浅層土中播種栽培技術の特徴を解説。
2章|導入条件
水稲無コーティング種子代かき同時浅層土中播種栽培の準備に必要な品種や圃場条件を解説。
3章|栽培管理
種子の準備、播種、初期の栽培管理、鳥害対策などを解説。
4章|導入事例
これまでの導入事例や成功事例を参考に失敗しがちなポイントや問題点をわかりやすく解説。
5章|技術導入の経営的評価
労働時間の削減や人件費の抑制、多収、利益率の向上などの効果を解説。
6章|その他
播種機の購入、問い合わせ先等を記載。

農研機構は、「水稲無コーティング種子代かき同時浅層土中播種栽培」の標準作業手順書を通じ、水稲湛水直播栽培の省力化・低コスト化を実現したい考えだ。


「水稲無コーティング種子代かき同時浅層土中播種栽培」標準作業手順書
https://www.naro.go.jp/publicity_report/publication/laboratory/naro/sop/154591.html
SHARE

最新の記事をFacebook・メールで
簡単に読むことが出来ます。

RANKING

WRITER LIST

  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
  4. 鈴木かゆ
    鈴木かゆ
    1993年生まれ、お粥研究家。「おかゆ好き?嫌い?」の問いを「どのおかゆが好き?」に変えるべく活動中。お粥の研究サイト「おかゆワールド.com」運営。各種SNS、メディアにてお粥レシピ/レポ/歴史/文化などを発信中。JAPAN MENSA会員。
  5. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
パックごはん定期便