アクポニとアグリ王、アクアポニックスを活用したいちご栽培の実証実験を開始

株式会社アクポニと株式会社アグリ王は共同で、水耕栽培と水産養殖を組み合わせた循環型農法であるアクアポニックスを活用したいちご栽培の実証実験を2023年3月より開始した。


アクアポニックスは、魚の排泄物を微生物が分解し、植物が栄養として吸収した後、浄化された水が再び魚の水槽に戻る仕組みを利用して農作物を栽培する水耕栽培システム。

土耕栽培の約7倍の収量を誇る高い生産性と約80%以上の節水効果を生む環境負荷の少ない栽培が特長で、生産物はアメリカの有機認証であるUSDAの取得も認められている。

アクアポニックスの仕組み

完全閉鎖型のアクアポニックス設備を使用


今回の実証実験では、神奈川県横浜市港北区に新設したアグリ王の試験農場内に、LEDライトを用いた完全閉鎖型のアクアポニックス設備を設置して、いちご(よつぼし)の周年栽培を実施。魚は錦鯉の育成を予定している。

アクポニの特許技術を活用し、フィルター内に溜まった魚のフンや残餌の塊から植物の栄養素を回収する装置が取り付けられており、ミネラル分などの栄養素を肥料に転換していく。

完全閉鎖型の試験農場

アクアポニックスで栽培したいちご

実証実験の概要と今後のスケジュールは以下の通り。

実証実験の概要
アクアポニックスを活用したいちご栽培
所在地:神奈川県横浜市港北区
栽培面積:約5平方メートル
水槽:約500リットル
生産量:1カ月当たり4〜6キログラム

今後のスケジュール
2023年4月:第1回いちご苗植付
2023年5月:第2回いちご苗植付
2023年7月:第1回いちご収穫開始
2023年8月:第2回いちご収穫開始

両社は今回の実証実験を通じ、無農薬・無化学肥料のいちごを周年で栽培できる新たな栽培方法を確立していく構えだ。


株式会社アクポニ
https://aquaponics.co.jp/
株式会社アグリ王
https://agri-oh.co.jp/
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  1. 加藤拓
    加藤拓
    筑波大学大学院生命環境科学研究科にて博士課程を修了。在学時、火山噴火後に徐々に森が形成されていくにつれて土壌がどうやってできてくるのかについて研究し、修了後は茨城県農業総合センター農業研究所、帯広畜産大学での研究を経て、神戸大学、東京農業大学へ。農業を行う上で土壌をいかに科学的根拠に基づいて持続的に利用できるかに関心を持って研究を行っている。
  2. 槇 紗加
    槇 紗加
    1998年生まれ。日本女子大卒。レモン農家になるため、大学卒業直前に小田原に移住し修行を始める。在学中は、食べチョクなど数社でマーケティングや営業を経験。その経験を活かして、農園のHPを作ったりオンライン販売を強化したりしています。将来は、レモンサワー農園を開きたい。
  3. 沖貴雄
    沖貴雄
    1991年広島県安芸太田町生まれ。広島県立農業技術大学校卒業後、県内外の農家にて研修を受ける。2014年に安芸太田町で就農し2018年から合同会社穴ファームOKIを経営。ほうれんそうを主軸にスイートコーン、白菜、キャベツを生産。記録を分析し効率の良い経営を模索中。食卓にわくわくを地域にウハウハを目指し明るい農園をつくりたい。
  4. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  5. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
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