農研機構ら、メロンの高効率なゲノム編集技術の開発に成功と発表

農研機構、サナテックシード株式会社、筑波大学の3者は共同で、組織培養不要のゲノム編集技術をメロンに適用することにより、高効率なゲノム編集技術の開発に成功したと発表した。

麦類で実績のあるiPB法をメロンに適用


現在、日本ではゲノム編集を活用した品種改良が行われている。しかし、メロンについては、従来の培養を用いた方法ではゲノム編集個体を取得することが難しい状況にあった。

今回の研究では、高級マスクメロンの標準品種「アールスフェボリット春系3号」を材料に、エチレン合成関連遺伝子をゲノム編集のターゲット遺伝子として、農研機構と株式会社カネカが共同開発した植物体の茎頂生殖系列細胞にゲノム編集酵素を直接導入するiPB(in planta Particle Bombardment)法を適用。

標的遺伝子に変異を持つ個体を選抜して育成し、果実の成熟を促す働きを持つ植物ホルモンの一種であるエチレンの放出量を測定した。その結果、原品種と比較して、エチレンの放出量が極めて低いレベルに維持され、日持ち性の向上が確認された。

出典:https://www.naro.go.jp/project/research_activities/laboratory/nias/158244.html
(A)iPB法によるゲノム編集の概要
(B)収穫後に果実から放出されるエチレン量の比較
(C)収穫後10日目の果実の追熟程度の比較

今回の研究成果から、麦類で実績のあるiPB法がメロンにも適用可能であることが明らかとなった。今後は、同技術を用いたメロンの健康機能性や病害抵抗性の改良も期待されるほか、きゅうりやすいか、かぼちゃなど他のウリ科の作物での利用の可能性もあるという。


農研機構
https://www.naro.go.jp/
サナテックシード株式会社
https://sanatech-seed.com/
筑波大学
https://www.tsukuba.ac.jp/
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  1. 加藤拓
    加藤拓
    筑波大学大学院生命環境科学研究科にて博士課程を修了。在学時、火山噴火後に徐々に森が形成されていくにつれて土壌がどうやってできてくるのかについて研究し、修了後は茨城県農業総合センター農業研究所、帯広畜産大学での研究を経て、神戸大学、東京農業大学へ。農業を行う上で土壌をいかに科学的根拠に基づいて持続的に利用できるかに関心を持って研究を行っている。
  2. 槇 紗加
    槇 紗加
    1998年生まれ。日本女子大卒。レモン農家になるため、大学卒業直前に小田原に移住し修行を始める。在学中は、食べチョクなど数社でマーケティングや営業を経験。その経験を活かして、農園のHPを作ったりオンライン販売を強化したりしています。将来は、レモンサワー農園を開きたい。
  3. 沖貴雄
    沖貴雄
    1991年広島県安芸太田町生まれ。広島県立農業技術大学校卒業後、県内外の農家にて研修を受ける。2014年に安芸太田町で就農し2018年から合同会社穴ファームOKIを経営。ほうれんそうを主軸にスイートコーン、白菜、キャベツを生産。記録を分析し効率の良い経営を模索中。食卓にわくわくを地域にウハウハを目指し明るい農園をつくりたい。
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    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  5. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
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