有人宇宙システムと農研機構、生育診断ツール「リモファーム」の精度向上を目的に共同研究を開始

有人宇宙システム株式会社(JAMSS)と国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)は、農業DXの推進に向け、宇宙技術と農業研究のイノベーションによる生育予測精度の向上を目的とした共同研究を開始する。

この成果は、JAMSSがサービス展開する水稲栽培を中心とした生育診断ツール「リモファーム」の機能の高度化を通じて、営農者の生産性向上、収穫物の品質向上、競争力強化につなげていく予定だ。


生育診断ツール「リモファーム」の機能強化へ


JAMSSは、国際宇宙ステーション(ISS)「きぼう」を運用する唯一の民間企業だ。同社が2022年6月にリリースした「リモファーム」は、シンプルな画面と操作性をベースに、水稲栽培に必要となる情報と、衛星データと気象データから生育状況を解析・分析し、農家に提供している。

今回、これまでの利用者の声を反映させ、農業技術に関してさらなる高度化・利便性向上を目指し、JAMSSと農研機構との間で共同研究を行うことになった。


衛星画像からのSPAD値(※)推定技術のさらなる高精度化を実施。また、「リモファーム」で取り扱う水稲品種の生育予測パラメータの精査および生育予測精度を向上させ、アラート機能のさらなる機能強化を行うという。

今後は、農研機構で開発が進められている生育状況把握手法や発育予測モデルの研究成果を、「リモファーム」の新機能として反映させるなど、検討を進めていく。

※植物の葉に含まれる葉緑素(クロロフィル)量を示す値であり、植物の健康度を知る指針

有人宇宙システム株式会社
https://www.jamss.co.jp/
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
https://www.naro.go.jp/

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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
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    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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