農産物向けプラズマ殺菌装置を提供するタベテク、起業家育成プログラム「J-StarX」に採択

常温であっても薬剤を一切使わずに農作物の長期保存を行うプラズマ殺菌装置「PLASMABOX」を提供する株式会社タベテクが、経済産業省が主催する起業家育成・海外派遣プログラム「J-StarX(ジェイ・スターエックス)」のシンガポール・インドネシアコースの参加企業に採択された。トルコ産柑橘類の輸出に向け、シンガポール・インドネシアで現地エコシステムとのネットワークを構築する。

東南アジアでの事業展開を視野に


「PLASMABOX」は、九州大学が持つプラズマ殺菌技術を用いて開発した、薬剤処理を行わずに農産物を長期間常温で保存する殺菌装置だ。

特徴としては、殺菌剤による洗浄、乾燥、防腐剤による処理や、高額な冷却装置が不要な点。さらに、腐敗した果実の液だれ等がなく管理に掛かる手間を大幅に削減でき、家庭用電源で使用できるため電気代は月100円程度、装置の年間レンタル料が11万円と安価になっている。

プラズマオゾン技術を活用して開発した箱型装置

同社の代表取締役である田苗眞代氏は、かねてより農作物の保存技術が不十分な海外を視野に、この技術を展開する構想を抱いており、2023年1月にトルコのハタイ県でレモンやハーコット等の果実を対象に実証実験を実施。

その結果、3カ月後には薬剤処理をした果実のほとんどが腐敗していた一方、プラズマ処理を施したものは外観も味も維持される成果が確認できたという。

常温下で3週間保存したみかん

プラズマ処理を施したみかん

現在、世界全体で生産されている食料の40%に当たる約25億トンが毎年廃棄されており、国連食糧農業機関FAO)が2011年に発表した数値の2倍以上に当たる。廃棄の要因として多いのは、消費者や小売業者の管理不足や売れ残り、劣悪な輸送環境や収穫時の乱雑な作業、加工過程でのミスなどで、特にサプライチェーンが脆弱な発展途上国では、生産から小売り前の段階で多くの廃棄ロスが起きているといわれている。

経済産業省主催の「J-StarX」は、日本から世界で輝くイノベーターを輩出することを目的とした起業家育成・海外派遣プログラム。

同社が参加するシンガポール・インドネシアコースは、東南アジアでのスタートアップエコシステムをリードするシンガポールとユニコーン輩出数等でシンガポールに迫る勢いのあるインドネシアを対象に、現地のスタートアップやベンチャーキャピタルを訪問して、メンタリングやフィールドスタディ、ピッチ、将来的な事業展開を見据えた先端的な現地エコシステムとのネットワーク構築などを行うものである。

同社は、将来的にトルコ産の柑橘類を東南アジアに輸出することを視野に、2023年11月24日まで実施されるプロジェクトの活動に従事していくとしている。


株式会社タベテク
https://www.tabetech.com/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
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    北島芙有子
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    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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    鈴木かゆ
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    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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