丸山製作所と高知高専、ウルトラファインバブルの農業活用における有効性を実証

株式会社丸山製作所と高知工業高等専門学校は、かねてより進めてきた「丸山ウルトラファインバブル」の農業利用に関する共同研究の成果を発表。ウルトラファインバブルが減肥栽培に有益性を発揮するという実証結果が得られた。

2023年10月17日に開催された現地報告会の様子

ウルトラファインバブルとは、直径100マイクロメートル未満(0.1ミリ)の微細な泡であるファインバブルの中でも特に小さな(1マイクロメートル未満の)サイズの泡のことである。

水と空気の2つで構成されており、洗浄効果や植物の生育促進、酸化抑制などさまざまな効果を持ち、日本発の最新テクノロジーとして、環境、農業、工業、水産、医療など幅広い分野で応用・実用化が進んでいることから、国際的にも注目を集めている。

減肥栽培への有益性を確認


丸山製作所は、農業機械等の製造・販売を手がける企業。農業や工業、環境、水産、医療などを対象に、瞬時に高濃度のウルトラファインバブルを生成する独自の技術である「丸山ウルトラファインバブル(MUFB)」を活用した製品を提供している。

高知工業高等専門学校は「ファインバブル」に関する研究を20年以上続け、2021年からは丸山製作所と共同で研究を進めている。

丸山製作所は、水耕栽培等を対象に「丸山ウルトラファインバブル」を活用したポンプの導入など、農業分野への技術・製品の提供を行ってきた。しかし実際の農業現場では、植物の成長促進効果をもたらす場合もある一方で、効果があまり見られない事例も確認してきたという。

今回の研究では、小松菜を対象に「丸山ウルトラファインバブル」技術で生成したウルトラファインバブルを含む水である「MUFB水」を活用した減肥効果を検証。

ウレタンスポンジで発芽させた小松菜の苗を、24時間液肥が循環し1日12時間LEDが照射される水耕栽培環境の中で生育させ、100%の液肥と通常の水を使用した通常栽培区と、80%の液肥にMUFB水を使用した実験区の2つにわけ、ウルトラファインバブルが作物の生育に与える影響を調査した。

その結果、実験区で生育した小松菜は葉部分(可食部)がより大きく成長し、成長に関係するホルモン量もより多い傾向を確認。「MUFB水」を使用することで肥料を20%削減できることに加え、成長の促進効果を計測することに成功したとのこと。

MUFBウルトラポンプ UP0290M-1を利用し給排水槽へMUFBを生成


丸山製作所は、「今後もこの技術を軸に、産学連携の取り組みをより一層強化し、農業をはじめとした産業の発展へさらなる貢献を目指していく」としている。


株式会社 丸山製作所
https://www.maruyama.co.jp/
独立行政法人国立高等専門学校機構高知工業高等専門学校
https://www.kochi-ct.ac.jp/
SHARE

最新の記事をFacebook・メールで
簡単に読むことが出来ます。

RANKING

WRITER LIST

  1. 加藤拓
    加藤拓
    筑波大学大学院生命環境科学研究科にて博士課程を修了。在学時、火山噴火後に徐々に森が形成されていくにつれて土壌がどうやってできてくるのかについて研究し、修了後は茨城県農業総合センター農業研究所、帯広畜産大学での研究を経て、神戸大学、東京農業大学へ。農業を行う上で土壌をいかに科学的根拠に基づいて持続的に利用できるかに関心を持って研究を行っている。
  2. 槇 紗加
    槇 紗加
    1998年生まれ。日本女子大卒。レモン農家になるため、大学卒業直前に小田原に移住し修行を始める。在学中は、食べチョクなど数社でマーケティングや営業を経験。その経験を活かして、農園のHPを作ったりオンライン販売を強化したりしています。将来は、レモンサワー農園を開きたい。
  3. 沖貴雄
    沖貴雄
    1991年広島県安芸太田町生まれ。広島県立農業技術大学校卒業後、県内外の農家にて研修を受ける。2014年に安芸太田町で就農し2018年から合同会社穴ファームOKIを経営。ほうれんそうを主軸にスイートコーン、白菜、キャベツを生産。記録を分析し効率の良い経営を模索中。食卓にわくわくを地域にウハウハを目指し明るい農園をつくりたい。
  4. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  5. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
パックごはん定期便