農薬いらずのジャンボタニシトラップ「スクミッチシリーズ」の新商品が発売

大栄工業株式会社は、ジャンボタニシの防除用トラップ「スクミッチシリーズ」の新商品を発売した。農薬を使用せずにジャンボタニシによる稲作被害を抑制し、収穫量向上と経費削減に貢献するという。


置くだけで設置完了 ジャンボタニシによる食害を最小限に


大栄工業は、プラスチックの表面加工から金型・成形・塗装などを一貫生産で行う企業。

今回販売が開始されたスクミッチは、ジャンボタニシ(学名:スクミリンゴガイ)の防除用トラップ。田植え後、水が張られた田んぼにスクミッチを置くだけで設置が完了する。効果範囲は約15メートルとされ、水田1反に3カ所の設置でジャンボタニシによる食害を最小限に抑えられるという。

中心部にジャンボタニシを誘い込む誘引剤である「スクミッチフード」のエサ置きカゴが備え付けられていて、両端のジャンボタニシ侵入口に郵便ポスト状のトラップを設置しているほか、側面にはジャンボタニシが嫌う銅線を組み込み、一度入ったら逃げられない構造になっている。

また、外装が透明で中身の確認が簡単に行え、アタッシュケースタイプのため容易に持ち運ぶことも可能。耐用年数は約5年で、農林水産省のスクミリンゴガイ防除対策マニュアル(移植水稲)にも掲載されている。

2024年4月現在のラインナップ

これまでLEDランプなどの自動車部品や家電関連部品などを中心に展開してきた同社は、コロナ禍によって工場の操業停止が相次ぐ中、いかに受注基盤を維持し成長させていくかを考えた結果、選択肢として挙がったのが農業における害虫・害獣対策支援だったという。

地元農家やJAからジャンボタニシによる稲作被害があることを聞き、薬剤を使用せずにジャンボタニシを捕獲・駆除する農業技術の研究が進んでいる佐賀大学を訪れた。

佐賀大学では奈良女子大学の遊佐陽一教授を紹介されたことで、開発が一気に進んだという。産学連携によって誕生したスクミッチの名前には、ジャンボタニシの学名であるスクミリンゴガイがミチミチ(満ち満ち)と捕獲できるという意味が込められている。

今後は、農家の声も参考にしながら改良を加え、より良い製品にしていきたいとしている。


大栄工業株式会社
https://www.daiei-gr.co.jp/
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
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    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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