AGRI SMILE、JAさがえ西村山・はが野と連携してバイオスティミュラントの圃場検証を開始

株式会社AGRI SMILEは、山形県のJAさがえ西村山および栃木県のJAはが野の管内において、バイオスティミュラント資材を活用した圃場検証を開始した。

減肥区においても作物の収量を維持できること、および作物障害を減らすことが目的で、適切な栽培条件や資材の使用方法を確立し、生産者が安心してバイオスティミュラントを利用できるようになることを目指していくという。


ビール酵母の成分を抽出したバイオスティミュラント資材を利用


AGRI SMILEは、農林水産省の「みどりの食料システム戦略」に基づき、化学肥料の使用を削減するバイオスティミュラント資材の活用を進めている。特に、食品残渣を原料とした残渣型バイオスティミュラント資材は、農業生産の拡大と環境保全の両立を実現する画期的な技術として期待されている。

JAさがえ西村山は、日本一のさくらんぼの産地として知られているが、昨今の異常気象により、降霜被害や結実が不安定となる問題が浮上しているという。

また、水稲では登熟期の高温または低温による品質・収量の低下が課題となっており、なすの生産においては連作障害、りんごについては実割れや着色不良などが発生している。

一方、JAはが野は、日本一の生産量を誇るいちご「とちおとめ」をはじめ、園芸作物や米穀類の生産が盛んに行われている地域。なかでも、主力品目であるいちごの新品種は、とちおとめと比較して収量が多いものの窒素吸収量も多く、近年の化学肥料の高騰を受け、化学肥料の低減に向けた取り組みが喫緊の課題となっている。

また、たまねぎの産地においては、連作や堆肥の過剰施用による生産性低下や病害、アスパラガスでは茎枯病や斑点病が発生している。

今回の圃場検証は、農林水産省が実施する「グリーンな栽培体系への転換サポート」事業に採択されている。これは、環境負荷の低い栽培技術と省力化に資する技術の普及に向けて栽培マニュアルと産地戦略を策定する事業で、環境に配慮しながら栽培体系の見直しや課題解決に取り組む産地の支援を行うもの。

詳しい検証内容は、以下のとおりだ。

検証作物
JAさがえ西村山:さくらんぼ、もも、りんご、なす、水稲
JAはが野:アスパラガス、たまねぎ、いちご

圃場検証の内容
・減肥条件(慣行区または減肥区)とバイオスティミュラント資材施用の有無を掛け合わせた試験区を設け、各試験区の収量・品質・生育を比較検証。
・生育評価や、植物元素解析・土壌菌叢解析等のバイオインフォマティクスによる評価を踏まえ、減肥下でも収量や品質が低下せず、維持または向上できるのかを確認。
・初年度はビール酵母の成分を抽出したバイオスティミュラント資材を使用し、2年目以降はビール酵母資材に加え、JAはが野においてはAGRI SMILEが開発した残渣型バイオスティミュラント資材を使用する。

なお、JAさがえ西村山では1作目の検証を実施し、今後も検証を継続していく予定で、JAはが野においては現在検証中とのこと。

JAはが野 代表理事組合長 国府田 厚志氏のコメント

足元、病害の発生が課題となっているため、収量と品質を向上させることができるバイオスティミュラント資材がこれら病害発生の予防にも貢献することに大きな期待を寄せています。当組合は、昨年AGRI SMILEが主導して立ち上げた「バイオスティミュラント活用による脱炭素地域づくり協議会」において、BS栽培検証コンソーシアムの代表を務めていることもあり、今回の取り組みは当組合にとって最重要取り組みの一つと位置付けています。また、当組合はこれまでもバイオスティミュラント資材を先行利用してきましたが、その効果にばらつきがあり、適切な栽培条件の特定には至っておりませんでした。この点についてもAGRI SMILEの技術力に期待しているところです。今後、AGRI SMILEとともにバイオスティミュラントの検証実績を重ね、生産者が安心して利用できるようにすることが目標です。私たちの取り組みが、日本全国の産地に広く知られることで、バイオスティミュラントの普及に寄与できればと思っています。

株式会社AGRI SMILE 代表取締役 中道 貴也氏のコメント

JAさがえ西村山様とJAはが野様は、収量向上や病害対策といった産地の課題解決に向けて真摯に取り組まれようとされており、今回の取り組みが両JA様の課題解決に貢献できることを非常にうれしく思っております。当社が開発を進める食品残渣型バイオスティミュラントの普及の足がかりとして、今回の取り組みのようにバイオスティミュラント資材の有効性や作用メカニズムを産地の皆様とともに確認していくプロセスは非常に重要なプロセスだと考えます。今後もこのような取り組みを全国の各産地で実施することにより、生産者様の化学肥料低減と所得向上に貢献するとともに、ECサイトを通じた産地ブランディング等による地域経済活性化も推進して参ります。


株式会社AGRI SMILE
https://agri-smile.com/
JAさがえ西村山
https://www.ic-net.or.jp/home/jasagae/index.html
JAはが野
https://www.ja-hagano.or.jp/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
  3. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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