農薬散布ドローン「飛助MG/DX」が性能向上 国交省への申請も代行

農林水産航空協会認定国内ドローン製造メーカーの株式会社マゼックスが販売する農薬散布ドローン「飛助MG/DX」が、ユーザーの声をもとに進化。機能と性能はアップし、価格は据え置きで2019年12月より販売スタートする。

業界初の国土交通省への申請や許可書の発行発行手続き、機体登録や報告作業までも全て代行してくれる。


ドローンが農業に欠かせない存在に


2018年2月(MGは2018年7月発売)より発売を開始した、農薬散布ドローン「飛助MG/DX」は1年半で販売累計200台を超え、多くのニーズに応えられる機体が求められている。

ユーザーから届いた声に応えるべく、「日本の圃場で本当に役立つ機体」をコンセプトに、より進化・発展した「飛助MG/DX」2020年型モデルを来シーズンに向け販売開始する。

「飛助MG/DX」の新型機





「飛助MG/DX」最大の特長は、軽量な機体にもかかわらず無人ヘリに劣らない優れた散布性能を備えていることであり、4枚プロペラと吐出ノズル前後切替装置を組み合わせた散布構造が特許を取得した。

30インチの大きな4枚プロペラが生み出す強いダウンウォッシュと、渦の影響を受けにくくする前後切替装置を組み合わせた「飛助MG/DX」の散布システムは、使用する方に安定した散布品質を提供することが可能だ。


構造上8個モーターの機体は21インチのプロペラだが、4個モーターの場合は30インチの大きなプロペラを使用することができる。国立研究開発法人の実地試験でも、「プロペラがより大きいほど降下気流の中に薬剤を留めて散布することができる。」と結果が出ている。

4枚型と前後切替装置の組み合わせでドローンのデメリットを取り除き、全てのダウンウォッシュを利用して今までになかった散布性能を生み出した。実際の散布試験では、他のドローンよりも特に優れた数値を確認していいるという。

初心者でも散布しやすい直進アシストモード



GPSで経路がズレないように補正され、速度は15kmで固定、散布装置も自動制御し緑線だけを散布することができる。ホバリング時や横移動時は散布装置が自動停止し、スイッチ1つで右・左に4m自動で横移動してくれる。

自動飛行モードで薬剤も無駄にしない


上空でスイッチを押すだけで自動散布飛行が可能に。横や前後移動、散布装置のON・OFFも全自動となっている。前後移動の時だけ散布装置がONになり、ホバリングと横移動は散布装置がOFFになるので薬剤を的確に散布できる。

タブレットやモニターを使用する必要がないので、熱の心配や接続できないなどの不具合のリスクを抑えることができるという。

旧モデルよりもブレーキ性能が向上

飛行の調整を行い、飛助の特性でもあるマイルドな動きは残しつつ、ブレーキ性能を向上させクイックな動きに変わっていて、圃場の端からはみ出さずに操作することが可能。

大容量バッテリー

日本は10aあたりの散布量が海外と比較すると少なく、飛行時間を長くする必要があった。そのため、海外製品はバッテリー容量が532Whに対して、飛助MGは710Whを採用。

海外製品を使用した場合、日本の圃場では10L全て散布できず70a程度で中断するが、飛助MGは1度に100aの散布できるようになった。

優れた制御装置


最新の制御装置は、液体が揺れても瞬時の判断で安定飛行を継続。2つの気圧計とコンパスを装備し、センサーに不具合が生じてもフライトを維持し安全性・信頼性を高めている。

操作性も大幅に向上しゆったりとした動作のため、初心者でも落ち着いて操作することが可能。自動制御により高度・位置・スピードは一定に保たれ、送信機から手を離せば自動でブレーキをかけてホバリングを開始する。


薬剤を注ぎやすく


従来は左右2カ所から薬剤を投入することが可能だったが、1カ所に変更し投入口を大きくした。これにより調合した薬剤が注ぎやすくなり、作業効率が大幅に向上。また、投入口のストレーナーは、液剤タンクへのホコリ等の異物混入を防ぐ。

排気弁と機体カバーの変更

従来はポンプ上部に配置していた弁を、新型ではタンク投入口付近に固定することで、排気弁の操作忘れを防止した。



機体カバーは形状の変更と、剛性を向上させるために内部の補強線を2倍以上増加。また、フレームとカバーの固定方法を見直すことで、機体全体の強度も向上している。飛行中に発生する振動を低減しフライトコントローラーへの影響を抑制することで、安定した飛行につなげている。

ポンプスイッチボタンを増設


散布後タンク内を掃除する際には送信機でポンプのON・OFFの操作が必要だったが、新型では機体裏面にあるボタンを押すとポンプが作動、送信機で操作しなくてもノズルから吐出できる。この機能により、濡れた手で送信機を触る必要がなくなるので、清掃が行いやすくなった。

コンパクト





プロペラはワンタッチで取り外しが可能、組み立て、収納時に手間がかからなく、機体もコンパクトに折り畳めるので、倉庫内でも場所を取らない。

<参考URL>
飛助MG製品ページ
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
  3. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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