自動収穫ロボットビジネスは収穫量に対するマージン方式──inaho株式会社(後編)
※初出時、写真のお名前を誤っておりました。お詫びして訂正いたします。
農業ロボットの開発を手がける神奈川県鎌倉市のベンチャー企業、inaho株式会社が2019年から実用化に入るアスパラガスの自動収穫AIロボット。農業ロボットを開発する企業が増える中、inahoの普及方法で特徴的なのは、販売するのではなく貸し出すという点だ。
▲inaho株式会社の自動収穫ロボットのプロトタイプ
売上は収穫量と市場価格を掛け合わせて算出する。収穫量はどうやって把握するのかといえば、ロボットの荷台部分に重量センサーを搭載している。
なぜそうするのか。inahoの外波山晋平さんはこう説明する。
「これは設計思想に基づいています。このロボットはコンピューターやセンサー、小型モーターなどを搭載した精密機器なのですが、もし従来の農機具のように売り切りにすると、耐久性や堅牢性を今よりもずっと上げないといけなくて、自動車レベルのものが必要になってしまう。それだと高額になり過ぎて、現実的ではない。だったら貸し出す方式にして、破損したらこちらの負担で修理します」
さらに言えば、ロボットのアップグレードを行ったり機能を増やしたりしていく構想を持っていることとも関係している。
「これらの機器は年々めざましく進歩していて、スマホのように数年もすれば性能が時代遅れになってしまいます。貸し出すものを順次アップグレードして性能が上がれば、借りる側も貸す側も双方のメリットになる。アップグレードするなら売り切りでないほうがいいんです。将来的にはこれ1台で、薬剤の散布や草刈りなどもできるようにしたいと考えています」
▲inaho株式会社の菱木豊社長(右)と外波山晋平氏
さらにデータを活用したクラウド型の営農支援サービスも展開する予定。ロボットに気温や湿度などのセンサーも取り付け、一連のデータを収集。それを分析して、収穫量や病害虫の発生を予測したり判定したりして、利用者に伝える。
ロボットを普及する先はまずは佐賀県。それに当たって2019年1月に佐賀県鹿嶋市と進出協定を締結し、同地にオフィスを開設した。ここを拠点に福岡、佐賀両県にも広げていく。
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AI野菜収穫ロボットのinaho株式会社、佐賀県鹿島市に進出
すでにキュウリの収穫でも実用化できる段階に来ており、今年はアスパラガス用とキュウリ用でそれぞれ20台ずつを製造する。2020年には300~400台の製造を見込んでいる。さらに園芸栽培の野菜の中で国内でもっとも生産高が大きいトマトでも使えるように検討していくという。
▲ビニールハウスでの収穫作業の実演
自動収穫ロボットの実用化はこれからだが、すでに全国の産地から自分たちのところで試験してほしいと声がかかっているという。それだけ人手不足が切実な問題であるということはもちろん、農家とともに成長し、儲けていくというinahoの姿勢に、農家たちが共感しているからなのだろう。今後の成長が楽しみなベンチャーである。
<参考URL>
inaho株式会社
農業ロボットの開発を手がける神奈川県鎌倉市のベンチャー企業、inaho株式会社が2019年から実用化に入るアスパラガスの自動収穫AIロボット。農業ロボットを開発する企業が増える中、inahoの普及方法で特徴的なのは、販売するのではなく貸し出すという点だ。
▲inaho株式会社の自動収穫ロボットのプロトタイプ
inahoの収益は収穫量に対するマージン方式
貸し出すといっても利用者が支払う料金は定額ではなく、このロボットで収穫したアスパラガスの売上に対して15%のマージンを想定している。つまり顧客である農家の利益が増えれば、そのままinahoのそれも増える仕組みである。売上は収穫量と市場価格を掛け合わせて算出する。収穫量はどうやって把握するのかといえば、ロボットの荷台部分に重量センサーを搭載している。
なぜそうするのか。inahoの外波山晋平さんはこう説明する。
「これは設計思想に基づいています。このロボットはコンピューターやセンサー、小型モーターなどを搭載した精密機器なのですが、もし従来の農機具のように売り切りにすると、耐久性や堅牢性を今よりもずっと上げないといけなくて、自動車レベルのものが必要になってしまう。それだと高額になり過ぎて、現実的ではない。だったら貸し出す方式にして、破損したらこちらの負担で修理します」
さらに言えば、ロボットのアップグレードを行ったり機能を増やしたりしていく構想を持っていることとも関係している。
「これらの機器は年々めざましく進歩していて、スマホのように数年もすれば性能が時代遅れになってしまいます。貸し出すものを順次アップグレードして性能が上がれば、借りる側も貸す側も双方のメリットになる。アップグレードするなら売り切りでないほうがいいんです。将来的にはこれ1台で、薬剤の散布や草刈りなどもできるようにしたいと考えています」
▲inaho株式会社の菱木豊社長(右)と外波山晋平氏
充電の自動化やデータ収集も
プロトタイプではフル充電すれば6時間持つ。バッテリーの充電にかかるのは3時間。作業の流れとしては朝から稼働させ、昼は充電に当て、午後から再始動させるといったことを想定している。最終的にはロボット掃除機のように、バッテリーがなくなりそうになったら、ロボットが圃場に設置した充電できる基地に戻るようにするつもりだ。さらにデータを活用したクラウド型の営農支援サービスも展開する予定。ロボットに気温や湿度などのセンサーも取り付け、一連のデータを収集。それを分析して、収穫量や病害虫の発生を予測したり判定したりして、利用者に伝える。
ロボットを普及する先はまずは佐賀県。それに当たって2019年1月に佐賀県鹿嶋市と進出協定を締結し、同地にオフィスを開設した。ここを拠点に福岡、佐賀両県にも広げていく。
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AI野菜収穫ロボットのinaho株式会社、佐賀県鹿島市に進出
すでにキュウリの収穫でも実用化できる段階に来ており、今年はアスパラガス用とキュウリ用でそれぞれ20台ずつを製造する。2020年には300~400台の製造を見込んでいる。さらに園芸栽培の野菜の中で国内でもっとも生産高が大きいトマトでも使えるように検討していくという。
▲ビニールハウスでの収穫作業の実演
自動収穫ロボットの実用化はこれからだが、すでに全国の産地から自分たちのところで試験してほしいと声がかかっているという。それだけ人手不足が切実な問題であるということはもちろん、農家とともに成長し、儲けていくというinahoの姿勢に、農家たちが共感しているからなのだろう。今後の成長が楽しみなベンチャーである。
<参考URL>
inaho株式会社
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