農業IoTの省電力・広範囲な通信規格「ZETA LPWA」の実証実験がスタート

株式会社クラインズは、2019年1月から12月までの期間、群馬県・太田市産業支援センター内にLPWA(Low Power Wide Area)通信規格であるZETAの通信インフラを常設し、新規開発したデバイスやアプリケーション・プラットフォームの実証・評価を行う。


ZETAは、2013年に英国ケンブリッジで創業されたベンチャーであるZiFiSense社によって開発されたIoT向きの無線通信の新規格。ZETAの特長は、低消費電力で双方向通信が行えること、中継器を用いてメッシュ状のアドホック無線通信ネットワークを構築してマルチホップ通信(最大4ホップ)が行えること、中継器は小型軽量で電池駆動が可能であり設置場所の選択範囲が広いことなどがある。これらの特長から、ZETAは高層ビルが林立する大都市中心部、島しょ部傾斜地や山間部など複雑な地形の場所でのIoT向けの無線通信インフラとして適しているという。


クラインズはその「ZETAアライアンス」のメンバーであり、実証実験・技術開発の第一弾として、支援センター内にスマートビルディング向けのセンサー類を設置し、アプリケーション・プラットフォームの運用を開始。今後は設置した各センサーから送信される情報を解析することで、通信状況および通信品質の評価を行い、システムの有効性を確認する。

複数のセンサーをZETA LPWAで設置した例

設置センサーの例

また、2019年3月からは、最新のリリース製品であるスマート農業向けセンサー類(気温・湿度・照度統合センサー、土壌温度・水分量センサー、土壌電気伝導度センサー、二酸化炭素濃度センサー、光合成有効放射センサー、葉面温度センサー、葉面湿度センサー)を支援センターの敷地内に設置し情報を収集。農業専用に開発したアプリケーション・プラットフォームの運用試験を行うほか、ZETA LPWAの特長である、中継器を用いたマルチホップとメッシュアクセスによる柔軟な通信エリアの拡張性評価に加えて、ダウンリンクの有効性評価を開始します。

さらに、センター内に展示ブースを設営し、ZETA対応製品の紹介やデモンストレーション展示を行い、ZETAを体験できる場も提供する予定だ。

ZETAアライアンスはクラインズと協業し、支援センターを技術試験拠点と位置づけ、実証実験および技術開発の場として活用することによってZETAの普及を加速させ、さらには地域の活性化に貢献していくとしている。

<参考URL>
ZETAアライアンス
株式会社クラインズ
ZETA LPWAネットワーク(株式会社テクサー)

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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
  3. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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