トプコンから、圃場に合わせて可変施肥できるクラウドサービスが登場

株式会社トプコンは、農作物の生育データから最適な施肥を行うソリューションとして、クラウド版可変施肥設計ソフトウエア『nRate-Map Web』(エヌレートマップ ウェブ)を3月より発売した。

圃場マップのイメージ図

『nRate-Map Web』は、作物の生育データを使い、圃場内の場所ごとに必要な肥料散布量を可視化するソフトウエア。作成したマップを用いることで、追肥を可変施肥で行えるだけでなく、土壌の栄養状態(地力)を推測して次年の育成計画、基肥でも可変施肥を行うことも可能になる。

また、簡単な操作で施肥用のマップを作成できることが特長で、手軽に使用できる料金体系と相まって、大規模な営農法人だけでなく、個人経営農家にも活用できる。

ソフトは十勝農業試験場や北海道大学との連携により開発されており、十勝農業試験場が研究している「畑輪作で活用できる生育履歴情報を利用したマップベース可変施肥技術」にて使用されている施肥設計ソフトウエア「施肥マップ」のウェブアプリケーション版。この研究は、2017年度(平成29年度)の北海道農業試験会議にて【普及推進事項】として採択されている。

<参考・十勝農業試験場のレポート>
「基肥にも追肥にも活用! ITを使った可変施肥技術による収量向上」|農業研究本部 十勝農業試験場 2017

トプコンは『nRate-Map Web』を発売することで、作物の生育段階における均一化をはじめ、次年度の土つくりにおいてもデータでの管理ができるソリューションを提供し、日本の農業の「生産性向上」「コスト削減」「圃場の最適活用」という課題に取り組み、スマート農業の普及促進に貢献するとしている。


可変施肥により圃場に最適な肥料散布を実現
レーザー式生育センサー「CropSpec(クロップスペック)」や、衛星画像またはドローンによるNDVI(正規化植生指数)などの生育データを使い、自動的に施肥量を指定したマップを作成する。また、生育データを使わず経験でわかる「地力」、例えば毎年施肥を行っても生育が良い所や悪い所などを勘案して、ユーザー自身がマニュアルで施肥量マップを作成することも可能。


さらに、GNSS自動操舵/ガイダンスシステム、可変施肥機と組み合わせることで、圃場に最適な肥料散布を可能にする。生育状況や推定した土壌の栄養状態に合わせて場所ごとに施肥量を調整することで、以下のような効果が期待できる。
  • 作物の生育を均一にした品質の安定
  • 作物の倒伏*6を減少することによる増収
  • 施肥量の最適化による肥料コストの軽減


どこでも誰でもデータへアクセス可能
データはクラウド上にあり、ウェブブラウザで操作するため、インターネットにつながる環境にあれば自宅のPCからでも圃場でタブレットからでもデータへアクセスできる。GPSを搭載したタブレットなら、マップに今いる場所を表示でき、現地で状況を確認することも可能。

また、ユーザーの追加もでき、たとえば規模のある営農法人であれば従業員間でのデータを共有したり、普及指導員などの有識者へアクセス権限を付与すれば、離れたところからでもデータを確認してもらいながらの的確な技術指導を受けるといった環境を作ることもできる。


年間契約(サブスクリプション方式)の料金体系で手軽に導入
使用料金は圃場の面積に応じた年間契約となっており、導入時に大きな初期費用(イニシャルコスト)をかけることなく、手軽に利用できる料金体系を設定している。

<参考URL>
可変施肥設計ソフトウェア nRate-Map Web
トプコン精密農業製品情報

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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、九州某県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方で、韓国語を独学で習得する(韓国語能力試験6級取得)。2023年に独立し、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサル等を行う一方、自身も韓国農業資材を輸入するビジネスを準備中。HP:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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