【関西農業ワールドレポート】いま絶対に注目したい、最新農業向けドローン情報

5月9日からインテックス大阪で開幕した関西農業ワールド2018。昨年の70社から今年は290社へと大幅に出展者が拡大され、2万人もの来場者を見込んでいるという。開場前に行われたテープカットには、西日本を中心とした農業法人や企業、ホームセンター、そして行政などのトップが集結し、関西最大のイベントとして華々しく幕を開けた。

今回は、そんな展示の中で編集部が注目したスマート農業に関する機器やサービスなどを、3回にわたってご紹介していく。1回目は会場でも大きな存在感を見せていた「ドローン」だ。


自動操縦による大規模農薬散布用ドローン ──XAIRCRAFT JAPAN


ひときわ大きなブースを展開していたXAIRCRAFT JAPAN(エックスエアクラフト ジャパン)は、中国の産業用ドローン大手の日本法人だ。自動操縦で農薬を散布できるドローンを実用化し、5年以上の実績を誇る。

今回は、すでに発売済みの「P20」に加えて、積載量の異なる「P10」と「P30」を初公開。いずれも、GNSS RTKという専用機器を搭載し、ドローンの正確な飛行エリアを指定した自動操縦により、独特な形状が多い日本の圃場でも正確に農薬を散布することができる。


ラジコンヘリと比べて低空を飛行できることで、人体への影響を最小限に留められるほか、1台の端末で8台までのドローンを自動制御できるため、運転技術もいらず、なにより農薬散布の省力化も図れる。

産業ヘリに迫る散布品質を実現 ──株式会社マゼックス

マゼックスは、薬剤の均一散布が特徴の産業用ドローンだ。4つのプロペラと2機のポンプを搭載し、前後進で別々のノズルから噴霧することで均一な散布を可能とした。また、折りたたむことで約半分のコンパクトサイズになり、24kgという比較的軽量なボディもあって、持ち運びもしやすい。


スタンダードモデルの「飛助MG」は、農林水産航空協会認定機体として登録済み。また、上位モデルの「飛助DX」はA点、B点を指定することによる自動散布機能も搭載している。


一度の飛行で1ヘクタール以上という散布能力で、大規模農場だけでなく、小規模な農家にも導入しやすいドローンと言えそうだ。


ピンポイント散布による減農薬を実現 ──株式会社オプティム

オプティムの「OPTiM Agri Drone」は、AIによる圃場の画像分析とピンポイント散布を組み合わせたソリューション。害虫がいる場所を診断し、的確に散布することで、減農薬と労力軽減を可能としている。一方、固定翼タイプの「OPTiM Hawk」は、大規模な圃場などを分析し、生育状況を確認できるドローン。北海道帯広市や佐賀県などで試験運用が進められており、実用化されれば生育分析などにも役立てられる。


特にOPTiM Agri Droneは、同社が進める「スマート農業アライアンス」に加入することで、自分の農場に無料で導入できる可能性もある。条件なども必要だが、高額なイニシャルコストがかからないのは、これからスマート農業に取り組もうとする農家にとって大きなメリットだ。7月31日まで募集期間も延長されているので、ぜひ検討してみてはいかがだろうか。



パロット製産業用ドローンの販売が開始 ──株式会社サイバネテック

今年からフランスのドローン大手、パロット社の産業用ドローンの取り扱いをスタートさせたのが、株式会社サイバネテックだ。

パロットは現在、日本ではホビー向けのドローンを中心に販売しているが、ヨーロッパでは産業用ドローンにも力を入れている。というのも、実はパロットは子会社として、圃場分析のためのマルチスペクトラルカメラの会社などを抱えているためだ。


これらを搭載したドローンとして、固定翼タイプの「Parrot Disco-Pro Ag」や4ローターの「Parrot Bluegrass」がすでに日本での発売を開始。農薬散布用のタンクなどを搭載せず、カメラによる分析用途のみのため、なにより小型・軽量なことが特徴だ。また、DJIのPhantomシリーズやMavic Proといったメジャーな民生用ドローンに、パロット子会社が扱うSequoiaマルチスペクトラルカメラやSentera NDVIセンサーなどを搭載するキットも取り扱っている。


画像分析のためのPix4Dmapperといったソフトも用意はしているが、ハードとソフトを含めたシステムとしての提供は同社としてもこれからの分野で、一般の農家が導入するにはまだまだコストもかかる。現在はこれらのカメラなどを使った研究開発を進めている企業や大学の研究者などからの引き合いが多いという。

今回展示されていたいずれのドローンも、これまで実現できなかった様々な作業を行える可能性を秘めており、今後の研究開発によってドローンを用いたスマート農業はさらに発展していくだろう。興味を持たれた方は、関西農業ワールドのブースにもぜひ足を運び、その熱気を感じてほしい。

<参考URL>
XAIRCRAFT JAPAN株式会社
http://xaircraft.jp/
株式会社マゼックス
http://shop.matuzx.com/
株式会社オプティム
https://www.optim.co.jp/
スマート農業アライアンス 会員登録ページ
https://smartagri-jp.com/alliance
株式会社サイバネテック
http://www.cybernetech.co.jp/
ドローンパイロットシェアリングサービス
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WRITER LIST

  1. r-lib(アールリブ)
    これからのかっこいいライフスタイルには「社会のための何か」が入っている、をコンセプトにインタビュー記事やコラムなどを発信するメディア。r-lib編集長は奈良の大峯山で修行するために、毎年夏に1週間は精進潔斎で野菜しか食べない生活をしている。
  2. 奥部諒
    東京大学大学院 学際情報学府 修士1年の奥部諒(おくべ・りょう)です。大学院ではプレゼンテーションをテーマに研究を行い、その傍らプレゼンテーションのコーチ、プレゼン関連製品のアンバサダーなどをしています。2018年より大学院を1年休学し、語学学習と企業インターンを行うために日本を離れています。また、プレゼン以外にもドローンの一次産業利用についての調査も企業とともに行っています。現在非常に注目されているドローンについて世界各国の規制や認識を現地で収集できればと思っています!また、同時に各国のドローンと食の関連性についても同様にシェアできればと思います。
  3. 水尾学
    みずおまなぶ。滋賀県高島市出身。大学卒業後、電子機器関連業務に従事。2016年に自家の柿農園を継ぐと同時に、IoT農業の実現を目指す会社、株式会社パーシテックを設立(京都市)。実家の柿農場を実験場に、ITを駆使した新しい農業にチャレンジしています。
  4. 窪田新之助
    くぼたしんのすけ。農業ジャーナリスト。福岡県生まれ。日本経済新聞社が主催する農業とテクノロジーをテーマにしたグローバルイベント「AG/SUM(アグサム)」プロジェクトアドバイザー、ロボットビジネスを支援するNPO法人Robizyアドバイザー。著書に『日本発「ロボットAI農業」の凄い未来』『GDP 4%の日本農業は自動車産業を超える』(いずれも講談社)など。 2015年11月に発表される「農業センサス」で明らかになる衝撃の事実! 日本の農地は急速な勢いで大規模化され、生産効率も急上昇……輸出産業となる!! 日本経済団体連合会(経団連)も2015年1月1日、発表した政策提言『「豊かで活力ある日本」の再生』で、農業と食のGDPを合わせて20兆円増やせるとした。これは12兆円の輸送用機械(自動車製造業)よりも大きく、インターネット産業や金融・保険業に肩を並べる規模──日本のGDPは500兆円なので、農業が全体の4%を占める計算になる。「コメ農家は儲けてない振りをしているだけですよ」「本気でやっている専業農家はきちんと儲かっている」など、日本中の農業の現場を取材した渾身のレポートは、我々に勇気を与える。日本の農業は基幹産業だ!日本発「ロボットAI農業」の凄い未来 2020年に激変する国土・GDP・生活自民党農林水産部会長の小泉進次郎氏は語る。「夜間に人工知能が搭載された収穫ロボットが働いて、朝になると収穫された農作物が積み上がっている未来がある」と──。21世紀の農業はAIやビッグデータやIoT、そしてロボットを活用したハイテク産業、すなわち日本の得意分野だ。その途轍もないパワーは、地方都市を変貌させて国土全体を豊かにし、自動車産業以上のGDPを稼ぎ出し、日本人の美味しい生活を進化させる。大好評『GDP4%の日本農業は自動車産業を超える』に続く第2弾!
  5. 大橋博之
    おおはしひろゆき。インタビューライター・編集者・ディレクター。インタビュー専門で執筆。趣味は散歩・人物撮影。URLhttps://garamon.jp.org/Twitterhttps://twitter.com/garamonmini

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