セブ島でもし、ドローンが壊れたら…… 【とある東大院生の海外放浪記】

現在、東京大学大学院を一年休学し、世界を回っている奥部諒(おくべ・りょう)と申します。
今回から「SMART AGRI」にて、「食」と「ドローン」に関連した記事を掲載していきます。

大学院ではプレゼンテーションをテーマに研究を行い、その傍らプレゼンテーションのコーチ、プレゼン関連製品のアンバサダーなどをしています。5月より、語学学習と企業インターンを行うために日本を離れ、プレゼン以外にもドローンの一次産業利用についての調査も企業とともに行っています。

このコラムでは、現在非常に注目されているドローンについて、世界各国の規制や認識を現地で収集できればと思っています!
また、同時に各国のドローンと食の関連性についても同様にシェアしていきます。


さて、記念すべき第1回は「フィリピンのセブ島でもし、ドローンが壊れたら」。

1回目から少しネガティブではありますが、ドローンユーザーの方には興味深い情報だと思います。それ以外にも、現地セブ島やフィリピンの食事事情、ショッピングモールの情報などもご紹介していくつもりです。

フィリピン滞在2週間目にしてドローンを破損……その理由は?

僕は現在、南国フィリピンはセブ島に来ています。 目的は語学学習ドローンを飛ばすこと。そしてフィリピンの食事情を肌で体感することです。

最初は初のフィリピンということもあり、タクシーに乗るのにも目の前のコンビニに行くのにも、ひとりで行けないほどビビってしまっていたのですが、今では大抵の場所ならひとりで行けるようになりました。

そんな生活に慣れてきた滞在2週間目のことです。語学学校の台湾人のクラスメイトとドローンの話で盛り上がり、一緒に飛ばそうということになりました。僕は「DJI Mavic Air」、彼は「DJI Mavic Pro」を所持しています。こっちに来て初めてドローンの電源を入れましたが、日本国内で飛ばしていたこともあり、同じような感覚でサッとセッティングを済ませて離陸させました。

しかし、ここで思わぬ出来事が。

離陸したドローンは、通常であれば高度1〜2mあたりでいったん空中停止し、オペレーターの操作を待つのですが、このとき、何も操作していないのに勝手に移動し、壁の方向に向かっていきました。急いで手で回収しようとしたのですが、時すでに遅く、コンクリートの壁に激突、4枚のプロペラのうち1枚が破損してしまいました……。

なぜ勝手に動いたのか調べてみても確実なことはわかりませんでしたが、実はこのとき、離陸前にキャリブレーションを行わずに離陸させていました。キャリブレーションとは、ドローンが安定してホバリングし、障害物などに接触するのを防ぐために、内蔵コンパスやセンサーを調整する作業のことです。

機体が勝手に一定の方向に動く原因として、外的要因(風など)以外で考えられるのは、まずセンサーの不具合。機体が水平状態を正確に判断できなくなれば物理的に傾き、傾いた方向に勝手に進んでいきます。この傾きの検出に貢献しているのがジャイロセンサーですが、僕が使用しているドローン「Mavic Air」では、人の手によるキャリブレーションが必要なのは磁気センサーのみ。

最初はジャイロセンサーが不具合を起こしたのかと思いましたが、色々調べているとどうやら磁気センサーとジャイロセンサーの両方で機体姿勢を検出しているということがわかりました(公式に発表されているわけではありませんが)。となると、やはり原因としては、離陸する前にキャリブレーションをしなかったことが考えられます。

日本でもたまにキャリブレーションをせずに飛ばしていたことがありましたが、特に大きな問題はありませんでした。しかし、今回は日本からフィリピンまで飛行機で来たので、通常より大きく磁気センサーが狂ったのだと推測できます。

日本から海外へドローンを持って行き使用する場合は、必ずキャリブレーションをしてから飛行させることをお勧めします。(いい教訓になりました……)※

ドローンは羽が命

壁に当たりはしましたが、破損したのは羽のみ。機体の状態やセンサー類には異常は見られませんでした。

しかし、ドローンにとって羽は命です。

ほとんどのドローンがクワッドコプター(羽4つ)またはオクトコプター(羽8つ)です。この複数枚の羽の回転によって生み出される揚力によって機体が持ち上がり、それぞれの羽の回転速度(揚力)を微妙に調整することにより、機体に傾きを生み出し、目的の方向に移動することができます。

もし、羽の形状が変化したり、今回のように破損したりすると、通常の揚力が得られなくなり、傾いて勝手に移動したり、最悪の場合は墜落することになります。
ですので、ドローンを安全に飛ばすには、飛行前の羽の状態のチェックや定期的な交換が必要になります。

消耗品である羽が破損したことは実際そこまで問題ではありません。
しかし、問題は破損した場所がフィリピンはセブ島であるということ。そして、スペアを持っていないということ。

日本ならまだしもフィリピンでスペアパーツを購入できるのか? という疑問が頭をよぎりました。

アヤラモールにあるらしい!

セブ島には大きなモールがいくつかあります。代表的なのは、
・SM City Cebu(シューマート・シティ・セブ)
・SM Seaside City Cebu(シューマート・シーサイド・シティ・セブ)
・Ayala Center Cebu(アヤラ・センター・セブ)
他にもありますが、この3つを抑えておけば大抵のものは揃います。

特にSM Seaside City Cebuは一番新しく、すべて回るのに(僕の場合)4時間以上かかるほど大きいです。日本食が食べられるレストランの他、日本でも有名なブランド(H&M、ユニクロなど)も数多く入っています。

また、このモールには映画館、スケートリンク、ボーリング場などの施設も入っており、買い物だけでなくアクティビティも同時に楽しめます。中心地から離れたところに位置しているので、行くには少し時間が必要ですが、30分もかかりません。

しかし、今回重要なのはドローンのスペアパーツが購入できる場所です。セブ島最大のモールであるSM Seaside City Cebuでもドローンのスペアパーツは取り扱っていませんでした。

僕が探した限り、ドローンを取り扱っている唯一のモールがAyala Center Cubu、通称「アヤラモール」です。

アヤラモールはおそらくセブで2番目に大きなモールで、スポーツ用品店が多いイメージです。また、セブは書店が小さく品揃えがあまりよくないところが多いのですが、アヤラモールにある書店は他のモールの書店よりもはるかに大きいです。

さて、本題のドローンですが、アヤラモールの3階に家電、携帯電話、電化製品が集中しているエリアがあり、歩いているとショーウィンドーにドローンを置いている店をよく見かけます。


期待が高まるところですが、ほとんどのお店が機体のみの販売。つまり、パーツ類は扱っていません。扱っているお店はアヤラモールでも1店舗(2018年5月14日時点)で、赤い看板が目印の「Henry’s CAMERAS」というお店。


このお店はGoPro等のアクションカメラ、各種DJIドローン(ただし、Phantomシリーズまで)、カメラの三脚などを扱っています。他のお店の店員さんに聞いても、この店しか扱っていないというのでおそらくここだけでしょう。

しかし、実際に行って尋ねてみると、プロペラのスペアパーツはまさかのMavic Proのみ。Mavic Air対応のパーツはプロペラガードだけでした。店員さんに尋ねたところ、「来週来てくれ」と言われたのでこの週は諦め、次の週に再び訪れることにしました。

結果は変わらず……修理は持ち越しに

「来週来て」とのことだったので、てっきり翌週には入荷するのかと思いきや、次の週になってもさらに次の週になってもまったく入荷しない……。Mavic Proのスペアはあるのに、Mavic Airはないという残念な結果になってしまいました。

そうはいっても羽を交換しないことにはドローンを飛ばすことができません。では、フィリピンでMavic Airに対応した羽を入手するにはどうしたらいいのか?

もし、僕のように長期滞在する予定なのであれば、「Lazada」と呼ばれるネットショッピングを利用するという手があります。このサイト上でスペアの羽を購入して滞在先に送ってもらうという流れです。ただ、情報によると数日で到着とはいかないようです。

この記事の執筆時点(5月中旬)ではまだ購入できていないので、実際にどのようにスペアパーツを入手したのか、お店での直接購入以外にどのような方法があるのかといったことは、次回の記事でご紹介できればと思います。

もし海外でドローンを飛ばしたいと思っている人は、僕のような目に遭わないためにも、キャリブレーションやドローンのメンテナンスは海外ではとくにしっかりと行い、かつ、スペアパーツを日本から持って行くことをお勧めします。

<参考>
※編集部注:Mavic Airのユーザーズマニュアルには、コンパスのキャリブレーションを行うタイミングとして、「最終飛行場所から50km以上離れた地点で飛行させる場合」「ドローンを30日以上飛行させなかった場合」「『DJI GO 4』アプリにコンパス干渉警告が表示されたり、機体ステータスインジケーターが赤色と黄色に交互に素早く点滅する場合」が挙げられている。
Mavic Air ユーザーズマニュアル
世界のドローン事情・食事情ルポ 〜とある東大院生の海外放浪記〜
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  1. 奥部諒
    東京大学大学院 学際情報学府 修士1年の奥部諒(おくべ・りょう)です。大学院ではプレゼンテーションをテーマに研究を行い、その傍らプレゼンテーションのコーチ、プレゼン関連製品のアンバサダーなどをしています。2018年より大学院を1年休学し、語学学習と企業インターンを行うために日本を離れています。また、プレゼン以外にもドローンの一次産業利用についての調査も企業とともに行っています。現在非常に注目されているドローンについて世界各国の規制や認識を現地で収集できればと思っています!また、同時に各国のドローンと食の関連性についても同様にシェアできればと思います。
  2. 水尾学
    みずおまなぶ。滋賀県高島市出身。大学卒業後、電子機器関連業務に従事。2016年に自家の柿農園を継ぐと同時に、IoT農業の実現を目指す会社、株式会社パーシテックを設立(京都市)。実家の柿農場を実験場に、ITを駆使した新しい農業にチャレンジしています。
  3. 窪田新之助
    くぼたしんのすけ。農業ジャーナリスト。福岡県生まれ。日本経済新聞社が主催する農業とテクノロジーをテーマにしたグローバルイベント「AG/SUM(アグサム)」プロジェクトアドバイザー、ロボットビジネスを支援するNPO法人Robizyアドバイザー。著書に『日本発「ロボットAI農業」の凄い未来』『GDP 4%の日本農業は自動車産業を超える』(いずれも講談社)など。 2015年11月に発表される「農業センサス」で明らかになる衝撃の事実! 日本の農地は急速な勢いで大規模化され、生産効率も急上昇……輸出産業となる!! 日本経済団体連合会(経団連)も2015年1月1日、発表した政策提言『「豊かで活力ある日本」の再生』で、農業と食のGDPを合わせて20兆円増やせるとした。これは12兆円の輸送用機械(自動車製造業)よりも大きく、インターネット産業や金融・保険業に肩を並べる規模──日本のGDPは500兆円なので、農業が全体の4%を占める計算になる。「コメ農家は儲けてない振りをしているだけですよ」「本気でやっている専業農家はきちんと儲かっている」など、日本中の農業の現場を取材した渾身のレポートは、我々に勇気を与える。日本の農業は基幹産業だ!日本発「ロボットAI農業」の凄い未来 2020年に激変する国土・GDP・生活自民党農林水産部会長の小泉進次郎氏は語る。「夜間に人工知能が搭載された収穫ロボットが働いて、朝になると収穫された農作物が積み上がっている未来がある」と──。21世紀の農業はAIやビッグデータやIoT、そしてロボットを活用したハイテク産業、すなわち日本の得意分野だ。その途轍もないパワーは、地方都市を変貌させて国土全体を豊かにし、自動車産業以上のGDPを稼ぎ出し、日本人の美味しい生活を進化させる。大好評『GDP4%の日本農業は自動車産業を超える』に続く第2弾!
  4. 大橋博之
    おおはしひろゆき。インタビューライター・編集者・ディレクター。インタビュー専門で執筆。趣味は散歩・人物撮影。URLhttps://garamon.jp.org/Twitterhttps://twitter.com/garamonmini
  5. 山田雄一朗
    やまだゆういちろう。大学院で経営工学の修士号を取得した後、IT企業で営業として6年の職歴を経験。リサーチ力を強みとしたライターとして活動中。主にITや経営、マーケティングに関わる取材記事やビジネスコラムを中心に執筆している。

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