「できる.agri」に3社が新たに参画 農業ITの保険や新規就農者向けIT農業体験も

農家のIT利活用促進を目的に結成された任意団体「できる.agri」に、TUMMY株式会社、株式会社ネクスグループ、三井住友海上火災保険株式会社の3社が参画した。今後は生産管理や生産者とのコミュニケーションに一層力を入れていくという。

新規参入3社の連携内容

今回は、農産物の魅力を生かしたブランディングカンパニーのTUMMY、制御型農業ICTと多段式ポット栽培などを組み合わせた栽培システム・技術を提供するネクスグループ、そして農業関連ビジネス向けの保険商品を開発している三井住友海上火災保険の3社が参画。それぞれが得意とする分野で、他の参加企業とも連携しながら、農業ITの普及に務める。

TUMMY株式会社

畑から暮らしを彩るブランディングカンパニー。農業にまつわる自社事業とブランディング事業(畑、地域、農産物の魅力を生かしたブランドを開発していきたい方々のブランド作りサポート)をすすめています。忙しい現代人の暮らしに合わせて姿を変えた新しい八百屋ブランド「yasaicco」も運営。

今後の連携内容
「できる.agriコミュニティ」・「できる.agri全国ツアー」の活動において、生産者から寄せられたブランディングプロジェクトなどを協働予定。

株式会社ネクスグループ

通信デバイスやIoTデバイスの提供を行っていた技術から生まれた制御型の農業ICTシステムと、特許農法である多段式ポット栽培を組み合わせ、生産から販売まで、一気通貫で生産者のサポートを実施する「NCXX FARM」事業を運営。化学的土壌マネジメントによって育てた安全でおいしい健康野菜の販売や、栽培システム・技術を生産者向けに提供している。

今後の連携内容
今後は「できる.agri」とコラボし、主に新規就農者・新規IT導入者を対象とした「IT農業体験プログラム」運営を岩手県花巻市の圃場においてスタートします。最長30日間のプログラムでは、IT機器導入時のメリットや注意点、環境データ管理方法などを実際に体験することができます。

三井住友海上火災保険株式会社

国内大手損害保険会社。2013年より、食品・農業関連ビジネスを取り巻くリスクについて補償する「フード&アグリビジネス総合補償プラン」を販売するなど、農業関連ビジネスの発展を後押しする保険商品の開発を積極的に行っている。

また、2018年12月には、できる.agri発起人のルートレック・ネットワークス株式会社とともに、落雷や火災などを原因とするスマート農業機器に対する保険「ゼロアグリ動産総合保険」を開発。

今後の連携内容
今後は、できる.agriとともに、IT農業に必要な保険商品の開発を目指します。このほか、生産者や企業を巻き込んだ、新たな保険の開発に向けたワークショップも各地で開催予定です。

ウェブメディアやセミナーなどのほか、コミュニティの運営も

「できる.agri」(できるドットアグリ)は、IT を活用した農業の新しい姿を紹介することで、農業および生産者が抱える課題を IT の力で解決するための取り組み。これまでWEBメディア運営や、セミナー、勉強会、座談会等を開催し、「IT×農業」の可能性を生産者とともに考えていく場を提供してきた。

また、従来農家のIT活用には「アイデア」「ノウハウ」「人手」が不足している課題があり、その問題を解決するためにクリエイターやエンジニアなどの「非農業領域人材」とのマッチングが有効だと考え「できる.agriコミュニティ」も運営。生産から経営管理、商品開発に至るまでIT×農業の「人材の六次化交流」の促進に取り組み、農家の熱意を形に変えるサポートを行う。コミュニティメンバーの一覧ページも作成し、コミュニティの可視化を進めている。

今回3社が新たに参画し、生産者の新たなサポート体制構築や、ブランディング支援に力を入れていくという。


「農業サポーターズ・ツアー」全国各地で好評開催中

できる.agriでは、生産者が抱える課題解決のヒントを全国へ届ける「農業サポーターズ・ツアー」を定期的に開催中。7月31日〜8月2日の3日間は四国を訪れ、愛媛・香川・高知の3県でセミナーやワークショップを実施。これまで北陸・中部・九州の3地域で開催し、延べ150人以上が参加しているという。



<参考URL>
できる.agri
できる.agriコミュニティ

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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、九州某県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方で、韓国語を独学で習得する(韓国語能力試験6級取得)。2023年に独立し、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサル等を行う一方、自身も韓国農業資材を輸入するビジネスを準備中。HP:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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