AIで病害虫発生を予測するアプリ「TENRYO」がJA豊橋に導入

株式会社ミライ菜園が開発した、AIによる病害虫予測サービスを提供する防除DXアプリ「TENRYO(テンリョウ)」が、10月より豊橋農業協同組合(JA豊橋)にて初めてサービス導入される。


発生状況マップやAI発生予測でJA豊橋のDXをサポート


株式会社ミライ菜園は、病害虫被害を減らす防除DXサービスの提供を行う企業。「AIでより正確な発生予測を農家に提供できれば、より最適なタイミングで、必要最小限の農薬だけ使用できる」と考え、防除DXアプリ「TENRYO」の開発を進めてきた。

病害虫による農業被害は、収穫量の約40%にも及ぶと言われ、農業を行う上で大きな経営リスクとなっている。病害虫を防ぐには適切なタイミングでの農薬散布が効果的だ。

しかし、昨今の気候変動の影響もあり、病害虫の発生予測が非常に困難になっている。従来、こうした発生予測は農家の勘と経験に頼ってきたが、農業従事者の高齢化もあり、そのノウハウも次の世代に受け継がれにくくなっている問題もある。

「TENRYO」は、各地の20年分の気象データと、アプリユーザーから集まる発生履歴を照らし合わせ、独自のAIで病害虫の発生を予測する防除DXアプリ。キャベツ、ブロッコリー、トマト、たまねぎ、きゅうり、いちご、だいこんの7種の農作物に対応しており、今後ねぎも追加される予定だ。

アプリを利用することで、AIによる発生警戒アラートで適切なタイミングで防除を実施できるようになるほか、危険度が高まっている病害虫に絞って対策できるため、農薬の使用量を必要最小限にすることが可能となる。


同社はアプリの開発にあたり、2022年より愛知県、群馬県の農協と連携し、約50軒の農家にて実証実験を重ねてきた。その中では、15%の収量増を達成した若手ブロッコリー農家や、AI予報を参考にして臨時で防除を行った結果、収量が4%増加したベテランキャベツ農家もいるなど、開発段階から高い効果を発揮しているという。

JA豊橋での防除DXアプリ「TENRYO」を活用した営農指導の様子(豊橋市内)

今回サービスが導入されるJA豊橋では、農家へ栽培技術や経営に関するアドバイスを行う営農指導や、農薬散布スケジュールを知らせる一斉防除で活用する予定だ。

これまで同組合では、病害虫の細かな発生情報は個々の指導員によって管理されてきたが、外出先等で一元化した情報にアクセスしづらく、情報共有の面で課題があった。同アプリでは、マップ上にユーザーからの発生報告が随時共有されるため、地域の発生状況をどこでもリアルタイムで可視化できる。

ミライ菜園は、これまでの経験により培った指導員のノウハウに加えて、AIなどの最新技術を活用した指導を組み合わせることで、より高度な営農指導を目指すとしている。

JA豊橋 営農部指導推進課 金井優策氏のコメント
従来、病害虫に関する情報収集は「フェロモントラップ」(害虫のみ)を活用していましたが、設置・回収・集計に多くの時間を要していました。「TENRYO」の導入により、フェロモントラップ関連の作業時間を削減し、その時間を農家訪問に充当できると期待しています。またAIを活用することで、現在の課題である営農相談員の減少・若返りによる営農指導力低下を防ぎ、共通の情報を基に農家訪問を行うことで、指導力の維持・向上を図れると考えています。

ミライ菜園 代表取締役 畠山友史氏のコメント
JA豊橋様には実証実験段階からアプリ開発に多大な協力をいただき感謝申し上げます。病害虫被害は直接的に農家の収益を損なうだけでなく、生産現場での甚大なフードロスととらえることもできます。防除指導のDXを通して被害を減らすことは、農業の環境負荷低減にもつながります。本サービスの普及を通じ、農家の所得向上や持続可能な農業の実現に貢献してまいります。


株式会社ミライ菜園
https://www.mirai-scien.com/
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
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    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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