農家がドローンを扱うのに資格は必要? ドローン操縦に必要な講習は?

農業で扱う農薬散布などを行うドローンの場合、農薬散布を安全に行うためにも、農業用ドローンの講習会に参加したり、ドローンの民間の資格を取得することが強く推奨されています。

しかし、実は厳密には農業用のドローンのための資格等は必須ではありません。

今回は、これから農業用ドローンを活用したいと考えている生産者や業者の方々に向けて、農業用ドローン向けの講習会や、民間のドローンの資格について解説します。また、2022年6月20日から航空法改正によりドローンの登録が義務化される重要なことも解説します。ぜひ参考にしてください。

農家がドローンを扱うのに資格は必要ない。ただし……



2022年3月現在、農家がドローンを扱う際に資格は必要なく、空撮などでドローンを扱う場合は、専門的な知識が少なくても扱えます。

しかし、農薬散布でドローンを扱う場合のドローンは、空撮用のドローンと比べると大型で危険性も高まります。また、農薬散布で扱うドローンは普通のドローンよりも操縦が難しく、適切な農薬を選び、散布タイミングや量などをコントロールする知識も必要です。

このことから、農薬散布でドローンの利用を考えている場合は、民間の講習会などを受けることを強くおすすめします。この民間の講習会では、基礎的なことからドローンを扱う際に最低限守らなければいけないことも教えてもらえます。


ドローンパイロットはいずれ免許制に?


2022年3月現在、国内で取得できる主なドローンの民間の資格には下記のようなものがあります。

  • 日本ドローン協会(JDA)の資格
  • JUIDAドローン資格
  • 一般社団法人ドローン操縦士協会(DPA)の資格
  • DJICAMP認定資格

それぞれの資格に特徴があり、ドローンの基礎的なことから上級者向けのことまで学ぶことが可能です。気になっている方はぜひ一度ホームページ等で調べてみてください。

しかし、今後はドローンの操縦が免許制になるとも言われています。

「資格」というのは一定の知識を得た者に対して与えられるお墨付きのようなものです。例えば何かの大会の「参加資格」は、一定の基準を満たしてさえいればOKというものです。英語検定や漢字検定なども資格ですし、実は保育士も弁護士も「免許」ではなく「資格」ですが、国家資格として認定されているため、単なる資格と比べて権威性は高いものとなっています。とはいえ、「資格」なので、アルバイト等で業務に従事することも可能となっています。

一方、「免許」はそれを所持していなければ実施できない作業や業務があるものを言います。代表的なのは「運転免許」で、所持していなければ法的に罰せられます。他にも、医師や看護師、教員なども免許性となっています。

ドローンについては前者の「資格」ですが、今後は国家資格=免許性となる可能性が出てきています。ただしその際にも、いきなり国家試験が必須となるわけではなく、上記のような民間資格も認められる可能性があります。

特にドローンは、航空法改正も含めて、まだまだ法整備が実態に追いついていない業界です。現時点でも適切な資格を取得しておくことは、決して無駄にはなりません。

農薬散布でドローンを利用する際の注意点



ドローンで農薬散布を行う場合に、注意しなければならないことがあります。それは、農林水産省が農薬取締法に基づき登録した農薬でなければ利用してはいけないということです。

これは、ドローンが登場する以前のヘリコプターなどで使える農薬と同様の対応です。空中から散布することで周囲に飛散する可能性や、その対処方法などをしっかり学んで適切に運用する必要があります。

また、農薬の登録の際には、使用できる「作物名」や「使用時期」、「使用量」、「使用方法」などの「使用基準」が決められています。そのため、使用している農薬が法的に登録されていても、使用基準以外の方法(作物、量など)で使用してはいけません。

もともと農業に携わっていた方であれば知識はあると思いますが、新規就農された方や、ドローンパイロットとして農業分野に挑戦しようとしている方には必須の知識と言えます。こうした知識も、農業向けの資格セミナーなどで学ぶことができます。

ドローンで使用可能な農薬




ドローンで使用可能な農薬は農林水産省が下記のように定めています。

ドローンは積載重量が少なく、薬剤タンクの容量が小さいため、高濃度・少量での散布が可能な”ドローンに適した農薬”数の拡大が求められています。

”ドローンに適した農薬”は、「使用方法」が、『無人航空機による散布』、『無人ヘリコプターによる散布』、『無人航空機による滴下』又は『無人ヘリコプターによる滴下』とされている農薬です。

なお、使用方法において、散布機器が指定されていない「散布」、「全面土壌散布」などとなっている農薬についても、その使用方法を始め、希釈倍率、使用量等を遵守できる範囲であれば、ドローンで使用可能です。

肝心の農薬の選択肢はまだまだ少ないのですが、農林水産省では2019年(平成31年)3月に、”ドローンに適した農薬”について、新たに200剤の登録を推進する目標を立て、登録数の少ない露地野菜や果樹用の農薬を中心に、"ドローンに適した農薬"の登録数の拡大を図っています。

ドローンで使用可能な農薬|農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/kanbo/smart/nouyaku.html

2022年6月20日から航空法改正によりドローンの登録が必須


さらに、2022年6月20日から航空法改正によりドローンの登録が義務化されます。

航空法改正後に登録をしていないドローンを扱った場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金を科されます。そのため、ドローンの登録を絶対にしてから扱うようにしましょう。

また、2022年6月20日の航空法改正を前に、国土交通省の「無人航空機登録ポータルサイト」から事前にドローンの登録ができるようになっています。あらかじめ登録をしておくことをおすすめします。

無人航空機登録ポータルサイト

オススメは農業用ドローンメーカー主催の講習会




今回は農家がドローンを扱う際に資格が必要なのかということを解説しました。

2022年3月現在は、農林水産省が定めた農薬なら資格がなくても扱えます。しかし、農薬散布用のドローンは、普通のドローンと比べると大型で操縦が難しいことから、自分が扱っているドローンのメーカーが行う講習会を受けるのがオススメです。

スクール・代理店検索|NTT e-Drone Technology
https://e-drone.tech/school-agency


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  1. 槇 紗加
    1998年生まれ。日本女子大卒。レモン農家になるため、大学卒業直前に小田原に移住し修行を始める。在学中は、食べチョクなど数社でマーケティングや営業を経験。その経験を活かして、農園のHPを作ったりオンライン販売を強化したりしています。将来は、レモンサワー農園を開きたい。
  2. 田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  3. さわちん
    2児の父。あるきっかけにより農業のイメージを変えたいと考え、16年間のサラリーマン生活にピリオドを打つことを決意。2020年春、家族で田舎に移住し、新規就農を目指す。自身が「移住×就農のモデルケース」となるために、いろんな方面へ向けて奮闘中。
  4. 福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  5. 窪田新之助
    農業ジャーナリスト。福岡県生まれ。日本経済新聞社が主催する農業とテクノロジーをテーマにしたグローバルイベント「AG/SUM(アグサム)」プロジェクトアドバイザー、ロボットビジネスを支援するNPO法人Robizyアドバイザー。著書に『日本発「ロボットAI農業」の凄い未来』『GDP 4%の日本農業は自動車産業を超える』(いずれも講談社)など。