用語辞典

太陽熱処理(たいようねつしょり)

太陽熱処理とは、潅水した畑にビニールを張り、太陽熱を利用して一定期間高熱を維持する土壌処理方法。土作りや、雑草の種や病原菌、害虫等を死滅させることを目的に、薬剤による⼟壌消毒や化学的農薬散布による病害⾍対策を選択しない有機農業で行われる。

団粒構造(だんりゅうこうぞう)

土が粒状にかたまっている土壌のこと。保水力があり、排水性・通気性も良いため、作物の栽培にはうってつけである。

窒素飢餓(ちっそきが)

土壌中の微生物が、作物の生育に必要な窒素を大量消費してしまうことでおこる生育障害のこと。微生物の活動を活発にする炭素を多く含む肥料の与えすぎが原因で、炭素と窒素の施肥量に注意が必要である。

直播(ちょくは)

直播(ちょくはん)とは、稲などで種を直接圃場にまく栽培方法のこと。「直接播種」や「直播き(じかまき)」などと同義。

地力増進法(ちりょくぞうしんほう)

地力増進の基本方針、不良農地の改善、土壌改良資材の品質表示の適正化について定めた法律。農地の土壌を改善することにより、農業生産性の向上・農業経営の安定化を目的としている。

追肥(ついひ)

作物の生育状況に合わせて、その期間中に与える肥料のこと。即効性の高い肥料が用いられることが多い。

接ぎ木苗(つぎきなえ)

接ぎ木苗とは、美味しい果実をたくさん収穫できる「穂木」と、根の張りがよく病気に強い「台木」を接合した苗のこと。病害虫や連作障害に強く、ある程度の低温であっても正常に育ちやすく、高い収量が見込める苗ができる。

TPP(てぃーぴーぴー)

環太平洋パートナーシップ協定(Trans-Pacific Partnership)の略称。太平洋を取り巻く12カ国で貿易に関する交渉を行い、TPP加盟国間の輸入関税を撤廃・軽減する。これにより、自国からの輸出が増える一方、海外からの輸入も増える可能性がある。これまで関税により自国の品目が守られて来た業界にとってはメリットとデメリットの両面がある。そのため、自国の主要産業などの一部の品目に関しては、交渉により関税を継続する場合もある。

登熟(とうじゅく)

登熟とは、稲や麦などの穀類の芽が出て徐々に成長していくこと。苗から稲穂が出るまでを「成長期」、稲穂の中の米に栄養分である炭水化物を溜め込み肥大化する時期を「登熟期」と呼ぶ。

特定米穀(とくていべいこく)

特定米穀とは、粒が小さい、割れているなどで主食用として向かない米のこと。ふるい下米と同義で、くず米や割れ米なども含まれる。せんべいなどの米菓や、米味噌、日本酒などの原料として使われることも多い。

篤農家(とくのうか)

先進的な農業技術を積極的に実践しその普及に努め、日本の農業に貢献した人のこと。

土地改良法(とちかいりょうほう)

農業の生産性の向上や農業総生産の増大等を目的に、農地の整備開発事業を円滑に進めるよう定められた法律。1949年制定。

徒長(とちょう)

農作物などが、必要以上に生育しすぎてしまうこと。原因としては、日照不足のほか、水分や肥料のあげすぎ、水はけの悪さなども挙げられる。

トランスボーダーファーミング(とらんすぼーだーふぁーみんぐ)

主に欧州で取り組まれている、農地の境界線を超えて複数の所有者の農地を集約化し、栽培効率などを高めるための手法。日当たりや配置などの環境要因、過去の耕作状況による土壌の状態などの差異を把握した上でまとめ直す作業は、個人的な意見も含めて慎重な調整が必要となる。ただし、現在は可変施肥などによる肥沃度の統一なども可能で、昔より調整がやりやすくなってきている。

トンネル栽培(とんねるさいばい)

作物の畝全体をトンネル状にビニール・ポリエチレンなどで覆う栽培方法。冬場の霜よけや防寒、防虫防鳥などの目的で使用される。

土壌分析(どじょうぶんせき)

土壌分析とは、土壌自体の組成や酸性度(pH)、肥料などの成分の含有量(石灰、リンなど)といったデータを測定すること。作物の栽培に適した土壌なのかを調べたり、施肥の必要性などを確認できる。

ドローン(どろーん)

遠隔操作で飛行する無人航空機。複数のプロペラがついており、飛行が安定しているため操作が簡単である。農業においては、農薬や肥料の散布、精密農業におけるリモートセンシングなどに活用されている。

DRONE CONNECT(どろーんこねくと)

DRONE CONNECTとは、ドローンパイロットに対して、農業、建設、不動産など様々な分野でドローンによる業務をネット経由で依頼できるマッチングサービス。農業分野では、圃場・生育モニタリング、農薬散布、ピンポイント農薬散布(病害虫検知)といったメニューがある。https://www.optim.co.jp/drone-connect/

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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、九州某県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方で、韓国語を独学で習得する(韓国語能力試験6級取得)。2023年に独立し、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサル等を行う一方、自身も韓国農業資材を輸入するビジネスを準備中。HP:https://sinkankokunogyo.blog/
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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