玄米茶やヘルシーなおやつに!「炒り玄米」を作ってみた

先日、「炒り玄米」という玄米の食べ方があることを教えてもらいました。

玄米を炒ることで、炊かずに食べられるようになったり、白米のように簡単に炊けるようになったりと、いろいろなメリットがあるとのことですが……玄米初心者の私にはさっぱり想像がつきません。

というワケで、実際に炒り玄米を作ってみることにしました。

炒り玄米って何なのだろう?

炒り玄米とはどんな食べ物なのでしょうか。現時点でわかっているのは、これらのこと。

  • 玄米をフライパンなどで炒って作る
  • そのまま食べられる
  • 保存性が高い
  • 白米と同じように簡単に炊ける

これらの性質ゆえに、戦時中は非常食として活躍していたそうです。

しかし、炊飯器があたりまえとなり、非常食も多種多様な選択肢がある現代において、わざわざ炒り玄米を作る意味はあるのでしょうか。そもそも、炒り玄米はおいしいのでしょうか。

実際に炒り玄米を作り、じっくりと検証してみたいと思います!

炒り玄米の作り方



調べてみたところ、炒り玄米にはいくつかの作り方があるようでしたが、今回は最も簡単そうな「玄米を洗ってすぐ炒る」方法を採用してやってみることにしました。

玄米1合(150g)を洗い水気を切ってから、スキレットで炒っていきます。火加減はIH調理器で180℃に設定。木べらで動かしながら温めていくと、ぬかのような香りが立ち上ります。


5分くらいで玄米が乾いたようになり、「パチッ」という音が鳴り始め、さらに2〜3分続けると、ぬかのようだった匂いが香ばしい匂いに変化。米粒の色も茶色くなってきました。


「パチパチ」という音を聞きながら、焦げないように見守ります。どうやらこの音は、玄米の皮が爆ぜている音のようです。

いつまで炒れば良いのだろうかと思いつつ続けると、香りがカラメルように深みを増し焦げ茶色の粒が見えてくるようになりました。


焦げはじめる一歩手前と判断し、ここで加熱終了。炒り始めからは10分ほど経過していました。

こちらが完成した炒り玄米の拡大写真です。


大部分は皮が破れて、中から白い粒が見えています。ポン菓子のように完全に破裂して、パフ状になっている粒もありました。

さっそく味見してみると……あら、おいしい。カリッとした歯応えで、味はまるでおせんべいです。わかりやすく例えるなら「かたいあられ」という表現がしっくりきます。

軽くてかさばらないので、携行食としても力を発揮しそうです。おやつとしてはもちろん、なるべく装備を減らしたい山登りなどのお供にも良いかもしれません。

炒り玄米を炊いてみる


ここからは、炒り玄米の活用を試してみたいと思います。

炒り玄米は白米のように炊けるのか



まずは基本から。「炒り玄米は白米のように炊ける」という説を検証してみましょう。

普段の白米と同じく“米:水=1:1.3〜1.5”の重量比となるよう、炒り玄米100gに対して130gの水を足し、炊飯器の普通モードで炊いてみました。


炊き上がった炒り玄米飯の米粒をよく見ると、米が膨らんで皮を破って反り返ったよう。普通に玄米を炊いた時とは異なる見た目です。

恐る恐る味見すると、粒はしっかりと柔らかくなっていました。しかし、かなりパラパラとしていて粘りが無く、「ぐにゅっ」とした歯応え。そこに、炒り玄米の香ばしさはしっかりと残っています。

結果、「炒り玄米は白米と同じように炊けるのか?」という問いに対しては「炊けた」という答えになりますが、おいしいかと言われると……。「普通の玄米ご飯とは別物」と考えていただくのが良いかもしれません。

炒り玄米をふやかすとどうなるのか



炒り玄米を炊飯器で白米と同じように炊くことはできました。では、ふやかすだけだとどうなるのでしょうか?

と言いますのも、炊飯器で炊いた炒り玄米飯は普段使いとしては微妙な味わいだと思いましたが、電気や火が使えないような非常時に水だけで柔らかく食べられる状態になってくれるのなら、非常食としての有用性を見いだせるのではないかと考えたのです。

炒り玄米50gに100gのお茶をかけて、時間の経過と共にどう変化するか観察します。


お茶をかけてしばらくはカリカリのままです。この状態で食べてみると「あられだらけのお茶漬け」のようでまあまあおいしいです。

30分ほどするとふやけてカリカリではなくなってきますが、粒はかたいまま。食べてみると、特徴を失ってぼやけた感じです。

もう30分、もう30分……と観察を続けましたが、あまり状態変化は感じられず、いったん観察をストップ。

気づくと6時間も放置していました。慌てて様子を確認すると、なんと。


いつの間にか、炊飯器で炊いた炒り玄米飯と同じような見た目に。完全に水を吸いきって、柔らかくなっています。

そのままでは炊飯器の時と同じくおいしいとは言えませんが、レトルトカレーをかけてしまえばそれほど気にならず、食事として十分に成立します。

地震などで電気もガスも止まり、カセットコンロだけで数日間しのがなくてはいけないような非常時に、とても役に立つ食べ方だと思いました。

炒り玄米を応用してみる


続いては応用編です。

まるでおせんべいのようにカリカリと香ばしい炒り玄米には、そのまま食べたり非常食としたりする以上の活用法がありそうです。

炒り玄米をバター醤油味にしてみる



そのまま食べてもおいしい炒り玄米ですが、ポップコーンの要領でいろいろなフレーバーをつけるとさらに楽しめそうです。

試しに手近な調味料を使い、炒り玄米そのものへの味付けを試みます。


適当量のバターと醤油を熱し、炒り玄米を加えて絡めてから、オーブンシートを敷いたバットの上に広げて冷ませば完成。


玄米の香ばしさにバター醤油のふくよかな香りが加わり、おやつとしてレベルアップしました。

この応用で、砂糖と水や生クリームでキャラメル炒り玄米や、コーンポタージュの粉でコンポタ炒り玄米など、いろいろなフレーバー炒り玄米を作ることができそうです。

緑茶と合わせて玄米茶



煎茶に炒り玄米を加えれば玄米茶になります。一煎目はぬるめのお湯で緑茶の旨みを味わい、二煎目から玄米を足し熱めのお湯で玄米茶にするなど、自分好みでのアレンジも可能です。

グラノーラにふりかけ



グラノーラやシリアルにヨーグルトをかけて、その上から炒り玄米をパラパラ。

毎日食べ慣れたグラノーラに炒り玄米の香りと歯応えがアクセントになって、予想を上回るお味になりました。

サラダにふりかけ



水菜・かいわれ大根・豆腐を和えてシーザードレッシングをかけた簡単サラダに、炒り玄米をトッピング。

クルトンと比べるとかためですが、歯応えと香ばしさが加わることで、食事の満足感が上がるような気がします。ダイエット中や炭水化物を控えめにしたい日の主食代わりにも良さそうです。

炒り玄米は、おやつに非常食に大活躍する有能食品だった



初めはよくわからなかった炒り玄米ですが、実際に自分で作って活用してみると、予想以上にいろいろな可能性が見えてきました。

最後に、今回炒り玄米を試してみて、わかったことをまとめます。

  • 炒り玄米は玄米をフライパンで炒るだけで作れる。
  • 炒り玄米はつぶつぶおせんべいのような味。そのままでもおやつになり、ポップコーンのようにフレーバーをつけることもできる。
  • 炒り玄米は白米と同じ炊き方で炊くこともできる。
  • 炒り玄米を水でひと晩ほどふやかせば炊いた時と同様の状態になり、非常時に有用。
  • 炒り玄米で玄米茶も作れる。
  • 炒り玄米をふりかけとして使えば、グラノーラやサラダなどに香りと食感のアクセントを加えてくれる。

炒り玄米は、普段はとても簡単に作れる日持ちの良いおやつでありながら、非常時には大活躍してくれる、心強い味方だと思いました。ご自宅に玄米があるなら、一度は作ってみることをおすすめします!


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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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