お米でタンパク質が摂れる? 筋トレに効果的なお米の食べ方【栄養士コラム】
筋力トレーニングやワークアウトを実践している方にとって、食事はその成果を左右する大切な要素です。体づくりを意識する場合、どのようにお米を食べたらよいのでしょうか。
食品に含まれる栄養素は五大栄養素と呼ばれます。炭水化物、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラル(無機質)に分類され、それぞれの働きを助け合いながら、その力を発揮しています。
たんぱく質は筋肉や骨、血液のほか、ホルモンや酵素など体の材料として利用されます。
1日の推奨値は活動量や目標体重にもよりますが、「日本人の食事摂取基準(2020年度版)」では一般的に体重1kgあたり0.8g〜1.0gとなります。アメリカスポーツ医学会(ACSM)によると激しいトレーニングを行う運動選手は1.2g〜2.0g/kgとされています。
たんぱく質は体で処理できる量に限りがあるため、一定量を超えて摂取すると脂肪として蓄えられます。過剰摂取は腸内環境の乱れや腎臓、肝臓への負担が大きくなります。
また、肉魚卵のほかに豆類や穀類など食物由来のたんぱく質も意識して、適切に摂ることが大切です。
脂質はエネルギー源となるほか、細胞膜や神経、ホルモンなど体の材料となる栄養素です。また、脂溶性ビタミン(ビタミンA、E、D、K)の吸収を助ける働きを持ちます。
脂質の成分である脂肪酸の中でも、必須脂肪酸は体内で合成できないため、食事から摂る必要があります。質を意識して適度に取り入れたいですね。
炭水化物は主に活動の源となる栄養素で、体温を保つ働きがあり、たんぱく質、脂質と共に、「エネルギー産生栄養素」と呼ばれています。
また、炭水化物に分類される食物繊維は血糖値の上昇を緩やかにするだけでなく、栄養の吸収をおこなう腸内の環境を整える助けをします。
このような点からも、炭水化物は体の土台をつくる上で大きな影響を与えているといえます。
日本人の理想とされるエネルギー産生栄養素のバランスは、炭水化物が全体のおよそ60%前後と言われています。
炭水化物の摂取割合を必要以上に減らすと、たんぱく質や脂質の摂取割合が増えることでそのバランスは崩れやすくなります。それが要因となって、理想的な体づくりを阻むこともあるのです。
また、筋力トレーニングやワークアウトを行う上でもエネルギーは必要になります。必要なエネルギーが不足すると、たんぱく質はエネルギー源としても消費されるため、筋肉の材料として利用されにくくなる原因となることもわかっています。
このように炭水化物は、効率的に筋肉をつくるためにも重要な栄養素といえるのです。
ビタミンは体の調子を整え、エネルギー産生栄養素の代謝にも関わります。ミネラルはごく微量に存在する体の組織成分で、脳や神経、筋肉などの機能維持を助けます。
栄養素は互いに影響していて、どれも欠かすことはできません。食事は栄養素をバランス良く取り入れることが理想的な体づくりへの近道となるのです。
お米に含まれるたんぱく質の割合はおよそ6%ほどです。一見少ないようですが、ごはん2合から摂取できるたんぱく質は17.5gとなります。他の食品に含まれるたんぱく質量と比較すると、その量は意外に多いことがわかります。
実際の食事で、主食をお米とした場合に、どのくらいのたんぱく質が摂取できるのか見てみましょう。
先ほど紹介した「日本人の理想的なエネルギー産生栄養素のバランス」を基準に、炭水化物60%、たんぱく質15%、脂質25%というバランスで食事をすると、1日の目標摂取エネルギー量2500kcalの人は以下のような内訳になります。
(例)1日の目標摂取エネルギー量が2,500kcalの場合
炭水化物60%:1500kcal
たんぱく質15%:375kcal
脂質25%:625kcal
この場合、たんぱく質は1g=4kcalのため1日に約93gのたんぱく質が必要となります。
また、1500kcalの炭水化物をすべてお米で摂るとすると、1日で約3合分食べる計算となり、そのたんぱく質の量はおよそ24gです。
つまり、1日に必要なたんぱく質93gのうち1/4量をお米(主食)から摂取できることになります。足りないたんぱく質はおかずから補いましょう。
これはあくまでも一例で、性別や活動量、体格などによってもたんぱく質摂取の推奨量は異なりますが、このようにお米から意外とたくさんのたんぱく質を摂取することができるのです。
体づくりを意識するならば、お米に含まれるたんぱく質にも着目しておく必要がありそうですね。
筋力トレーニングなどをしている方のお米を食べるタイミングについて考えてみましょう。
お米を食べる理想的なタイミングは3食の食事と補食です。
トレーニングやワークアウトを行う場合、朝昼晩の食事はもちろんですがスタミナや筋肉の消耗を防ぐために運動前に十分なエネルギーを補給する必要があります。お米は主食の中でもパンやパスタなどに比べて脂質が少ないため、消化吸収の負担になりにくいのです。
この点からもお米は、運動前の食事や補食に向いているといえます。
一方、運動後は回復と修復を促すために、筋力トレーニングを終えてからできる限り早くエネルギー源とたんぱく質の両方を補給する必要があります。
お米はエネルギー源とたんぱく質も含まれていますし、手軽に食べられるおにぎりは補食にも向いています。鮭や枝豆など、たんぱく質を入れたおにぎりは理想的なタイミングで栄養を補うことができます。
体づくりのために賢いお米の食べ方を今日から実践してみてはいかがでしょうか。
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年度版)」(pdf)
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
アメリカスポーツ医学会の共同声明:Nutrition and Athletic Performance(英語)
https://journals.lww.com/acsm-msse/Fulltext/2016/03000/Nutrition_and_Athletic_Performance.25.aspx
体づくりに必要な食事とは?
食品に含まれる栄養素は五大栄養素と呼ばれます。炭水化物、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラル(無機質)に分類され、それぞれの働きを助け合いながら、その力を発揮しています。
たんぱく質
たんぱく質は筋肉や骨、血液のほか、ホルモンや酵素など体の材料として利用されます。
1日の推奨値は活動量や目標体重にもよりますが、「日本人の食事摂取基準(2020年度版)」では一般的に体重1kgあたり0.8g〜1.0gとなります。アメリカスポーツ医学会(ACSM)によると激しいトレーニングを行う運動選手は1.2g〜2.0g/kgとされています。
たんぱく質は体で処理できる量に限りがあるため、一定量を超えて摂取すると脂肪として蓄えられます。過剰摂取は腸内環境の乱れや腎臓、肝臓への負担が大きくなります。
また、肉魚卵のほかに豆類や穀類など食物由来のたんぱく質も意識して、適切に摂ることが大切です。
脂質
脂質はエネルギー源となるほか、細胞膜や神経、ホルモンなど体の材料となる栄養素です。また、脂溶性ビタミン(ビタミンA、E、D、K)の吸収を助ける働きを持ちます。
脂質の成分である脂肪酸の中でも、必須脂肪酸は体内で合成できないため、食事から摂る必要があります。質を意識して適度に取り入れたいですね。
炭水化物
炭水化物は主に活動の源となる栄養素で、体温を保つ働きがあり、たんぱく質、脂質と共に、「エネルギー産生栄養素」と呼ばれています。
また、炭水化物に分類される食物繊維は血糖値の上昇を緩やかにするだけでなく、栄養の吸収をおこなう腸内の環境を整える助けをします。
このような点からも、炭水化物は体の土台をつくる上で大きな影響を与えているといえます。
日本人の理想とされるエネルギー産生栄養素のバランスは、炭水化物が全体のおよそ60%前後と言われています。
炭水化物の摂取割合を必要以上に減らすと、たんぱく質や脂質の摂取割合が増えることでそのバランスは崩れやすくなります。それが要因となって、理想的な体づくりを阻むこともあるのです。
また、筋力トレーニングやワークアウトを行う上でもエネルギーは必要になります。必要なエネルギーが不足すると、たんぱく質はエネルギー源としても消費されるため、筋肉の材料として利用されにくくなる原因となることもわかっています。
このように炭水化物は、効率的に筋肉をつくるためにも重要な栄養素といえるのです。
ビタミン・ミネラル
ビタミンは体の調子を整え、エネルギー産生栄養素の代謝にも関わります。ミネラルはごく微量に存在する体の組織成分で、脳や神経、筋肉などの機能維持を助けます。
栄養素は互いに影響していて、どれも欠かすことはできません。食事は栄養素をバランス良く取り入れることが理想的な体づくりへの近道となるのです。
お米で摂れるたんぱく質量
お米に含まれるたんぱく質の割合はおよそ6%ほどです。一見少ないようですが、ごはん2合から摂取できるたんぱく質は17.5gとなります。他の食品に含まれるたんぱく質量と比較すると、その量は意外に多いことがわかります。
実際の食事で、主食をお米とした場合に、どのくらいのたんぱく質が摂取できるのか見てみましょう。
先ほど紹介した「日本人の理想的なエネルギー産生栄養素のバランス」を基準に、炭水化物60%、たんぱく質15%、脂質25%というバランスで食事をすると、1日の目標摂取エネルギー量2500kcalの人は以下のような内訳になります。
(例)1日の目標摂取エネルギー量が2,500kcalの場合
炭水化物60%:1500kcal
たんぱく質15%:375kcal
脂質25%:625kcal
この場合、たんぱく質は1g=4kcalのため1日に約93gのたんぱく質が必要となります。
また、1500kcalの炭水化物をすべてお米で摂るとすると、1日で約3合分食べる計算となり、そのたんぱく質の量はおよそ24gです。
つまり、1日に必要なたんぱく質93gのうち1/4量をお米(主食)から摂取できることになります。足りないたんぱく質はおかずから補いましょう。
これはあくまでも一例で、性別や活動量、体格などによってもたんぱく質摂取の推奨量は異なりますが、このようにお米から意外とたくさんのたんぱく質を摂取することができるのです。
体づくりを意識するならば、お米に含まれるたんぱく質にも着目しておく必要がありそうですね。
筋トレ中のお米を食べるタイミング
筋力トレーニングなどをしている方のお米を食べるタイミングについて考えてみましょう。
お米を食べる理想的なタイミングは3食の食事と補食です。
トレーニングやワークアウトを行う場合、朝昼晩の食事はもちろんですがスタミナや筋肉の消耗を防ぐために運動前に十分なエネルギーを補給する必要があります。お米は主食の中でもパンやパスタなどに比べて脂質が少ないため、消化吸収の負担になりにくいのです。
この点からもお米は、運動前の食事や補食に向いているといえます。
一方、運動後は回復と修復を促すために、筋力トレーニングを終えてからできる限り早くエネルギー源とたんぱく質の両方を補給する必要があります。
お米はエネルギー源とたんぱく質も含まれていますし、手軽に食べられるおにぎりは補食にも向いています。鮭や枝豆など、たんぱく質を入れたおにぎりは理想的なタイミングで栄養を補うことができます。
体づくりのために賢いお米の食べ方を今日から実践してみてはいかがでしょうか。
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年度版)」(pdf)
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
アメリカスポーツ医学会の共同声明:Nutrition and Athletic Performance(英語)
https://journals.lww.com/acsm-msse/Fulltext/2016/03000/Nutrition_and_Athletic_Performance.25.aspx
堀口泰子
栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じてさまざまな食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じてさまざまな食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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