体型が気になるときだけ! “ゆる"グルテンフリー生活をしてみよう

管理栄養士の大槻万須美です。

数年前から日本でも聞かれるようになった「グルテンフリー」。海外のアスリートやモデルが健康やダイエットのために取り入れていることでも話題になりました。

そもそもグルテンフリーってなに? グルテンフリー生活って難しそう……。そんな方に向けて、“ゆる”グルテンフリーがおすすめの理由を解説します。

気になるときだけ、“ゆる”グルテンフリー生活してみませんか?


グルテンフリーとは?


グルテンフリーとは、グルテンを含む食品をとらない食事スタイルのこと。もともとは、セリアック病患者のための食事療法として生まれました。

セリアック病とは、「グルテン」に異常反応を示す自己免疫疾患で、グルテンをとることで自己免疫系が小腸の組織を攻撃して炎症が起き、小腸の細胞が破壊されてしまう病気です。栄養素の吸収が低下することで、腹痛や下痢、頭痛や皮膚疾患、倦怠感など、さまざまな症状がでます。

「グルテン」は、小麦の主要たんぱく質の一種で、グルテニンとグリアジンという2種類のたんぱく質が水を吸収して絡み合ってできたものです。小麦粉に水を加えてこねることで、2種類のたんぱく質が結びついて粘弾性のある網目構造を作り、粘り気や弾力を形成します。この性質を利用して、パンやケーキ、ピザや麺類、お菓子などが作られています。

グルテンフリーでは、これらのグルテンが含まれている食品や料理をとりません。その他にも、グルテンが含まれている可能性のあるものには、お好み焼き・たこ焼きなどの小麦粉料理から、シチューやカレーなどのルー、ハンバーグ、揚げ物の衣など調理に小麦粉を加えるもの、麩、しょうゆやみそなど小麦が原料となっているものまで多岐にわたります。

グルテンフリーの効果は?


最近の調査結果によると、アメリカでは 200万人(133人に約1人)がセリアック病にかかっているとされ、増加しているともいわれています。

日本では欧米に比べるとセリアック病の有病率は低いとされていますが、長らく日本では稀な疾患と考えられていたため過敏性腸症候群などの他の疾患への誤診などセリアック病の診断がされないケースも多いことや、食の欧米化なども考慮すると、今後日本での有病率が上がる可能性も考えられています。

また、従来は患者食としての位置付けだったグルテンフリーですが、欧米において15~20年ほど前より、セリアック患者ではない健康志向層もグルテンフリーに注目し、ブームとなりました。

実際には、小麦アレルギー、セリアック病、グルテン過敏症、グルテン不耐症などグルテン関連疾患の患者以外のグルテンフリーによるメリット・デメリットは諸説あり、治療のためのグルテンフリーが必要のない人にとっては、一部で唱えられている日常的にグルテンを多量にとり続けることへのリスクや栄養面の偏りなども考慮すると、完全グルテンフリーよりは、“ゆる”グルテンフリーがおすすめです。

グルテンに関する疾患の診断がされていない隠れ患者である場合は、グルテンフリーを実践したことで体の調子がよくなったり、グルテン関連の疾患がなくても結果的に菓子パンや麺類など糖質や脂質の高い食生活が改善されて体重が減ったりする可能性や、グルテンが消化管に負荷をかけていることもあるため、グルテンフリーで健康やダイエットに効果を感じることは十分にあり得るでしょう。

“ゆる”グルテンフリー生活をしてみよう!


グルテンを使っている食材や料理を、土日や体型が気になるときにだけ避ける、というゆるっとグルテンフリー生活をしてみませんか?


グルテンフリー食の基本は和食。和食には、ごはんを中心として、グルテンを使わない料理がたくさんあります。

  • 調味料
しょうゆやみそは小麦を原料としていますが、グルテンを形成していないもしくは含まれていても少量のため、“ゆる”グルテンフリー生活においては、厳格に除去する必要はないでしょう。

  • 麺類
麺類であれば、十割そば、ビーフン、パッタイ、春雨などを選びましょう。

  • パンやクッキー
パンやクッキーは米粉パンや米粉クッキー(グルテン無添加のもの)、せんべいなどで代替できます。

  • カレーやシチュー
カレーやシチューは市販のルーを使わずに米粉や片栗粉でとろみをつければグルテンフリーになります。

  • 揚げ物
天ぷらや唐揚げの衣は小麦粉ではなく米粉で代用できます。パン粉を使う料理は、米を原料としたパン粉製品も市販されています。

外食はグルテンを含む料理が多いため、外食をした翌日はグルテンフリーにしてバランスをとるのも“ゆる”グルテンフリーのポイント。そして厳格になりすぎないことがコツですよ。グルテンフリー生活が体質に合っているなら、グルテンフリー期間をのばしたり、頻度を高めていくのもおすすめです。

“ゆる”グルテンフリーではなく、完全グルテンフリーを目指している人に向けて、グルテンを含む食品のグルテン含有量を一定値以下に抑えたグルテンフリー食品やノングルテン食品も販売されています。

日本では、「ノングルテン米粉の製造工程管理JAS」と「ノングルテン米粉認証制度」の認証を受けた製品は、商品や広告ホームページなどにマークを表示することができるで、こちらのマークを参考にしてみてもいいかもしれませんね。


農林水産省「ノングルテン米粉の製造工程管理JASの認証 第1号が誕生しました!!」
https://www.maff.go.jp/j/seisan/keikaku/komeko/nongurujas_01.html
農林水産省「米粉の輸出拡大に向けた欧米グルテンフリー市場調査」
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/export/attach/pdf/30hokoku-23.pdf
農林水産省「ノングルテン米粉認証制度とノングルテン米粉の製造工程管理JASとの比較」
https://www.maff.go.jp/j/seisan/keikaku/komeko/attach/pdf/nongurujas_01-1.pdf
農林水産省「令和2年度輸出環境整備推進委託事業(食品規格等調査) 調査報告書 アメリカ合衆国 食品表示」
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/export/shokuhin-kikaku/attach/pdf/n_america-7.pdf
日本米粉協会HP
https://www.komeko.org/nongluten/

大槻万須美
管理栄養士・フードスタイリスト。楽しく食べて健康に。食の大切さを伝えるため、料理教室、バレエダンサーやアスリートのパーソナル栄養サポート、レシピ・コラムの提供など幅広く活動。子どもの頃の毎年の米作り経験から、身近な食体験の重要性についても実感し、おとなと子どもの食育サポートにも力を注いでいる。


■ゆるグルテンフリー生活にもおすすめ! 炊飯器の白米モードで炊ける「無洗米玄米」


玄米ごはんを無理なく続けたい方や玄米初心者の方は、炊きやすく加工した「加工玄米」がおすすめ。

SMART AGRI FOODから発売しているスマート米無洗米玄米」は、玄米の栄養価はほとんどそのままに、炊飯器の白米モードで炊ける加工玄米です。いつでもふっくらおいしい玄米が炊けるので、忙しい方にもおすすめ。

また、「スマート米」は、全国各地のこだわりの農家さんと共にスマート農業を活用し、農薬の使用量を抑えて育てています。
玄米の状態で第三者機関の検査により「残留農薬不検出」と証明されたお米、農林水産省ガイドライン「節減対象農薬50%以下」のお米、そして「特別栽培米」も選ぶことができ、家族みんなにあんしんなお米です。

お求めはスマート米オンラインショップ SMART AGRI FOOD  からどうぞ。

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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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