お米の色が変、それってカビかも? 対策方法は?

管理栄養士の大槻万須美です。

お米をよく見たら色が変? これは食べても大丈夫? と迷うときはありませんか。お米の色について、変色してしまったように感じたとき、その原因や食べてもよいのかについて、対策方法とともにお伝えします。


お米の色が変? その原因は? 食べても大丈夫?


白米と一口に言っても、銘柄によって実は白の色もさまざま。乳白色のものもあれば、透明感のあるつややかな色のお米もあります。

しかし、それとは別に、生育中の問題や保管状態に起因するお米の異常が原因で、いつもと色が違って感じることも考えられます。

お米が白く濁っている、一部が白い


「乳白粒」「粉状質米」「白未熟粒」「しらた」などと呼ばれ、猛暑や冷夏など高温や低日射量などによって発生する発育障害のお米です。

米粒へのテンプン蓄積に異常があるだけなので食べても大丈夫です。

米粒の一部が黒く変色している


米粒の一部が黒く変色しているお米が混じっていることがありますが、これは「斑点米」と呼ばれています。

稲の生育中にカメムシなどの虫によって傷がつけられ、黒くあとが残ってしまったお米で、一般的に食べても害はないとされていますが、栄養分やうまみが吸い取られ、食感も悪くなってしまう場合もあるため、気になる場合は取り除くといいでしょう。

お米全体が黒っぽくなっているが、水で洗うと落ちる


お米の色が気になるときに、特に気を付けたいのがカビによるもの。

お米の表面に黒いものが付着していたり、洗米のときに水が黒っぽく濁ったりしていれば、カビが生えていると考えられます。

また、カビのついたお米は、水で洗って落ちたようにみえても、表面のカビが落ちただけで、米粒の内部にまで菌糸が届いていることもあります。

カビによっては人間に有害なカビ毒を産生するものもあります。カビ毒は熱に強く、炊飯程度の加熱では分解されませんので、カビの生えてしまったお米は食べないようにしましょう。

お米が黄色っぽい、青っぽい


お米が濃い黄色になっていたり(黄変米)、青っぽい色に変色したりしている場合は、カビが付いてしまっていることが考えられます。黒カビが付いてしまったときと同様に食べないようにしましょう。

お米の色が変? と思ったら、見た目やにおいに異変がないか、サラサラに乾燥しているか、塊がないかなど観察してみましょう。

洗米のときになにか浮いてくれば、カビや害虫の増殖が原因となっていることもあり、食べないようにするのが原則です。

お米にカビが生えてしまう原因


カビの胞子は環境の中でどこにでもあるといわれています。空気中を漂っているカビ胞子は、条件のそろった場所に付着すると、目に見えるほどまで生育・増殖してカビの集合体になります。

お米についたカビが生育・増殖するための条件は、室温と湿度、お米の水分が深く関係しています。

  • 室温
多くのカビが盛んに生育・増殖する温度は、一般的に20~30℃程度とされていますが、カビの種類によっては、0~10℃の低温や60℃を超える高温で生育できるものもあるといいます。

農林水産省の「米のカビ汚染防止のための管理ガイドライン」によると、お米などの穀類を貯蔵・乾燥しているときにもみられるコウジカビの仲間の一種は、6~45℃(最適温度 32~33℃)で生育することができ、12~40℃(最適温度25~30℃)でカビ毒であるアフラトキシンを作るといわれています。国際的な評価機関では、アフラトキシンが強い発がん性(肝臓がん)を持つとして、「アフラトキシンの摂取量を可能なかぎり低くすべき」 と勧告しています。

  • 湿度
湿度が低く乾燥した条件では、カビの生育が抑えられます。一般には、湿度が65~70%以下になると、生育が難しくなります。

  • お米の水分
お米は、水分量15%前後に乾燥させて出荷されていますが、家庭での保管時などに表面に水が付いてカビが発生してしまうことがあります。

お米にカビを生やさない対策方法


お米は生鮮食品なので、早めに食べきるのがベスト。

適切に保管してカビを生やさないようにする対策方法をお伝えします。


対策1:野菜室や冷暗所で保管


カビは一般的に気温20℃を超えると発生・増殖しやすくなるといわれています。特に室温が上がりやすい季節には、冷蔵庫の野菜室が最適といわれていますが、低温で繁殖するカビにも注意が必要です。

冷蔵庫にスペースがない場合は、常温でも風通しがよく温度が上がらない場所へ。乾燥のしすぎはお米割れの原因にもなるため、直射日光の当たらない場所がおすすめです。

対策2:水にぬれた手でお米を扱わない、計量カップや容器はしっかりと乾燥させる


手や計量カップが少しでもぬれていると、お米に水がついてしまい、カビ発生の原因となります。お米を計量するときには、手や計量カップをしっかりと乾かしてからお米を扱うようにしましょう。

また、保存容器に移し替える場合は、しっかりと乾燥させておくことが大切です。

対策3:冷蔵庫で保管する場合は結露に注意する


特に夏場は、室温と庫内に温度差が生じるため、冷蔵庫から出してしばらくすると冷えた保管容器やお米の表面が結露して、水分がついてしまうことがあります。

冷蔵庫から出したら素早く計量して、すぐにしまうようにすることが重要です。

また、冷蔵庫内でも温度変化がおきやすい扉付近や送風口の近くは避け、何か取り出すときには冷蔵庫のドアの開閉は素早くが基本。あらかじめ1回分ずつに小分けにして保管するのもおすすめです。

対策4:密封できる容器に入れる


チャック付き保存袋やペットボトル、密閉できるお米の保存容器などに入れて、お米が湿気にさらされないようにすることも有効です。お米の割れの原因になる乾燥しすぎも防ぐことができます。

容器内のお米が減ってきたら、つぎ足しするのではなく、容器をきれいに洗ってしっかり乾かしてから、お米を入れるようにしましょう。

対策5:お米の必要量を把握し、使い切れる量を購入する


保存期間が長くなると、お米の風味が落ちてしまうことに加え、管理不足によるカビのリスクが高まります。

精米から1カ月(夏場は2週間程度)以内を目安に食べきれる量を購入するようにしましょう。

特に梅雨時にはカビも発生しやすくなるので、冷蔵庫に保管していても過信しないように、適切に保管をしてなるべく早く使い切るようにしたいですね。


消費・安全局「米のカビ汚染防止のための管理ガイドライン 」
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/kabidoku/attach/pdf/index-4.pdf
米穀安定供給確保支援機構 お米Q&A
https://www.komenet.jp/faq/ip54.pdf
https://www.komenet.jp/faq/ip36.html
https://www.komenet.jp/faq/ip03.html

大槻万須美
管理栄養士・フードスタイリスト。楽しく食べて健康に。食の大切さを伝えるため、離乳食講座などの料理教室、バレエダンサーやアスリートのパーソナル栄養サポート、レシピ・コラムの提供など幅広く活動。子どもの頃の毎年の米作り経験から、身近な食体験の重要性についても実感し、おとなと子どもの食育サポートにも力を注いでいる。


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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
  3. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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