5〜6月に行いたい「春ねぎの除草・土寄せ」ガイド|初期管理で差が出る理由

春定植のねぎは、活着後の立ち上がりがそのまま収量に影響するケースが多い作型です。栽培に慣れてくるほど「いつも通り」で回せてしまう一方、初期管理のわずかなズレが後半の作業負担や収量差として現れます。

特に5〜6月は、除草と土寄せの判断が重なる時期です。今回は、活着期に避けたい対応と、この時期にやっておきたい管理を整理します。



ねぎの初期生育は雑草との栄養の奪い合い


ねぎの初期生育は、根の張りと葉数の確保が中心になります。この段階で雑草との競合(栄養分の取り合い)やストレスが入ると、その後の肥大や伸長に影響が残る場合があります。

中でも5〜6月は、気温上昇とともに雑草の発生が一気に進みやすくなる時期です。ここで対応が遅れると、単に「草が多い」だけでなく、「養分が奪われる」、「風通しの低下」、「作業遅延」といった複数の負担が重なる可能性があります。

一方で、この時期に除草と土寄せを済ませておくと、「中耕・培土の手間が減る」、「後半の除草負担が軽くなる」、「生育のばらつきが抑えられる」といった形で、後工程の進みやすさにつながります。

いずれも繁忙期には「後回し」にしがちな作業ですが、結果として作業全体を楽にする要素でもあります。


ねぎの初期除草の作業とポイント


初期除草は「一度きれいにする」よりも、「競合させない状態を維持する」ことが重要です。作業の組み合わせで考えると整理しやすくなります。

① 畝間除草:タイミング優先で機械を入れる


畝間は機械作業が可能な分、遅れずに除草機を入れられるかどうかがポイントになります。

草丈が低いうちに処理できれば、作業負荷も軽く、土寄せとの連動も取りやすくなります。逆に伸ばしてしまうと、土寄せ時に巻き込みやすくなり、その後の再発生にもつながります。

「少し早いかもしれない」タイミングで一度入れておく方が、結果的に管理は安定しやすい場面が多いです。

② 株間の手取り:ばらつきを抑えるための作業


株間にはどうしても機械では取り切れない部分が残ります。放置すると、栄養分が雑草に奪われ、個体ごとの生育差として後半まで残りやすくなります。

特に活着期は、根域がまだ浅いため、軽い競合でも影響が出やすい時期とされています。作業負担はありますが、この段階で一度丁寧に対処しておくことで、その後の管理精度が上がります。

③ 土寄せとセットで考える


除草と土寄せは切り離さずに考えた方が効率的です。

  • 除草後にそのまま軽く土寄せ
  • 草を抑えつつ株元を安定させる

といった流れを意識すると、作業回数を増やさずに効果を重ねられます。

ただし、活着直後の過度な土寄せは避けたいところ。根が十分に張る前に深く土を寄せると、生育の停滞につながることがあるためです。

初期段階で見直しておきたい作業


ここまでの除草・土寄せに加えて、圃場条件によっては初期段階で見直しておきたい作業があります。どれも目立たない工程ですが、後半の作業効率や生育のそろいに影響しやすい部分です。

① 浅めの中耕:表層環境を整える


降雨や灌水の後、表土が締まってくると、通気性が落ちやすくなります。浅めの中耕(畝間や株間の土を耕す作業)で表層を軽くほぐしておくと、土壌の乾きやすさと通気性の改善につながります。

特に梅雨入り前は、土壌が過湿状態に寄りやすい時期です。表面が固まった状態を放置すると、根の伸長や微生物の働きにも影響が出る可能性があります。

ただし、深く耕しすぎると根を切るリスクもあるため、あくまで「表層を整える」程度にとどめておく方が、現場では扱いやすいでしょう。

② 排水の確認:梅雨前の見落とし防止


5〜6月は降雨量が増える時期でもあり、排水状況が生育に影響します。

  • 畝間に水が溜まりやすい場所がないか
  • 排水溝が詰まっていないか
  • 圃場内に微妙な低地ができていないか

といった点を一度見ておくだけでも、その後のトラブルを防ぎやすくなります。

活着期に過湿状態が続くと、根の活性が落ちやすく、結果として初期生育のばらつきにつながります。除草や土寄せに意識が向きやすい時期ですが、水の動きの確認も同時に行っておきたい工程です。

③ 畝の崩れ・凹凸の修正:作業効率を整える


定植後しばらくすると、降雨や作業の影響で畝の形が崩れたり、凹凸が出たりすることがあります。この状態をそのままにしておくと、「中耕や培土の作業が不安定になる」「機械が走りづらくなる」「土寄せの精度がばらつく」といった影響につながります。

大きな修正でなくても、「違和感のある箇所をならす」程度に軽く整形しておくだけで、作業の再現性が上がりやすくなります。



活着期に避けたい、作業の注意点


初期管理で差が出る背景には、「やりすぎ」と「遅れ」があります。現場では「タイミングは早めに、こまめに、強度は控えめに」といった考え方を意識したいところです。

強すぎる土寄せや過度な踏圧


前述のとおり、活着直後のまだ根が広がりきっていない段階で強すぎる土寄せや踏圧がかかると、根の伸長が抑えられることがあります。結果として、初期の生育が遅れ、後半で追いつかない個体が出てくることも。過度な土寄せや踏圧は避けましょう。

除草の後回し


忙しい時期ほど、除草は後回しになりがちです。ただ、ねぎは雑草との競合の影響が大きく、初期の競合はそのまま個体差につながるため、後から取り返すのが難しい場合があります。特に5〜6月は、数日の遅れが作業量の差として大きく出る時期です。

一度にまとめてやろうとする


作業をまとめたくなる場面もありますが、雑草の成長スピードが早い初期管理の時期に関しては、こまめに処理したほうがトータルの作業時間が短くなり、結果的に負担が軽くなることもあります。競合が起きる前に分散して対処する方が、生育のばらつきを抑えやすくなります。


収量差を広げないための回し方


ねぎは一見そろって見えても、初期のわずかな差が後半で広がる作物です。その差を抑えるためには、「競合させない状態を維持する」「作業のタイミングを遅らせない」「個体差が出る前に手を入れる」ことがポイントになります。

ただし、すべてを自分で対応するのが難しいケースもあります。人手が限られる中で、作業が重なる時期に無理をすると、他の工程に影響が出ることもあります。

そのため、以下のように作業を切り分けて考えることも一つの方法です。

  • 株間除草だけ外注する
  • 畝間の機械作業を委託する
  • 繁忙期だけスポットで人手を入れる

ねぎの初期管理は、新しい技術がなくても成立する工程ですが、「やり方」以上に作業の回し方(優先順位)によって結果に差が出やすい部分でもあります。

5〜6月の段階で、

  • どの作業が遅れやすいか
  • どこを外に任せられるか
  • どこを自分で見たいか

を一度整理しておくと、その後の作業が組み立てやすくなります。

収量だけでなく、作業全体の負担も含めて、自分の圃場に合った回し方を検討する材料として見直してみてもよさそうです。

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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
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    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
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    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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    鈴木かゆ
    1993年生まれ、お粥研究家。「おかゆ好き?嫌い?」の問いを「どのおかゆが好き?」に変えるべく活動中。お粥の研究サイト「おかゆワールド.com」運営。各種SNS、メディアにてお粥レシピ/レポ/歴史/文化などを発信中。JAPAN MENSA会員。
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    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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