野菜栽培でのドローン活用法 ─肥料・酸素供給剤・微生物資材散布のメリット─
農業用ドローンは、これまで主に農薬散布の用途で活用されてきました。
一方で近年は、肥料や土壌改良資材、微生物資材など、農薬以外の資材を散布する手段としても関心が高まりつつあります。
とくに野菜栽培では、圃場の状態によって人や機械が圃場に入りにくい状況など、作業の可否が左右される場面が少なくありません。代表的な場面として、降雨後の圃場が挙げられます。雨後のぬかるみで人や機械が入れない状況は、野菜農家にとって身近な課題であり、そのタイミングで施肥や資材散布が必要になることもあります。
こうした状況でも作業を検討できる方法として、ドローン散布が選択肢の一つとして捉えられています。

降雨後の野菜圃場は、「入れない」と「でも待てない」が重なる難しい場面です。土壌がぬかるんで人も機械も入れない状況にありながら、作物の生育ステージによっては施肥や資材散布を急ぎたいタイミングであることも珍しくないためです。
排水性や土質によって、その影響の出方は圃場ごとに異なりますが、まずは従来の方法で圃場に入ってしまうと考えられるさまざまな影響を見ていきましょう。
雨後の圃場に人や機械が入ると、土壌が踏み固められることで、土壌中の空気や水の動きに影響が出る場合があり、その後の生育環境に関係することも考えられます。
また、ぬかるみの中での作業は機械の走行性にも影響し、状況によっては畝が崩れるなど、圃場の状態に変化が生じることも。足場が不安定な状態では作業も進みにくく、結果として人手が増えてしまい、他の作業との兼ね合いに影響が出る場合もあります。
このように、降雨後の圃場では作業が難しくなる一方で、むしろ資材を施用すべきタイミングが重なることがあります。
果菜類の着果期、葉菜類の肥大期など、作物の生育ステージによっては、収量や品質を左右する重要な追肥の適期がちょうど降雨期と重なる場合があります。
こうした時期に施肥が遅れると、作物の栄養状態に影響が出ることも考えられます。降雨直後こそ作業したいにもかかわらず、圃場に入れないというジレンマが生じやすい場面の一つです。
また、大雨や長雨の後、土壌中の水分が過多になると、土壌の隙間(気相)が水で満たされ、根が酸素を取り込みにくい状態になる場合があります(根域の酸欠)。この状態が続くと、根の活性が低下し、養分吸収にも影響が出ることが懸念されます。
こうした場面で活用が検討されているのが「酸素供給剤」です。水に希釈して散布することで、液が土壌に浸透する際に酸素を供給し、根域の環境改善を助ける効果が期待されています。
降雨後に気温が上昇すると根腐れを起こす場合もあるため、速やかな作業が重要になる場面です。
参考:JAふかや 広報誌「みどりの風」2025年9月号 営農情報「降雨対策としての土壌改良資材の紹介」

ドローン散布は、圃場に入らずに上空から資材を散布できる点が特徴です。このことが、これまで作業が難しかった野菜栽培の現場で、以下のようなメリットを得られます。
ドローンを用いることで、ぬかるみなどで圃場に入れない場合でも圃場外から作業できるため、作業タイミングの選択肢が広がり、「作業できる日」ではなく「必要なタイミング」での散布を検討しやすくなります。
適期施肥の実現は収量や品質の安定につながるため、この点はドローン散布のメリットの一つです。
農業用ドローンは、1回の飛行で数十aから数haに相当するエリアをカバーできる機種もあり、地上作業と比べて短時間での散布が可能です。
担い手の高齢化や人手不足が進む農業現場では、広い圃場を少人数で管理するケースが増えていますが、ドローン散布はオペレーター1〜2名で運用できるため、圃場内での人海戦術が不要になり、作業人員の確保が難しい経営体でも対応しやすくなります。
圃場内での移動も伴わないため、身体的な作業負担の軽減につながることも。面積が広い圃場や人手が限られる経営では、作業の組み立てにも好影響となります。
キャベツやレタスなどの野菜は条間が狭く、トラクターや管理機が通れなかったり、作物を傷めるリスクがあったりすることで、生育中盤以降の機械的な追肥が難しい場合があります。
ドローンによる上空からの散布であれば、こうした物理的な制約を受けにくいため、生育ステージに関わらず追肥を実施しやすくなります。
また、圃場への物理的な影響を抑えやすく、人や機械が圃場内を移動する必要がないため、土壌踏圧や畝の崩れといった影響も受けにくくなります。
農業用ドローンが飛行する際に発生するプロペラの下降気流(ダウンウォッシュ)は、散布した液剤を葉の表裏まで浸透させる効果が期待されます。
圃場全体への均一な散布を助けるため、ムラの少ない資材施用が可能になります。
ドローンによる圃場センシング(画像解析など)と組み合わせることで、生育が遅れている箇所や栄養状態が悪い部分を把握し、そのエリアに集中して資材を散布する「可変施肥」の実現も検討されています。
一律に施肥するのではなく、圃場内の状態に応じたきめ細かい対応が可能になることで、資材の無駄を減らしながら収量の均一化が期待できます。
このように、ドローン散布は単に作業を効率化する手段というよりも、「作業のやり方そのものを変える選択肢」の一つとして位置づけられます。
なお、実際の運用は機体仕様や散布装置、地域のルールによって異なるため、事前の確認が必要です。
ドローン散布はさまざまな資材で検討されつつありますが、資材の性質によっても考え方が異なります。それぞれの注意点を見ていきましょう。
酸素供給剤や土壌改良剤など、土壌中の空気環境や排水性に着目した資材は、過湿条件下での土壌環境の変化を考慮して使用されます。特に、土壌が過湿になることで根が酸欠を起こしやすい雨後などは、液剤タイプなど資材の形状によって、ドローンによる散布ができる場合があります。
一方で、粒状や粉状の資材については、粒径や散布量などに応じた適合性の事前確認が必要になります。
微生物資材(いわゆるBS剤など)は、液剤や水で希釈して使用するタイプが多く見られ、ドローンでの散布が可能なものもあります。広範囲に一度に散布したい用途などで活用が見込まれます。
ただし、資材の特性や環境条件の影響を受ける可能性があるため、使用方法の確認も重要です。
農薬散布だけと思われがちな農業用ドローンですが、最近では土壌改良資材や微生物資材などの散布、さらには種籾の直播などにも活用が進められてきています。
とくに野菜栽培では、圃場に入らず散布できる点が、これまで実現しにくかった新しい分野とも言えます。すべての圃場に適しているわけではありませんが、以下のような圃場ではドローン散布が検討されるケースが見られます。
また、ドローンでの農作業を請け負うパイロットにとっても、米から柑橘などに広がってきたドローン散布作業の選択肢の一つとして、今後活躍できる場面が広がるでしょう。
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一方で近年は、肥料や土壌改良資材、微生物資材など、農薬以外の資材を散布する手段としても関心が高まりつつあります。
とくに野菜栽培では、圃場の状態によって人や機械が圃場に入りにくい状況など、作業の可否が左右される場面が少なくありません。代表的な場面として、降雨後の圃場が挙げられます。雨後のぬかるみで人や機械が入れない状況は、野菜農家にとって身近な課題であり、そのタイミングで施肥や資材散布が必要になることもあります。
こうした状況でも作業を検討できる方法として、ドローン散布が選択肢の一つとして捉えられています。
雨後の圃場で起きる課題とは
降雨後の野菜圃場は、「入れない」と「でも待てない」が重なる難しい場面です。土壌がぬかるんで人も機械も入れない状況にありながら、作物の生育ステージによっては施肥や資材散布を急ぎたいタイミングであることも珍しくないためです。
排水性や土質によって、その影響の出方は圃場ごとに異なりますが、まずは従来の方法で圃場に入ってしまうと考えられるさまざまな影響を見ていきましょう。
️圃場への影響
雨後の圃場に人や機械が入ると、土壌が踏み固められることで、土壌中の空気や水の動きに影響が出る場合があり、その後の生育環境に関係することも考えられます。
また、ぬかるみの中での作業は機械の走行性にも影響し、状況によっては畝が崩れるなど、圃場の状態に変化が生じることも。足場が不安定な状態では作業も進みにくく、結果として人手が増えてしまい、他の作業との兼ね合いに影響が出る場合もあります。
このように、降雨後の圃場では作業が難しくなる一方で、むしろ資材を施用すべきタイミングが重なることがあります。
降雨後の施用タイミングが重要な理由
果菜類の着果期、葉菜類の肥大期など、作物の生育ステージによっては、収量や品質を左右する重要な追肥の適期がちょうど降雨期と重なる場合があります。
こうした時期に施肥が遅れると、作物の栄養状態に影響が出ることも考えられます。降雨直後こそ作業したいにもかかわらず、圃場に入れないというジレンマが生じやすい場面の一つです。
また、大雨や長雨の後、土壌中の水分が過多になると、土壌の隙間(気相)が水で満たされ、根が酸素を取り込みにくい状態になる場合があります(根域の酸欠)。この状態が続くと、根の活性が低下し、養分吸収にも影響が出ることが懸念されます。
こうした場面で活用が検討されているのが「酸素供給剤」です。水に希釈して散布することで、液が土壌に浸透する際に酸素を供給し、根域の環境改善を助ける効果が期待されています。
降雨後に気温が上昇すると根腐れを起こす場合もあるため、速やかな作業が重要になる場面です。
参考:JAふかや 広報誌「みどりの風」2025年9月号 営農情報「降雨対策としての土壌改良資材の紹介」
圃場に入らず作業できるドローン散布の特徴とメリット
ドローン散布は、圃場に入らずに上空から資材を散布できる点が特徴です。このことが、これまで作業が難しかった野菜栽培の現場で、以下のようなメリットを得られます。
圃場条件に左右されにくい作業が可能に
ドローンを用いることで、ぬかるみなどで圃場に入れない場合でも圃場外から作業できるため、作業タイミングの選択肢が広がり、「作業できる日」ではなく「必要なタイミング」での散布を検討しやすくなります。
適期施肥の実現は収量や品質の安定につながるため、この点はドローン散布のメリットの一つです。
短時間で広範囲をカバー、労働力不足にも対応
農業用ドローンは、1回の飛行で数十aから数haに相当するエリアをカバーできる機種もあり、地上作業と比べて短時間での散布が可能です。
担い手の高齢化や人手不足が進む農業現場では、広い圃場を少人数で管理するケースが増えていますが、ドローン散布はオペレーター1〜2名で運用できるため、圃場内での人海戦術が不要になり、作業人員の確保が難しい経営体でも対応しやすくなります。
圃場内での移動も伴わないため、身体的な作業負担の軽減につながることも。面積が広い圃場や人手が限られる経営では、作業の組み立てにも好影響となります。
条間が狭い作物での機械的な制約の回避
キャベツやレタスなどの野菜は条間が狭く、トラクターや管理機が通れなかったり、作物を傷めるリスクがあったりすることで、生育中盤以降の機械的な追肥が難しい場合があります。
ドローンによる上空からの散布であれば、こうした物理的な制約を受けにくいため、生育ステージに関わらず追肥を実施しやすくなります。
また、圃場への物理的な影響を抑えやすく、人や機械が圃場内を移動する必要がないため、土壌踏圧や畝の崩れといった影響も受けにくくなります。
ダウンウォッシュによる均一な散布
農業用ドローンが飛行する際に発生するプロペラの下降気流(ダウンウォッシュ)は、散布した液剤を葉の表裏まで浸透させる効果が期待されます。
圃場全体への均一な散布を助けるため、ムラの少ない資材施用が可能になります。
センシングと組み合わせた可変施肥
ドローンによる圃場センシング(画像解析など)と組み合わせることで、生育が遅れている箇所や栄養状態が悪い部分を把握し、そのエリアに集中して資材を散布する「可変施肥」の実現も検討されています。
一律に施肥するのではなく、圃場内の状態に応じたきめ細かい対応が可能になることで、資材の無駄を減らしながら収量の均一化が期待できます。
このように、ドローン散布は単に作業を効率化する手段というよりも、「作業のやり方そのものを変える選択肢」の一つとして位置づけられます。
なお、実際の運用は機体仕様や散布装置、地域のルールによって異なるため、事前の確認が必要です。
資材別ドローン散布の注意点
ドローン散布はさまざまな資材で検討されつつありますが、資材の性質によっても考え方が異なります。それぞれの注意点を見ていきましょう。
酸素供給剤・土壌改良資材
酸素供給剤や土壌改良剤など、土壌中の空気環境や排水性に着目した資材は、過湿条件下での土壌環境の変化を考慮して使用されます。特に、土壌が過湿になることで根が酸欠を起こしやすい雨後などは、液剤タイプなど資材の形状によって、ドローンによる散布ができる場合があります。
一方で、粒状や粉状の資材については、粒径や散布量などに応じた適合性の事前確認が必要になります。
微生物資材(バイオスティミュラント)
微生物資材(いわゆるBS剤など)は、液剤や水で希釈して使用するタイプが多く見られ、ドローンでの散布が可能なものもあります。広範囲に一度に散布したい用途などで活用が見込まれます。
ただし、資材の特性や環境条件の影響を受ける可能性があるため、使用方法の確認も重要です。
ドローンを資材散布の選択肢の一つに
農薬散布だけと思われがちな農業用ドローンですが、最近では土壌改良資材や微生物資材などの散布、さらには種籾の直播などにも活用が進められてきています。
とくに野菜栽培では、圃場に入らず散布できる点が、これまで実現しにくかった新しい分野とも言えます。すべての圃場に適しているわけではありませんが、以下のような圃場ではドローン散布が検討されるケースが見られます。
- 排水性が十分でない圃場
- 雨後に作業しづらい圃場
- 面積が比較的広い露地野菜圃場
- 作業人員の確保が難しい圃場
また、ドローンでの農作業を請け負うパイロットにとっても、米から柑橘などに広がってきたドローン散布作業の選択肢の一つとして、今後活躍できる場面が広がるでしょう。
ドローン散布を「外注する」という選択肢も
機体やオペレーターの確保、資材ごとの対応など……
事前準備が重要な「ドローン散布」を外部の専門家に依頼するのも一つの選択肢です。
どんな作業ができるのか、まずはご相談ください。
▶︎ドローン散布サービスの詳細はこちら 事前準備が重要な「ドローン散布」を外部の専門家に依頼するのも一つの選択肢です。
どんな作業ができるのか、まずはご相談ください。
※対応エリア・料金・作業条件は、地域や圃場状況等により異なる場合があります。
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