畑の生育ムラは「地面の形」が関係? ──露地野菜で考える圃場均平化と傾斜均平の重要性

畑を歩いていると、同じ圃場内でも作物の生育がそろわない場所に気付くことがあります。雨上がりに水が残りやすい地点もあれば、反対に乾きやすい地点もある。露地野菜を栽培するなかで、こうした場所ごとの差に悩まされた経験を持つ生産者もいるのではないでしょうか。

露地栽培では、降雨後の圃場状態がその後の作業や生育に影響を与える場合もあり、土壌の性質だけでなく、表面のわずかな凹凸や水の流れ方も関係していると考えられます。

その対策の一つが、凹凸を整える「均平化」や、排水を意識して緩やかな勾配をつける「傾斜均平」です。地味な作業ではありますが、栽培環境を整える基盤管理として取り組まれています。



圃場の凹凸が水の動きに影響することも


一見すると平らに見える畑でも、長年の耕起作業や機械の走行によって、少しずつ表面に凹凸が生じ、実際には数センチ単位の高低差があることは珍しくありません。

こうした高低差があると、雨水の集まり方に偏りが出ることがあります。低い場所には水が滞留しやすく、高い場所からは水が流れ去りやすいといった状況です。

農地整備の考え方においても、圃場の排水性を検討する際は、表面水の流れや形状を考慮することが重要とされています。(出典:農林水産省 土地改良事業計画設計基準「排水」

圃場内の水分状態にばらつきがあると、作物の生育速度や収穫時期に差が生じることも。特に露地野菜では、収穫時期がそろうことが作業効率に関わるとされており、環境をできるだけ均一に保つための工夫が続けられてきました。

圃場整地の基本となる「均平化」


均平化とは、圃場表面の凹凸を減らし、平らにならす作業のことです。この作業によって水の流れが安定し、雨後に水が溜まる場所が少なくなる可能性があります。

また、均平化は栽培環境だけでなく、機械作業の精度にも関わります。露地野菜の栽培には、畝立てやマルチ張り、移植など多くの工程が含まれます。

圃場の凹凸が目立つと、

  • 畝の高さがそろいにくい
  • マルチが浮きやすくなる
  • 機械の走行が不安定になる

といった状況が起こることも。

圃場表面が整っていると、こうした作業の精度が安定しやすいと感じる生産者もいます。派手な技術ではありませんが、環境と効率の両面を支える土台として位置づけられています。

露地野菜で検討される「傾斜均平」


均平化の手法として、露地野菜で取り入れられることがあるのが「傾斜均平」です。

これは圃場を水平にするのではなく、排水路に向かってわずかな勾配をつける方法。こうすることで、緩やかな傾斜によって、降雨時の水が外へ流れやすくなる場合があります。

露地栽培では、雨後に土が乾くのを待ってから作業に入る場面も少なくありません。排水を意識した整地を行うことで、水の動きを把握しやすくなることも。

もちろん、適切な傾斜や設計は、土壌の種類、面積、周囲の排水路といった条件によって異なるため、それぞれの現場に合わせた検討が求められます。



均平化は排水対策と組み合わせて考える


もっとも、均平化だけで露地栽培のすべての課題が解消されるとは限りません。実際の現場では、以下のような他の排水対策と組み合わせて検討されることが一般的です。

  • 暗渠排水
  • 心土破砕
  • 表面排水路の整備

これらは土中や表面の水の流れを整えるための手法です。均平化は、こうした対策をより活かすための基盤を整える役割を担っています。

圃場環境を見直すという視点


土づくりや施肥設計は重要ですが、圃場の「形」そのものが栽培に影響を与えている場合もあります。特定の場所に水たまりができやすい、生育にばらつきが出やすいと感じることがあれば、一度圃場の整地状態を確認してみるのも一つの方法かもしれません。

これまでの管理経験に、排水や整地の視点を少し加えてみる──そうした小さな見直しが、圃場環境を整えるヒントになるでしょう。

外部委託という選択肢も


均平化や整地は、圃場面積が広い場合や機材が限られている場合、作業負担が大きくなりがち。近年は、こうした作業を外部へ委託する事例も見られます。専門の事業者に依頼することで、繁忙期の作業負担を抑えながら圃場整備を進められます。

圃場条件や経営規模によって適した方法は異なりますが、土台となる基盤作業だからこそ外部の力を活用してみるのも選択肢の一つになるでしょう。

圃場整備「自分でやる」以外の選択肢も
均平化や傾斜均平は、すべてを自力で行う必要はありません。
外部のサービスを活用することで進めやすくなるケースもあります。
どのような作業を依頼できるのか、 まずはご相談ください。
▶︎アグリポンの対応作業を確認する
 
相談・問い合わせ(フォーム)
※対応エリア・料金・作業条件は、地域や圃場状況等により異なる場合があります。


SHARE

最新の記事をFacebook・メールで
簡単に読むことが出来ます。

RANKING

WRITER LIST

  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
  4. 鈴木かゆ
    鈴木かゆ
    1993年生まれ、お粥研究家。「おかゆ好き?嫌い?」の問いを「どのおかゆが好き?」に変えるべく活動中。お粥の研究サイト「おかゆワールド.com」運営。各種SNS、メディアにてお粥レシピ/レポ/歴史/文化などを発信中。JAPAN MENSA会員。
  5. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
パックごはん定期便