井の中の蛙では儲からない! 視野を広げ、選択肢を広げよう!【連載:元JA職員が語る「JAとの付き合い方」 第2回】

「SMART AGRI」をご覧のみなさん、こんにちは。アラサーメンズのカズノ子です。

前回は「JAはお母さんではない」ということで、JAに依存することやめ、自立しようというお話でした。今回はより具体的に、JA以外の相談相手を持つ方法を、一緒に考えていきたいと思います。

イラスト:よこいしょうこ

営農・経営について相談できる相手はいますか?

あなたは農業のことを相談できる相手がいますか?

わからない・自信がない作業については、その分野に精通した人に相談する。それが儲かる農業実現への近道だと思います。

もし、相談相手に「近隣の農家仲間・JA」が思い浮かんだという方は要注意です。

JA職員に、さまざまな相談をしてくださる農家さんもいます。たしかにJA職員は、担当部署で扱っている商品やサービスについて勉強しますが、正直わからないこと・詳しくないことに関する内容が多く、専門的で実践的な知識を答えられるかというと、難しいというのが本音なのです。

JA職員よりも、もっと詳しい人に経営者として相談する。そうすれば、時間の節約になるし、さらに良い情報を提供してもらえることもあります。その情報をもとに自分で現状と比較し、判断することで経営感覚が磨かれていくのではないかとも思います。

儲かっていない農家さんを見ていると、JAに勧められたものを何がメリットなのかも知らずに使い、値段も知らないなんてこともあります。

今の時代、自ら情報を取りに行こうとしない農家さんは、比べることができずに損をしているということにも気がつけません。


悪魔の言葉「去年と同じにしておいて、JAにまかせるからあとは頼む! 」

この言葉は、肥料や農薬・資材・種苗の発注時期になるとよく聞かれる言葉でした。

ですが、楽だからとJAに任せっぱなしにするのは絶対にいけません!

  • 前シーズンの肥料が残っていれば肥料バランスを変えなくてはいけない。
  • JAにはないが他社に安くて成分のバランスの良い肥料があるかもしれない。
  • 知らないうちに値上げされているかもしれない。
  • 効果の高い・対効性のない農薬があるかもしれない。

少し想像するだけでも、こういったさまざまな比較・改善できそうなポイントがあります。ひとつひとつの積み重ねこそが、儲かる農業への近道です。

今使っている資材はどんな効果あって、どのくらいの単価なのか、知らないで使っている人は今からでも調べてみましょう! 調べてみると価格と効果がわかり、実はコストパフォーマンスが良くないものだった! なんてこともあるかもしれません。同じ成分のものでも、2倍以上の価格差があるといった場合も考えられます。


メーカーの担当者・専門の人と繋がろう。

「JAに相談したけど解決できなかった」「回答が遅くて対応が間に合わなかった」

そんな経験はありませんか?

当たり前ですが、一番早く適切に解決できるのはその資材を扱っているメーカーです。メーカーの担当者よりも詳しいJA職員はほとんどいません。

また、なぜその問題が発生しているのか? ということは、メーカーにとってはとても重要な情報の一つ。なぜなら、そういった現場の情報をもとに製品開発やサービス開発をしているため、メーカーにとっては欲しい情報なのです。製品・サービスに精通しているからこそ、違う視点で解決策を提案されることもあります。

ではどうすればメーカーの担当者と繋がることができるでしょうか?

すぐに実行できそうな3つの方法をご紹介します。

近くのJAに出入りしている担当者を紹介してもらう


JA職員と問題を共有してメーカーの担当者と3者で相談・解決をしていくとJA職員との信頼も高まります。JA職員を交えることで新しい資材や試験栽培などの情報も提案されやすくなることもメリットになります。

各メーカーのホームページから直接お問い合わせをしてみる


一見、手間もかかりハードルが高いように感じますが、担当者と繋がるには確実な方法となっています。この際に、具体的に悩んでいる内容などをしっかりと記載することが重要です。

私もよくお問い合わせを行っていましたが、具体的に気になっている点を記載することでそのメーカーの中でも、詳しい担当者と繋がることができました。また近くの営業所から足を運んでいただき、情報交換をする場を持つこともありました。

各種展示会に足を運ぶ


自ら足を運ぶことで担当者と繋がることができます。各種展示会では必ず名刺の交換をしてください。渡す名刺には自分の農園でどんな作物を栽培しているのか、しっかりと明記しておきましょう。また、いま自分が悩んでいることを展示会で相談すれば、担当者に「あんなことで悩んでいる人がいたな」というイメージを残すことができます。その後、電話で相談するときも、新しい情報を教えてもらいやすくなりますよ。

他にも、メーカーの担当者と繋がることによるメリットはたくさんあります。

  • 地域にとらわれないメーカーの担当者だからこそ他地域の情報が入ってくる
  • 最新の情報を仕入れることができる
  • わからないことを、担当者独自のネットワークで解決してくれることもある
  • 詳しく相談できる相手がいるだけで問題解決のスピードが速くなる

こういったメリットは、メーカーの担当者だからこそ得られるものです。

JAに相談すること自体が悪いと言っているわけではありません。もっと詳しい人に相談してみるという選択肢があるだけで、問題解決のスピードや得られる情報がまったく変わってくることを、ぜひ実感していただきたいのです。

ちなみに、地域に密接に関わる事柄については、JAに相談することがベストということも当然あります。相談する相手は、適材適所で農家自身が選ぶという視点が大切です。相談相手の得意・不得意を知っていると、お付き合いもだいぶ楽になりますよ。


相場感がわからないから損をする


JAにいた頃、私たち職員に相談してくる農家さんを見ていて「自分で調べて買えばもっと得するのにな~」と思うことがありました。

例えば、農家さんの規模によって必要なロットは違いますし、少量のみ必要な場合は、かえってJAで購入する方が割高になることもあるのです。農家さんによっては、「必要であれば」と価格を気にせずにJAで頼んでいることがあるので、第三者から見て損をしていると感じることが多々ありました。

このようなケースでおすすめしたいのが、必要な資材がネットショップでどのくらいの価格で売られているのかを検索してみるというもの。ほんの少し手間はかかりますが、自分で調べて比較してみると、どこに頼むのが一番お得なのかということが一目瞭然だと思います。

例えば、以下のようなネットショップでは、JAと同じように個人でも資材を購入できます。

  • モノタロウ・・・農薬をはじめ農業に必要な資材が多く取りそろっており、小ロットにも対応


https://www.monotaro.com/

  • 農薬通販.jp・・・肥料や農薬が一覧表示され在庫があるのかも確認できる


https://www.nouyaku-tsuhan.jp/

  • 日本農業システム オンラインショップ・・・しっかりとカテゴリー分けされ作物別にも必要な資材がわかる


https://www.nou.co.jp/shop/default.aspx

こういった販売サイトで比較をしてみると、自分が思っていた価格よりも安く資材を購入できることがあります。この少しの手間が選択肢を広げてくれ、相場観が磨かれていきます。さまざまなメーカーの情報を見つけることで、その製品・メーカーの強みもわかるように。

もし、JAに発注する場合でも、一般的にはどれくらいの価格で販売されているものなのかはきちんと確認すべきでしょう。JAの資材部門でも、仕入れてみてからでないと単価がわからないことがあります。その場合もしっかりと単価を聞いてからの発注をおすすめします。

他社であればしっかりと見積書を作る作業も、JAでは“なあなあ”になってしまうこともあります。確認・比較は経営者として大切な作業の1つですので、抜け漏れなく行いたいところです。値上げする時期も把握しておけば、前もっての注文も可能になりますね。


判断することが良い経営に向かっていく

農業は、単純作業になることが多いです。そのため、作業のあとの振り返りをつい忘れてしまい、なにが悪かったのか・なにが良かったのかについて振り返ることがすっぽり抜け落ちてしまいます。

翌年の同じ時期に同じことの繰り返しは、儲からない農業の要因の1つ。その問題が発生したときにすぐに相談できる相手を確保しておき、早期の解決を図ることで経営が改善されていきます。

詳しく相談できる相手・情報を仕入れる癖をつけることで、視野は広がり判断がスムーズになります。作業者ではなく、判断をする経営者であることを意識すれば、儲かる農業に切り替えていけると思います。

  • 自分が使っている肥料や農薬・資材のメーカー担当者
  • 自分が作っている品目の種苗メーカー
  • 同じ品目を作っている他産地の農家さん

こういった人たちに、相談してみて視野を広げてみてはいかがでしょうか?

次回は自分で作った農作物の販売を、全部JAにまかせて大丈夫? というお話をしたいと思います。


【連載】元JA職員が語る「JAとの付き合い方」
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WRITER LIST

  1. 槇 紗加
    1998年生まれ。日本女子大卒。レモン農家になるため、大学卒業直前に小田原に移住し修行を始める。在学中は、食べチョクなど数社でマーケティングや営業を経験。その経験を活かして、農園のHPを作ったりオンライン販売を強化したりしています。将来は、レモンサワー農園を開きたい。
  2. 田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  3. さわちん
    2児の父。あるきっかけにより農業のイメージを変えたいと考え、16年間のサラリーマン生活にピリオドを打つことを決意。2020年春、家族で田舎に移住し、新規就農を目指す。自身が「移住×就農のモデルケース」となるために、いろんな方面へ向けて奮闘中。
  4. 福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  5. 窪田新之助
    農業ジャーナリスト。福岡県生まれ。日本経済新聞社が主催する農業とテクノロジーをテーマにしたグローバルイベント「AG/SUM(アグサム)」プロジェクトアドバイザー、ロボットビジネスを支援するNPO法人Robizyアドバイザー。著書に『日本発「ロボットAI農業」の凄い未来』『GDP 4%の日本農業は自動車産業を超える』(いずれも講談社)など。