日本の農業で母国発展を支援する「外国人留学生奨学金給付制度」が4月よりスタート 第1期は3名選出

開発途上にある国や地域における農業振興支援を行うMore Jobs Better Lives一般財団法人(以下、MJBL)は、日本国内の大学もしくは大学院にて農業研究に携わる留学生を支援する奨学金制度「外国人留学生奨学金給付制度」の第1期生として、2020年4月より3名への奨学金の支給を開始する。支給開始前の2020年1月16日に、インド料理店「ナタラジ 原宿表参道店」にて奨学生3名を集めた「MJBL財団第1期奨学生交流会」を実施した。

「日本の農業」の輸出で開発途上国を支援

MJBLは、ネパールをはじめとする開発途上国の農業復興支援を目的に2018年に一般財団法人として設立。農業はその土地を活かして仕事作ることができると同時に、その場所の特徴を活かした最高の商品を作ることができるため、経済の発展には欠かせない産業だ。

MJBLでは開発途上国出身の方を日本国内で支援し、農業の技術や知識を習得して自国に持ち帰って活かせるよう、積極的に支援活動を行っている。

今回の奨学金制度はそんなMJBLの活動の1つで、開発途上国の中でも後発開発途上国の出身で農業研究に携わる私費留学生を支援するというもの。自身の研究と、財団との交流を深めることで奨学生それぞれの母国の未来を担う優秀な人材としてさらに成長し、今後に活かせるチャンスをつかむことを目的に設置された。

「外国人留学生奨学金給付制度」第1期奨学生

2019年9月より開始した公募より選ばれた学生は、アフガニスタン出身の大学院1年生をはじめとする3名に決定。開発途上国の出身であること、日本の大学または大学院で学士~博士課程の私費留学生であること、農学研究やアグリビジネスにより母国の貢献を志していることの3点に重点を置いて選考された。

サラ トキ アラブ さん
名前:サラ トキ アラブ
国籍(出身地名):アフガニスタン・イスラム共和国(ガブール)
経歴:2019年10月~筑波大学大学院 生命環境科学研究科(博士課程)
研究テーマ:
干ばつと降雪による鉄砲水のダメージを受けているブドウ農家を支えるための地理空間保護モデルの改善
卒業後の計画:
・母国の農業システムやプログラム考案に貢献し、カウル大学での教授職に戻り、日本での経験や知見を学生に教える。
・遠隔地の農家を対象に、環境に配慮した機械や改良種、化学肥料、自然災害への新たな対処方法などを伝授する。
・農林省とともにアフガニスタンにおける農作物保険の策定を行う。

アリファ ジャナ さん
名前:アリファ ジャナ
国籍(出身地名):バングラデシュ人民共和国(ジャマンブル)
経歴:2019年10月~筑波大学大学院 生物環境学部(博士課程)
研究テーマ:
SDGsの1つである「飢餓をゼロに」への脅威となる「気候変動」が、バングラデシュ国内の非穀物食物に与える影響。
卒業後の計画:
・農家の知見を基に、バングラデシュで最も気候の変化による被害を受けやすい地域で主に栽培されている非穀物食物に気候変動が与える影響への対応を考察する。
・作物をスクリーニングし、気候変動がメジャーな非穀物食物および農家の収入に与える影響を分析する。


イサ アブラハマニ カチャージャ さん
名前:イサ アブラハマニ カチャージャ
国籍(出身地名):タンザニア連合共和国(アルーシャ)
経歴:2020年4月~東京農業大学大学院 農業研究科 国際バイオビジネス学専攻(博士前期課程)
研究テーマ:
タンザニアの主要輸出換金作物である茶産業における小規模茶農家の経済成長、貢献度拡大への策。
卒業後の計画:
・オンラインでの農業学習により、より多くの知識を習得する。
・日本で得た知識を共有するため様々なプレゼンテーションを自身の母校で行う。
・農業に興味のある学生と交流することで様々な国を実際に訪問し、現地でさらに学びを深める。

More Jobs Better Livesのミッション

代表理事の若山氏は、登山に挑戦する中でアジア最貧国の1つであるネパールという国に出会い、若者が日本やアジア、中東や湾岸諸国に出稼ぎに行く現状を知った。出自で仕事が決まる国の制度などもあり人生の選択肢が必然的に限定されてしまうネパールの現状を肌で感じ、2015年にネパールの大地震をきっかけに、地域の人々の暮らしと社会の発展に尽くすという会社の存在意義を確認。

MJBLでは外国人留学生および外国人技能実習生への支援を行い農業分野での雇用を創出、開発途上国の持続可能で自立した経済社会の発展に貢献していくという。


More Jobs Better Lives一般財団法人
https://www.mjbl.jp/
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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