農林水産省、農地情報管理にドローンや衛星による「デジタル地図」の活用を検討

農林水産省は、2019年11月に開催した「デジタル地図を活用した農地情報の管理に関する検討会」の議論を取りまとめた資料を、2020年3月17日に公開した。農地情報の一元管理に必要なデジタル地図に関する技術が明記されているほか、自動運転や衛星測位システム、ドローン等の活用による、農地プランや土地改良事業における正確な情報把握の可能性が示されている。



「デジタル地図」で農地情報の一元管理を目指す


日本の農地情報は、各市町村や農業委員会が整備する農地台帳で個別に収集・管理されているため、情報の管理や現地調査に多大な労力を要する。また、地方自治体では制度ごとに独自のシステムを使用していることから、最新のデータを完全に把握することが困難な状況にあるという。

加えて、農地権利移動関係手続、経営所得安定対策関係手続、農業共済関係手続の3つの手続きでは、制度の趣旨や目的に応じた情報が管理されているものの、農業者は農地情報を紙面で申請する必要がある。実施機関でも情報が縦割りで収集・蓄積されていることから、農地情報に整合性がないケースも多いそうだ。

今回の資料では、農地情報の一元管理に必要とされるデジタル地図の要素技術として、「全国3,000万筆の筆ポリゴン*(農地区画情報)」、「地理空間情報関連技術」、「データベース関連技術」、「認証基盤(IdP)」、「農林水産省共通申請サービス」の6つを明記している。


出典:「デジタル地図」を活用した農地情報の管理に関する検討会取りまとめ概要|農林水産省

*筆ポリゴンとは、全国の土地を隙間なく200メートル四方(北海道は、400メートル四方)の区画に区分し、そのうち耕地が存在する約290万区画について衛星画像等をもとに筆ごとの形状に沿って作成した農地の区画情報を指す。

システムの構築・運用については、利便性・汎用性、相互運用性、信頼性、継続性、拡張性、柔軟性および堅牢性・可用性の確保が重要としており、筆ポリゴンへの住所情報の付与や、各台帳との紐づけ、農地関連データの実態調査、農地情報のデータベース化を今後の取り組みに掲げている。


デジタル地図を活用した農地情報の管理に関する検討会取りまとめ
https://www.maff.go.jp/j/kanbo/dmap/191127.html
農林水産省
https://www.maff.go.jp/index.html
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
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    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
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    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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