ボッシュとBASF、スマート農業ソリューションの世界展開に向けて合弁契約を締結

IoT大手のBosch(ボッシュ)とドイツの総合科学メーカーBASFの子会社であるBASFデジタルファーミング社は、両社が展開するそれぞれの技術を生かしたスマート農業ソリューションの世界展開を目指す合弁契約を締結した。

両社は2021年の第1四半期にケルン(ドイツ)を拠点とする新会社を設立する意向で、共同製品の第一弾をブラジルで発売し、その後ヨーロッパおよび北米での展開も実現したい考えだ。

出典:BoschとBASFがデジタル農業分野における協力を拡大|BASF

ボッシュ・グループ


ボッシュ・グループは、革新的テクノロジーとサービスをグローバル規模で展開する企業。ドイツのゲルリンゲンを本拠に2018年時点の従業員数は全世界で約41万人を数える。

同年の売上高は785億ユーロ(約10兆円)で、現在はモビリティソリューションズ、産業機器テクノロジー、消費財、エネルギー・ビルディングテクノロジーの4事業をセクターに、スマートホームやスマートシティ、コネクテッドモビリティ等の革新的なソリューションを提供する。


BASFデジタルファーミング社


BASFデジタルファーミング社は、ドイツの総合科学メーカーBASFの子会社だ。
同社が提供する「xarvio(R) FIELD MANAGER(ザルビオフィールドマネージャー)」は、圃場のリアルタイム情報をAIが分析して栽培状況に合う最適な作業を生産者に通知するデジタルプラットフォームだという。

日本では、JA全農と「AIベースの栽培管理最適化デジタルプラットフォームを活用した栽培管理に関する協業」を進めている最中で、2021年4月を目途に日本市場への参入も目指している。

両社の技術を集約した「スマートスプレー」の世界展開を目指す


ボッシュとザルビオによるスマートスプレーは、雑草と作物を識別して正確な除草剤散布を実現するもので、散布精度の向上による収穫ロスの軽減および除草剤の減少による環境への配慮を目的としている。

両社が設立する合弁会社では、共同製品としてスマートスプレーをベースにした2つの製品を販売する予定だ。

1つ目は、ボッシュが販売しているインテリジェント・プランティング・ソリューション(IPS)というシステムの一部に、播種と肥料の処方やスマートスプレー用に強化されたBASFのデジタル知能を加えた製品。
2つ目は、ボッシュのカメラセンサー技術およびソフトウェアとBASFの作物最適化プラットフォームを組み合わせたスマートスプレーのソリューションだという。

製品の開発の際に実施された実証実験では、除草剤の使用量を最大70%まで削減することに成功。「これら2つの精密農業技術は、効率的な資源利用も促すことから農業生産者と環境の両方を支援する」と結論付けた。

出典:BoschとBASFがデジタル農業分野における協力を拡大|BASF
両社は、2016年から除草剤の使用量を大幅に削減する高精度な散布技術を活用したスマートスプレーの開発を共同で進めてきた。開発された2つのソリューションは、2021年に台数限定で発売される予定だ。


ボッシュ日本法人
https://corporate.bosch.co.jp/
BASFジャパン株式会社
https://www.basf.com/jp/ja.html
SHARE

最新の記事をFacebook・メールで
簡単に読むことが出来ます。

RANKING

WRITER LIST

  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
  3. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
パックごはん定期便