NTT東日本と調和技研、農作物の集荷ルートを最適化するAIプログラムを開発

NTT東日本北海道事業部と株式会社調和技研は共同で、ジャガイモの集荷に使用する積込作業用のタイヤショベルと運搬用のトラックの配送ルートを最適化するAIプログラムを開発した。


全国1位の生産量を誇る日本最大のジャガイモ産地である北海道では、JAの集荷場に配属された配車担当者が集荷ルートを作成し、収穫したジャガイモを圃場から集荷場まで運んでいる。

しかし、集荷に使用する積込作業用のタイヤショベルや運搬用のトラックには台数や運転手の数に限りがあるため、タイヤショベルとトラックが同じタイミングで到着する集荷ルートを作成するのは難しく、タイヤショベルとトラックの両方が到着するのを待つ間に品質が劣化してしまうケースが報告されてきた。


AIが最適な集荷ルートを地図上に表示


両社が開発したのは、農業分野への参入を推進するNTT東日本と北海道大学大学院調和系工学研究室発のベンチャー企業である調和技研が保有するAI技術を活用して開発した集荷・配送業務向けのAIプログラム。


集荷日や集荷場所、作業時間、移動距離、運行するタイヤショベルやトラックの台数等の情報を入力するだけで、タイヤショベルとトラックが同じタイミングで到着する最適な集荷ルートを地図上に表示してくれるのが特長で、「品質劣化の抑制」、「トラックの走行距離削減に伴う燃料コストおよびCO2排出量の低減」、「配送ルート作成時間の削減」の3つの効果が期待できるという。

AIプログラム出力のイメージ

1.タイヤショベルのルート
集荷場をスタートし、21カ所の圃場を回りながらトラック1~3と落ち合い積荷作業を繰り返す。


2.トラック1~3のルート
集荷場と21カ所の圃場を3つのルートで移動し、積込・積下作業を繰り返す。
※圃場の色は進行方向に対して右折(赤色)又は左折(青色)で進入するかを示す。



2022年秋には、JA士幌町で実際に行われている集荷・配送業務に活用する実証実験が予定されている。


NTT東日本
https://www.ntt-east.co.jp/
株式会社調和技研
https://www.chowagiken.co.jp/
株式会社NTTアグリテクノロジー
https://www.ntt-agritechnology.com/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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    鈴木かゆ
    1993年生まれ、お粥研究家。「おかゆ好き?嫌い?」の問いを「どのおかゆが好き?」に変えるべく活動中。お粥の研究サイト「おかゆワールド.com」運営。各種SNS、メディアにてお粥レシピ/レポ/歴史/文化などを発信中。JAPAN MENSA会員。
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    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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