農業人材マッチングサービス「シェアグリ」とこゆ財団が連携 人手不足と地域課題を解決

2019年8月19日、農業人材のシェアリングを推進する株式会社シェアグリは、宮崎県新富町における農作業のマッチング強化を目的に、一般財団法人こゆ地域づくり推進機構(こゆ財団)との連携を開始した。人手不足を解消する農業デイワークアプリの普及を促進し、ひいては全国の市町村に地域課題の解決モデルを打ち出していく考えだ。


繁忙期の人手不足と農業体験をマッチング

農業現場では、全国的に繁忙期の人手不足が深刻化しているものの、資金上の問題から通年での雇用継続が難しく、短期雇用に特化した農業人材を確保したい実情がある。

シェアグリは、こうした農業における超短期雇用ニーズに着眼し、繁忙期の人手不足に悩む農業者(ホスト)と、地方での農業体験を希望する利用者(ゲスト)をマッチングするCtoCシェアリングサービスだ。同アプリを通して、農家側は繁忙期などを中心に1日単位での人材募集ができる一方、ゲスト側は提携先農家で希望に見合った農作業を楽しみながら、報酬を受け取ることが可能となる。

農業デイワークアプリ「シェアグリ」

2019年現在、千葉県・長野県・沖縄県など全国10県のうち、約50件の農家が求人情報を掲載しており、人手不足の解消や農業関係人口の創出に向けた次なる取り組みとして、同アプリの効用に期待が寄せられている。

同様に2019年8月、一般財団法人こゆ地域づくり推進機構も、アプリを用いた農業人材マッチングサービスに新たな可能性を見出し、シェアグリとの連携を開始した。

こゆ財団は、宮崎県新富町が地域経済の活性化や持続可能な町づくりを目的に、旧観光協会を法人化する形で設立した地域商社だ。以来、特産品の販売で得た利益を町おこしに再投資してきたものの、農業や畜産業を基幹産業とする新富町では、農業人材の減少が深刻な地域問題となっている。

こゆ財団はシェアグリとの連携に際し、農家や地域住民を対象とした同アプリの説明会を実施。多くが新技術の導入に意欲的な反応を示し、主婦層からは「農業の手伝いをしたいが、連絡先などの情報がなく困っていた」という声も聞かれたとのこと。

これらを踏まえ、こゆ財団は同アプリの導入により主婦層と農家のマッチングを強化し、新富町の人手不足の解消や農業体験による関係者人口の創出を目指す方針を固めた。

連携先を地方から全国へ

今回の連携を機に、シェアグリとこゆ財団は「コーディネーター制度」を進めていく考え。コーディネーター制度とは、法人や地方自治体、地域の有志などをコーディネーターとして、人手が必要な農家を募集・管理するシステムだ。

コーディネーター制度関係図

コーディネーターは、同アプリの運営プラットフォーム上で管理農家の作業登録を代行し、手数料収入を得ることができる役回りで、こゆ財団は宮崎県新富町のコーディネーターを務める。また、業務提携の一環として新富町内にシェアグリの拠点を開設し、現地に密着しながらマッチングの検証を実施するとのことだ。

シェアグリではこの先、コーディネーター制度を全国に展開し、日本各地の農家にアプリの活用を促進するとともに、人手不足や人口減少などの問題を抱える全国の市町村へ課題解決モデルを提供していく。なお、同社は2019年内に20の法人や地方自治体との提携を実施する計画だ。

※シェアグリはコーディネーター制度の導入により、農業人材を求める法人・地方自治体・農家及び、シェアグリの拠点運営者の募集を行っている。詳細は下記募集ページを参照のこと。
https://forms.gle/imRchr3h3mGnQeie7


<参考URL> 
株式会社シェアグリ
一般財団法人こゆ地域づくり推進機構
iOS版「シェアグリ」
Android版「シェアグリ」
SHARE

最新の記事をFacebook・メールで
簡単に読むことが出来ます。

RANKING

WRITER LIST

  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
パックごはん定期便