喫緊の農業の課題を人口減少の視点から考える書籍『人口減少時代の農業と食』発売

筑摩書房は、2023年5月11日にちくま新書より書籍『人口減少時代の農業と食』を発売した。価格は1012円(税込)。

窪田新之助氏は元・日本農業新聞記者の農業ジャーナリスト。農業問題・中国問題に精通するジャーナリストの山口亮子氏との共著として、日本の農政の問題点を現場視点で徹底的に追求している。

本書では、人口減少で日本の農業はどうなっていくのか、農家はもちろん出荷や流通、販売や商品開発など危機と課題、また新たな潮流やアイデアを現場取材し、農業のいまを報告する。



書籍概要


人口減少で日本の農業はどうなるか。農家はもちろん出荷や流通、販売や商品開発など危機と課題、また新たな潮流やアイデアを現場取材、農業のいまを報告する。 日本農業にとって人口減少は諸刃の剣といえる。これまでのあり方を一部で壊してしまう一方で、変革の推進力にもなる。

農産物の生産や流通は、総じて人手不足で、生産者と流通、販売、消費の間の溝やズレも明らかになっている。ピンチをチャンスに変えるべく、こうした課題に立ち向かう現場がある。生産から出荷までの合理化、消費者と直接つながる商品の開発、物流のルール変更への対応……。世間で思われているほど暗くない、日本農業の未来を報告しよう。


「人口減少時代の農業と食」目次


はじめに

第一章 データで見る農と食のいまとこれから
1 増え続ける外国人労働者と待ち受ける危機
2 二〇二四年問題──関東で「あまおう」が食べられなくなる!?
3 集出荷施設の老朽化で青果流通に不安
4 多くの農業集落で存続に黄信号
5 耕作放棄地の増加と懸念
6 農家の減少と高齢化
7 一人当たり三倍の農地を耕す未来
8 もはや主食ではないコメ
9 単身世帯の急増で伸びる加工・業務用
10 食い込むべきは世界の食品市場

第二章 危機にある物流
1 積載率を高める保管施設
2 「あまおう」は関東圏に届くのか
3 北海道新幹線延伸に伴う「並行在来線問題」
4 鮮度を保ったまま大消費地に小ネギを届ける物流とは
5 「保管」という物流の新たな価値
6 「やさいバス」、コロナ禍で主な取引先は飲食店から小売店にシフト

第三章 待ったなしの農業関連施設の再整備
1 農家とドライバーの負担を減らす「東洋一」の選果場
2 イチゴの選果と調製を請け負うパッケージセンター
3 共同選果と産地づくりをセットで

第四章 大規模化への備え
1 集落営農の将来像
2 いま兼業農家を育てる理由
3 農業法人が稲作専門の作業管理アプリを開発した理由とは
4 労働生産性の向上に不可欠なデータ
5 規模拡大の前提となる働きやすい環境づくり

第五章 外国人、都市住民からロボットまで
1 頼みは外国人技能実習生
2 都市住民を産地に呼び込む
3 「アグリナジカン」の試み
4 障害者の就労支援と農業
5 北海道から広がるロボット農機の可能性
6 除草の現在地

第六章 消費者が迫る変化、日本文化を世界へ
1 市場を奪われる国産
2 調理しない未来を予想する農業生産法人
3 不調のコメ、好調のパックライス、冷凍米飯
4 民間発の小麦国産化
5 人口減少でも増えるチーズの需要
6 日本酒の味を変えた輸出の波
7 魅力的な品種、ガタガタの輸出戦略

おわりに


「人口減少時代の農業と食」書籍情報


著者:窪田新之助、山口亮子
発売日:5月11日
造本:新書
本体定価:1012円(税込)
発行:筑摩書房
URL:https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480075543/

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WRITER LIST

  1. よないつかさ
    1994年生まれ、神奈川県横浜市出身。恵泉女学園大学では主に有機栽培について学び、生活園芸士の資格を持つ。農協に窓口担当として5年勤め、夫の転勤を機に退職。アメリカで第一子を出産し、子育てをしながらフリーライターとして活動。一番好きな野菜はトマト(アイコ)。
  2. syonaitaro
    1994年生まれ、山形県出身、東京農業大学卒業。大学卒業後は関東で数年間修業。現在はUターン就農。通常の栽培よりも農薬を減らして栽培する特別栽培に取り組み、圃場の生産管理を行っている。農業の魅力を伝えるべく、兼業ライターとしても活動中。
  3. 槇 紗加
    1998年生まれ。日本女子大卒。レモン農家になるため、大学卒業直前に小田原に移住し修行を始める。在学中は、食べチョクなど数社でマーケティングや営業を経験。その経験を活かして、農園のHPを作ったりオンライン販売を強化したりしています。将来は、レモンサワー農園を開きたい。
  4. 沖貴雄
    1991年広島県安芸太田町生まれ。広島県立農業技術大学校卒業後、県内外の農家にて研修を受ける。2014年に安芸太田町で就農し2018年から合同会社穴ファームOKIを経営。ほうれんそうを主軸にスイートコーン、白菜、キャベツを生産。記録を分析し効率の良い経営を模索中。食卓にわくわくを地域にウハウハを目指し明るい農園をつくりたい。
  5. 田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。